他の個体の得になるけど自分にとっては損な行動(利他行動)をとる動物がいます。働きバチや兵隊アリの行動などがその典型ですが、他会議室で話題になっている鳥のヘルパーも、多くの研究者は、利他行動と見なします。一般的には血縁者のためなのですが、チスイコウモリの場合はそうとは限らないようです。
ナミチスイコウモリのメスは10頭前後の、決まったメンバーのグループでねぐらをとります。2−3晩、血を食べられないと餓死してしまうので、夜の採餌から帰ると、血を食べられた個体は食べられなかった個体に吐き戻して与えます。あげた方のコウモリは、血にありつけなかった別の夜に、もらったほうのコウモリからお返しを受けます。グループのメンバーは血縁関係でないものも多いのですが、いつも同じメンバーが一緒なので、お互いの生存率を高め合うことにつながるのです。
昔、萩尾望都の「ポーの一族」というバンパイヤ一族の漫画があって、エドガーとアランが血を分け合っていたけど、ナミチスイコウモリの習性を知っていたのだろうか。あの場面を、うん十年ぶりに思い出してしまった。萩尾望都は同級生に熱狂的なファンが多かったなあ。(ありゃ、古すぎて通じないか)