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金メダルへのターン

gold日本はバンクーバー五輪でマスコミが事前に煽ったほどメダルが獲れかった。荒川静香さんの金メダルひとつで馬鹿騒ぎしていたトリノに比べたら、ずっとマシだし、歴代の冬季五輪の中でもかなり良い成績だったはずだ。なのにあまり喜べない。その理由はおそらくお隣の韓国の躍進ぶりが凄いかったからだろう。それを象徴するのがスピードスケートや女子フィギュアの結果だ。大手メディアは選手強化費や施設利用料の違いを挙げて検証しているが、そんなにメダルが欲しければ、スポーツ省を作って国民一人あたり100円(で100億)なり200円(200億)なりの費用負担で、頑張る選手を支援すればいいだけのことだ。かつての東ドイツのようにやれば日本人の体格でも倍増以上のメダルは望めるだろう。そうするかしないかは国民次第。個人的には世界レヴェルで頑張るアスリート達がそれを望むのなら、そうするべきだろうと思う。田舎の零細企業の社長が五輪選手の生活を支えている。そんなことができるのも日本がG7に名を連ねるような先進国だからなのだが、それはあくまでも逆説。まともに考えれば経済一流政治三流の結果でしかない。欧米には敵わないが、日本の国民スポーツの裾野は恥ずかしくない程度に広い。東京マラソンにあれだけの人々が集う十分に成熟した社会なのだよ。あるべき姿でスポーツを楽しむ国民がこれだけたくさんいるのは、戦後の学校体育や国民体育大会といった教育政策の立派な成果だというのに、何故か頂点の選手が冷遇される。不思議だ。この謎を解くキーワードは「日の丸」と「エコノミックアニマル」だろう。古い言葉を出してしまったが、前者は「国威発揚のためのスポーツを否定したい」という気持ち、後者は「プロならば金を得ても構わないが、アマチュアスポーツはしょせん道楽だ」という実益主義。そんな警戒感が日本人の深層心理に未だ働いてはいるのではないか。そういう昭和な発想はそろそろ捨てた方がいい。仮に日本が強化費に100億や200億使ったって世界はまったく驚かない。今や借金大国だがその位の経済力はある。国威発揚でもなければ道楽でもない、日本は成熟した社会の代表として五輪選手を送り出すべきで、それに必要な予算を宛てるのは当然なのだ。裾野が広いから金はかかる。しかし、それに耐えるのが先進国だ。耐えられなければG7離脱。競技を絞って国威発揚のためにメダルを獲りに行くやり方は、発展途上国のやること。テレビ受像機をたくさん売って金メダルもたくさん獲ってIOC委員や国連事務総長も出しているのに先進国扱いされない国が近所にあるが、そんな次元で争う必要はない。重要なのはメダルの総量ではなく、その国のスポーツ文化に相応したメダルの数かどうか。現状はややそれには足りないように思う。

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