記事一覧

どうした東通工

fdd8e6c3.jpgAPOLLO-11、EXPO-70、手塚治虫に真鍋博。科学技術の進歩が豊かな未来を切り開くと信じて育ってきた世代なので、私も何だかんだ云って進歩的な工業製品は大好きだ。そういう製品を作ろうとする企業も応援したいと思ってる。技術の進歩には失敗は付き物だが、画期的で面白い製品ならばそれを楽しみ、多少の不具合には眼を瞑って使おうと云う気持ちすらある。実際、私は本田のクルマばかりに乗っているが、それは本田の企業イメージが好きだからだ。本田はリコールが多いし、走行性能に関係ない部分での割り切り方もハッキリしていていて、必ずしもモノ作りのバランスは良くない。しかし、昔から本田はクルマに夢を付けて売っている。それが面白くてついつい本田を応援したくなるのだ。去年は原付バイクまで本田にしてしまった。それまで乗ってた鈴木の原付は頑丈で長持ちした。冬でも必ずエンジンがかかった。ところが本田は買ったその年の冬からいきなりエンジンがかからない。原付を4サイクルにして半導体なんか載せたりするからだ。(笑) それでも私は本田を選ぶ。なぜなのか? それはモノに対して実用性以上の夢を抱くから。壊れないことより面白いことをどこかで望んでいるからだ。原付を4サイクルにしたところで大気汚染防止や地球温暖化にどの程度役立つかは疑問だが、それを真剣にやってる姿が馬鹿馬鹿しくて大好き。本田はハイブリットでも独自技術で必死に豊田と戦っている。安直に豊田の技術を買ってる脱兎産のクルマなど、たとえ良く出来ていてもつまらないから私は買わない。そんなこともあって家電メーカーでも私は壊れ易いと昔から云われてきた東通工が好きだった。歩きながら音楽が聴けるのなら多少故障が多くても迷わず購入。ライフスタイルを買っているのだから、それを最初に提案した企業を評価し、真似下電器は評価しないようにしてきたりもした。ところが近年、東通工の様子がオカシイ。ご存知のように80年代から90年代にかけて新電化製品のヒットを連発、故障も6~70年代より明らかに減り、向かうところ敵なしのモノ作りをしてきたのに、最近は再び創業期の頃のように故障が増え、困ったことに故障して修理に出しても修理不完全だったりするなどサービスの質まで低下しているのだ。それどころか得意の携帯音楽プレーヤーのシェア(というより開拓者イメージ)を林檎電算機に奪われてしまう始末。他に何か夢は売ってるだろうか。HD化が進む放送用カメラもかつてのような独占は完全になくなり苦戦している。頼みのゲームマシンも初期故障でミソを付けてしまった。MPEG4でも構わないから映画一本全部入るメモリを積んでくれれば買ってやったのに・・・。これからはソフトみたいことをCEOは云っているが、御社は今までもライフスタイルを提案する優れたソフトをハードに付けて売ってきているのだよ。かつてヒットを連発したライフスタイルを変えるような工業製品ってのは実はそれこそが世界が驚いた家電メーカーのエンターテイメントではなかったのか。従業員10万人の映画会社やゲーム会社になってしまったらすぐ潰れるぞ。一昨年から昨年にかけて仕事で何度か「歩きながら音楽が聴ける機械を創造」し、「CDの収録時間をカラヤンのベートーベンの第9に合わせた」あの方に直接お会いする機会を持ったが、ああこの人がもっと若かったら...と正直思ってしまった。彼こそ真のエンターティナーだ。大ファンなのでとりあえず、氏がご存命のうちは応援しようかな・・・などとも思うが、夢も売ってくれず、故障が多いとなると、その後は私も「アンチ」にならざるを得ない。残念。

コメント一覧