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ネットワーク民主主義は社会を変えるか?

いわゆるレコード輸入権問題そのものについては、以下に掲載するサイトが詳しいので、それはこちらを参照してもらいたい。

http://sound.jp/stop-rev-crlaw/
http://www.satokenichiro.com/cd.htm

さてこの問題、「著作権法の一部を改正する法律案」をめぐる攻防で一番面白かったのは、とかく問題視されがちなインターネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」が真面目に機能すると、とんでもない力を持つんだな・・・ということ。相変わらず困った書き込みも少なくないが、上記ポータルサイトや専門家のブログから発信される情報や大手メディアの情報が、2ちゃんねるを介して一気に音楽愛好家の間に広まり、それがポータルサイトに戻ってくる。シンポジウムを開いた音楽評論家や、反対声明を出した600人を超える音楽業界関係者、法律案に懸念を持っている議員が多い民主党の関係者の中にも、なんだかんだ言いつつ2ちゃんねるの書き込みを読んでいる人がいるのではないか。そうこうしているうちに反対署名は5万6千人にまで増え、遂には大手CD書籍通販サイト Amazon.co.jp が web site で法案に対する懸念を表明し、東京新聞は社説で「廃案」を主張するまでになった。その声に応えるかのように民主党は「著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案」を用意した。参議院を全会一致で可決した法案に修正がかかるのは異例だ。ここまでおよそ2ヶ月。5月4日のシンポジウムからはまだ1ヶ月も経っていない。法案推進側の連中は「インターネット恐るべし」と思っていることだろう。

今回、音楽愛好家の多くは自分の聴きたい音楽を守るために政治の世界に足を突っ込こむことになった。音楽愛好家には右翼もいれば左翼もいればノンポリもいる。ノンポリをポリシーにしてるさえもいる。それが参議院が全会一致で可決という絶望的な状況の下、法案に懸念を示していた民主党の一部議員を応援し始めたというか応援せざるを得ないこととなり、5月28日の衆議院文教科学委員会の際には、インターネットテレビの実況を見た音楽愛好家が2ちゃんねるの実況掲示板で、民主党の若い代議士を熱狂的に応援する現象さえ現れたのだ。彼らがこのまま民主党支持者になっていくかというと、もちろんそれはかなり疑わしいのだが...。さあ、この一連の状況を最初に紐解く政党はどこになるのだろう。城井崇衆議院議員(民主党)の5月28日の衆議院文教科学委員会での第一声。「大臣はBlogというものをご存知ですか?」政治的にはまったくもって阿呆な質問だが、案外今回の状況を現していたのかも知れない。

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