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カツテの神様

429c2fc4.jpg「エンタの神様」なるバラエティ番組が人気だ。そこから出た芸人さんが紅白歌合戦にまで出演していたのにも驚いた。なぜなら、私自身はあの番組に出演している芸人さんのネタを聞いて笑ったことがほとんど無いからだ。若者や子供が満面の笑みを浮かべながら楽しそうにあの番組を観ている姿を見ていると、正直なところ自分の感性が衰えてきたのではないかと逆に不安になる。もちろん、あの番組や芸人さん達を否定するコメントを並べるのは容易だ。ネタを考えるブレーン(作家)が背後にいるようだとか、いわゆるBIG3をはじめとする現在のお笑い界の巨匠たちやさらに遡って70年代のコミックバンドや関西の漫才名人たちの全盛時代と比較すればどうか?とか、いやそんな巨匠を出すまでもなくその周辺で活躍した、例えば嘉門達夫さんや松尾貴志さん、芸人ではないが柳沢慎吾さんあたりの方が、「エンタの神様」の常連よりは数百倍ハイテクニックで面白いとか、云い始めたらキリがないほど材料はある。若者や子供は昔を知らないから笑えるのだと斬ってしまえばそれまでなのだ。しかし、それを云ったところで、タモリさんが新作CDを出すわけでもなければたけしさんが漫才をやるわけではない。仮にそうしたところでかつてほど面白かどうかもわからない。存在するのは若者や子供は「エンタの神様」を見て笑っているという現実だけ・・・。笑いと云うのは人々が共有する知識のズレを楽しむもの。知識がなければもちろんだが、実は知識を共有する気持ちがないと笑えない。私が「エンタの神様」を見て笑えないのは案外「今」を知らないからなのかも知れない。これはお笑いに限ったことでもないというところがまた怖い。

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