記事一覧

SYMPHONIC LIVE (YES) 2002

6cac9987.jpg2001年、アルバム"Magnification"発表時に敢行されたツアーを収録したイエスのビデオが、2月16日までGayoで配信されている。レーザーディスク時代は発売されるイエスタイトルを欠かさず購入していたものだが、同じようなものが供給過剰気味の近年は有難味が薄くなったこともありDVDが発売されても観ることはない。この作品も既にDVD発売されているものの未見だった。シンフォニック・ライブとのタイトルが示すとおり、このライブはイエスとシンフォニックオーケストラとの初のコラボレイトだ。過去、幾多のロック・バンドがオーケストラとの共演に挑んでいるが、正直あまり成功したと思える作品はない。演奏テクニックが稚拙なバンドがオーケストラの音に呑み込まれてしまっているものや、ロックを理解できないオケの連中が無味乾燥な伴奏をするだけのものなど、惨憺たる内容のものもある。この作品に対してもたいした期待を抱いていなかったので、途中CMが入り画質音質もイマイチのブロードバンドテレビを通しての鑑賞で済ますことにした。ところが予想は良い意味で裏切られた。共演するヨーロピアン・フェスティヴァル・オーケストラは総勢40名ほど。それもバイオリンやチェロなど弦楽器系と打楽器系は全員音楽大学の女子学生とおぼしき若い女性達だから恐れ入る。気楽な服装で、演奏のないときはイエスの演奏に合わせて手拍子を取ったり、"Roundabout"ではステージ前に出来きてノリノリで踊りまくるのだから楽しい。つまり、イエス側が完全にオーケストラを使い倒しているわけで、音楽的にも無駄なシンフォニックアレンジが一切ない。それでもってビデオ制作者の趣味なのか随所に演奏する若い女性団員のアップが挿入され実に結構なビデオに仕上がっている。特にパーカッションのお姉さんがスレンダーで可愛いですハイ。(^_^) さて、肝心のイエスの演奏に関してだが、老化と戦っているスティーブ・ハウ以外は歳を感じさせない凄い演奏。ハウは指は動いているものの若い頃に比べると明らかにパワーがない。それでもスチールギターでは昔以上に味のある演奏しているし、シンフォニック・ライブを意識してか、定番のアコースティックギターソロのパートではヴィヴァルディの"ギター協奏曲ニ長調第二楽章"を演奏。観客の暖かい拍手を受けていた。曲別に見ていくと、"Close To The Edge"はオケの入らないバンド版の方がシンフォニックかな~と思うような出来でイマイチ。"Gates Of Delirium"は名演。バンドメンバーが掴み合いの喧嘩をしてるかのような演奏が元来この曲の身上だと思われるが、リック・ウェイクマンにあってパトリック・モラーツの無かったポンプ感覚、壮大な感じがオケによって強化され、この曲のシンフォニックで美しい面が十分に堪能できる。"Soon"のイントロにハープが入るところなどはウットリとすること請け合いだ。"Ritual"にも同じことが云える。発表当時、散漫との酷評もあったこの曲がオケが入ったことでカラフルさが増し、グルーヴ感が出ている。演奏して欲しくなかったのは"Owner Of A Lonely Heart"。全米1位シングルとはいえ、スティーブ・ハウが演奏するのは痛い。これをやるくらいなら、オケを駆使して"No Opportunity Necessary, No Experience Needed"でも演奏して欲しかった。もともとイエスの作品はシンフォニックに出来ている。原曲を損なわないようにオケを導入すれば当然その効果はテキメンに表れるのかも知れない。それが30年を経てやっと実現したのだからある意味意外というものだ。最後に余談だが、このビデオ、可愛いクラシックギャル?が多数出演するところがひとつの見所と最初に書いたが、仮にもしこの共演オーケストラが普通の交響楽団とかだったらと想像したらオゾマシイ。演奏の良し悪しはともかくとして、バンドは老人、オケにもハゲアタマがチラホラとなる。さらに問題は観客。このコンサートはアムステルダムのアリーナ級の大ホールで行われている。ビデオの随所でクレーンカメラが大勢の観客を嘗め回しているが、よく見れば「行けども行けどもオヤジばかり」なのだ。(爆笑) つまりアンコールで"Roundabout"を踊る可愛い女性団員達は観客達の子供のような年齢、イエスのメンバーでいったら孫のような娘達だってこと。ついにここまで来てしまったか。あと何年イエスの演奏が楽しめるのだろうかなどと考えると、演奏の出来などどうでも良いから、いつまでも元気で演奏してくれれば・・・としか云えなくなる。そこをこのビデオでは懐メロ以上のパフォーマンスを繰り広げたのだがら、やはり偉大なバンドだ。廉価版のDVDが出ているようなので迷わず購入することにした。

■DETCH-UP SQUARE BLOG は移転しました。
移転先は
http://www2r.biglobe.ne.jp/~tkbbs/blog/

コメント一覧

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー