オオコウモリの飛翔能力は一晩に数十キロメートルにも渡ります。種子散布や花粉媒介の効果はなかなかのものだといえるでしょう。植物食の小コウモリももちろん優秀な種子散布&花粉媒介者です。
私が観察したところでは、イチジクの仲間の小さな種子は果実の汁と一緒に飲み込まれてオオコウモリの体内を通過し、液状の糞と一緒に排泄されています。モモタマナのような大きな実は、もちろんその場で食べて木の下に落とすことも多いのですが、くわえて飛んでいく姿も見られます。
ヒヨドリなどの果実食の鳥の消化器官を通過した種は、そのまま地面に落ちた実よりも発芽率が上がるということを読んだことがあります。コウモリの消化器官を通った場合もやはり発芽が促進されるようです。
オオコウモリは太平洋の島々に点々と分布しています。海洋島では在来の哺乳類はコウモリだけというところも多いし、昆虫も大陸に比べれば少ないので、オオコウモリの種子散布や花粉媒介は、特に重要な役割を担っています。