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ねおぷろ推薦盤

90年代以降のシンフォニック・ロックから美味しかった作品をピックアップしてみた。

KOHKI

PANGEA SONG ( KOHKI ) 2000
MORE MAGIC MORE MUSIC ( KOHKI ) 2001 New !

THE FLOWER KINGS

SPACE REVOLVER ( THE FLOWER KINGS ) 2000 New !

TRANSATRANTIC

SMPTEe ( TRANSATLANTIC ) 2000
BRIDGE ACROSS FOREVER ( TRANSATLANTIC ) 2001 New !

SPOCK'S BEARD

THE LIGHT ( SPOCK'S BEARD ) 1995
BEWARE OF DARKNESS ( SPOCK'S BEARD ) 1996
THE KINDNESS OF STRANGERS ( SPOCK'BEARD ) 1997
DAY FOR NIGHT ( SPOCK'S BEARD ) 1999
V ( SPOCK'S BEARD ) 2000 New !

MARILLION

marillion.com ( MARILLION ) 1999

PALLAS

THE CROSS & THE CRUCIBLE ( PALLAS ) 2001 New !
BEAT THE DRUM ( PALLAS ) 1998

SOLSTICE

SILENT DANCE ( SOLSTICE ) 1984
NEW LIFE ( SOLSTICE ) 1992
CIRCLES ( SOLSTICE ) 1997

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KOHKI

PANGEA SONG ( KOHKI ) 2000

プログレに凝り固まってるオジサン達はきっと知らないだろうが、私の街には 恐るべき才能を持った15歳の少年が住んでいる。その名は、DJ KOHKI。 このアルバムは99年、インディ−ズ系の音楽雑誌各誌で絶賛され、 大手レコードチェーンの店頭に平置きされていた。 山の中に住んでる少年が抹香臭いジャケットのCDを作ったから、こりゃ打ち込みだらけの ニューエイジかヒーリング系の音楽でも演ってんのかと思ったら、全く違った。 なんと制作時14歳の少年が、60年代、70年代のロックを完全に消化した エスニックなサイケデリックロックを堂々と演奏してるのだ。 サンプリングマンシも使っているものの、音源はすべて自分の演奏を仕込んだもののようで、 ギター、ドラム、アコーディオンから三味線に至るまで全て自作自演・・・。いやはや参った。 自宅録音のためプロダクションは多少荒削りだが、それがかえって60年代の生々さ?を彷彿させる とういかビートルズの「トモロー・ネヴァー・ノウズ」やピンク・フロイドの「アーノルド・レーン」 あたりの凄みを醸し出していて良い。それがこのページで紹介される所以。 それでいて曲自体は現代的なダンス・ミュージック。 ここまで揃うとメジャーが放っておくはずがない。既に彼はSMEと契約を交わし、 2001年春にシングル、秋にはアルバムで40カ国以上の国でのデビューが予定されている。 一流のスタイリストや写真家がついてビジュアル面でもおおきく変貌するようだが、 音楽面では彼の個性を潰さぬよう上手にプロデュースしてもらいたいものだと思う。

MORE MAGIC MORE MUSIC ( KOHKI ) 2001

予定どおりSMEからの4曲入りシングルが登場。多様なジャンルの音楽が渾然と混ざり合ってる様子は 前作と変わらないが、SMEのディレクター氏から伝授されたであろうポップさが加わって、いよいよ 世界を狙えるサウンドへと一歩駒を進めた感じがする。本気でラリっていた60年代のサイケデリック・ ロックと同じだとは云わないが、表面的にはほとんど一緒、いやそれ以上に洗練されてます。 前作は宅録ゆえにインディーズ臭もやや残っていたが、今回は堂々たるプロダクション。 収録曲は既にCFソングとして使われることも決定しているようだ。 こうした音楽が日本国内でどうのような層から支持されることになるのか読みきれない部分もあるが、 若干16歳で、これだけの作編曲能力、演奏能力、個性があれば、業界は放っておかないだろう。 仮に今年の活動でメジャーになれなくとも、いずれ何かのきっかけでメジャーなアーチストと なるような気がする。



THE FLOWER KINGS

SPACE REVOLVER ( THE FLOWER KINGS ) 2000

TFKは、現代を代表するシンフォニック・ロック・バンドであると同時に、 カイパから連なるユーロ・ロックの正当な後継者って一面も持っている。 しかし、正直なところ今までのアルバムは、難しいことがだんだん面倒臭くなってきてる私には、 その本格派ゆえの引き出しの多さが、逆に鬱陶しく思えることもあった。 (むろんそれは単に私が長尺の作品を聴き通す根性が無くなってきたってことであって、彼等が悪いワケではない。(^_^; )  ところが今回のアルバムは違った。キーワードはビートルズ??  メロディー・ラインが明快になり、彼等が元来持ち合わせている密度の高いインストルメンタルも、クリアで快活に変貌している。 ロイネ・ストルト氏は「大西洋横断(トランスアトランティック)」して、いよいよ米大陸での活動に照準を合わせてきたのだろうか?  ユーロ・ロックの奥ゆかしさを十分に残しつつ、明快で前向きになったこの音ならば、米国のプログレファンのみならず、 世界中のシンフォニック・ロック・ファンも大いに納得することだろう。 根性無しの私にも聴けるアルバム構造に変貌している。(笑)  気合いが入りすぎて曲の自然さがやや損なわれている向きもあったトランスアトランティックよりも、 しなやかな表現が多く、「これでいいのだ!」と、思わずバカボンのオヤジのように叫んでしまいたくなるような快作。



TRANSATRANTIC

SMPTEe ( TRANSATLANTC ) 2000

Neal Morse (SPOCK'S BEARD)、Mike Portnoy (DREAM THEATER)、Roine Stolt (the FLOWER KINGS)、 Pete Trewavas (MARILLION) による、シンフォニック・ロック業界としては正にスーパーセッションともいえるプロジェクト。 唄創りに関しては Neal Morse が強力なリーダーシップを発揮してる模様で、とても寄り合い 所帯とは思えない完璧なシンフォニック・ロックが展開されている。カッコエエ〜。 ま、今となっては革新的でもなければ進歩的でもないスタイルなので、 そうしたこだわりを持ってプログレを聴く方には勧めることは出来ないが、 「70年代に進歩的だったスタイル」が忘れられない人には超お勧め盤。 近年のシンフォニック・ロックの中では最もポジティヴな作品ではないかと思う。 ギターマンがやたらと出しゃばるロックは古今東西腐るほどあるし、 プログレの世界では単にそれがキーボードプレーヤーが変わって出しゃばってるバンドも珍しくない。 マルチキーボードが鳴っていればあれば一応、シンフォニック・ロックなどと呼ばれてたりもするが、 このアルバムはそういうものとは次元が違う。もっともっと基本的なこと、 良い曲を書き、唄心のあるヴォーカリストが、優秀なインストルメンタルプレーヤーと、完璧なリズムセクションを バックに唄うと、やはりこんなに違うんだってことを思い知らされた。  SMPTe は、随所に印象的な唄メロと魅力的なインストルメンタルパートが散りばめられている。 70年代のプログレッシヴ・ロックが、単に実験音楽として存在したからだけではなく、 ビートルズに始まるブリティッシュ・ロックのポップな部分も継承していたからこそ、自分もそういう音楽にハマったんだな・・・という ことを、このアルバムはあらためて気づかせてくれる。 音楽的にもたぶん精神的にも、もはや全然プログレッシヴじゃないが、 だからと云って今更そういう音楽を否定することもないだろう。 親しみやすいメロディーと心地よい交響音が楽しめる最も良質なポップミュージックがあればそれでいい。



BRIDGE ACROSS FOREVER ( TRANSATLANTC ) 2001

Neal Morse (SPOCK'S BEARD)、Mike Portnoy (DREAM THEATER)、Roine Stolt (the FLOWER KINGS)、 Pete Trewavas (MARILLION) による、プロジェクトの2作目。前作同様、唄心のあるヴォーカリストが、 優秀なインストルメンタルプレーヤーと、完璧なリズムセクションをバックにして唄うと、 いやがおうにも高品質なシンフォニックが完成するという見本のような作品。 楽曲的には前作の方がテクニカルですが、今回は前作にあった気負いのようなモノが消え、 よりグループとしてまとまった演奏を聴くことが出来る。 21世紀になった現在でもインディーズレヴェルでは世界中でたくさんのプログレッシヴ・ロックが 再生産されているが、その多くは大仰なプログレ的なキーボードアレンジを除去すれば、 平凡で無感動、かつ「下手な歌」が残るだけのナサケナイ作品が多いもの事実。 いきおい本格派を自認するマニアはバカテクな「インストルメンタル」バンドに走るわけだが、 昔からそういう人々はいつのまにかジャズとの境界線の向こうの方に行ってしまうものだ。 その気持ちもわからないではないが、Transatlantic を聴けばガキのころ憧れた ジャズ志向のそれとは違う何かを思い出すのではないかと思う。それをガキの遊びと 思うような人はもっと御立派な御音楽を御難しい御顔で御聴きになればそれも御宜しいのでは ないかとも思う。どっちにしろすべてはガキの遊びの延長みたいなものだ。



SPOCK'S BEARD


THE LIGHT ( SPOCK'S BEARD ) 1995

ポスト・ドリーム・シアターの大本命。・・とプログレサイドの私は勝手にそう思っている。 RUSH風の鋼鉄サウンドが力強いドリーム・シアターに対し、 スポックス・ビアードは、70年代のメジャーなプログレをそのまま継承したような 古風な力強さがあるバンド。エネルギッシュなハモンドオルガンが そう感じさせるのか? キースエマーソンやジョンロードのそれだ。 LAのセッションミュージシャンが集まって結成されたバンドだそうで、 ソングライティング、プロダクション、演奏力も完璧。 やはり、演奏力のある人々がプログレの演ってくれるのはウレシイ。 1stアルバムは日本の良心的なディストリビューター 「ベル・アンティーク」により紹介されたが、その後はビクター・エンタテイメントと契約し、 1stも含め、4枚のアルバムが日本国内で発売されている。 米国ではこの4作とは別にライヴCDやアウトテイク集CDが発売。 スポックス・ビアードは、イット・バイツドリーム・シアターに続くホンモノ!バンド、 クオリティは最高だ!!(^^)


BEWARE OF DARKNESS ( SPOCK'S BEARD ) 1996

1曲目、BEWARE OF DARKNESS ってジョージ・ハリソンじゃないか・・・。 なるほど、このバンドの曲に親しみ易さを感じていたのはビートリイ(ビートルズ風)なところがあったからなのか?  でもアレンジは初期イエス。そういやイエスもビートルズの曲を演っていた・・・。(^^)  実際、2曲目の THOUGHTS などはジェネシスやジェントルジャイアントを思わせる英国寓話風展開 だったりして、きっとアメリカ人達はガキの頃よほどブリティッシュロックが好きだったんだろうなあ・・・ と思わせる見事さだ。続く、3曲目 THE DOORWAY はキースエマーソンを思わせるピアノで始まる佳曲。 往年のブリティッシュプログレのオイシイところが混然一体となって押し寄せて来る。 それでも、マイナー臭が漂いないんはアメリカ人気質かな? このアルバムは他のアルバムと比べやや地味な感じもするが、この曲を聴くためだけでもこのアルバムを聴く価値はありそうだ。 このアルバムから日本人キーボート・プレーヤー、奥本亮が参加している。


THE KINDNESS OF STRANGERS ( SPOCK'S BEARD ) 1997

遂にスポックス・ビアードは勝負に出た!! これは名作。イントロのセロの使い方からして 風格がある。続くハモンドオルガンの渋いフレーズで、プログレオジサン達をノックアウト?  さらに、ピアノを交えたイタリアンロック風のアンサンブルが聴こえたかと思うと、 カンサス風アメリカンプログレに突入!! いやあ爽快爽快!!  こんな良いアルバム、聴かなきゃ損。近年、稀に見る(聴く?)シンフォックロックの名作だと私は思っているのだが、 意外に話題にならないのは何故?? もともと、唄の良いバンドだが、 このアルバムではさらにクオリティがUPしている。2曲目、IN HEW MOUTH OF MADNESS  3曲目、CAKEWALK ON EASY STREET あたりは思わず口ずさみたくなるようなカッコ良さ。 こういうバンドはイットバイツ以来かも? 2ndから参加している日本人キーボードプレーヤー、奥本亮のハモンド・オルガンも火を噴く ような演奏(笑)でとても良い。 SPOCK'S BEARD は NEAL MORSE と ALAN MORSE の兄弟を中心としたバンドで、 兄の NEAL が全ての曲を書き、全てのシンセ、キーボード、ピアノを演奏し、 弟の ALAN がリードギター、セロなど弦楽器を担当している。 あとはベースとドラマー。しかし、ALAN がリードヴォーカルを担当しながらマルチキーボードを こなすにはさすがに物理的に限界があったようで、専属のキーボード奏者として奥本遼を加入させる ことになったようだ。いよいよ、バンドとしての体裁も整い、これは渾身の力作!!  1stのような大作主義とは異なり、イエスのザ・イエス・アルバム(3rd)や ジェネシスのトリック・オブ・ザ・ティルを思わせるタイトな力強さがみなぎっているところに 私はマジで感激した。


DAY FOR NIGHT ( SPOCK'S BEARD ) 1999

待望の新作スタジオレコーディングアルバム。演奏力は相変わらず抜群。 こういう人達がシンフォニックロックをやってくれること自体が本当に嬉しいって感じがする。 "THE KINDNESS OF STRANGERS" の判り易い曲構成と比べると この"DAY FOR NIGHT" はやや聴き込みを必要とするアルバムかと思うが、 聴き込む程に細かいこだわりが見えてきて楽しい。 5曲目のイエス風スチールギター音や6曲目のクリムゾンなメロトロンはお約束??  これはオリジンへの敬意と憧憬を込めて意図的にやってることだろうから、 多少露骨でもそれは許せる。演奏が上手だからさらに許せてしまうってもある。  特筆すべきは4曲目のような美しいバラードや、 7曲目の70年代アメリカのシンガーソングライター風アレンジだろう。 11曲目あたりにも洗練されたAOR感覚が覗いている。 この路線は良いなあ〜。SPOCK'S BEARD が聴きたくなる理由が増えた。


V ( SPOCK'S BEARD ) 2000

大作主義が復活? 久々に長い曲を演っている。前作に比べると音もパワフルになり、 売上増を狙っていよいよドリシア化の方向か?と心配したが、必ずしもそうではないようだ。 唄の良さは今までどおり。弦や木管まで登場する変幻自在のアレンジと親しみ易いメロディー は、1曲が 16分28秒もあることをすっかりと忘れさせてくれる。 アレンジ面では相変わらずジェネシスしてる部分が多いが、演奏技術も高く、 何より唄自体に西海岸のバンドらしいオリジナリティがあり、少々古風ではあるけれど、 堂々たるメジャーバンドの音。"AT THE END OF THE DAY" は、今後、彼らの代表曲になることだろう。 奥本亮は、母国への凱旋を熱望してるようだ。しかし、 日本では一般の音楽ファンはもろろん、プログレファンと云われる人々もスポックス・ビアードが 創る音楽とは別の音楽性を求めて日々過ごしてらっしゃるようで、なかなか彼らの人気は盛り上がらない。 この40年間のロックの歴史を考えれば彼らの音楽性こそがそのド真ん中であるハズなのだが・・・。(笑)



MARILLION

marillion.com ( MARILLION ) 1999

今度のマリリオンはビートルズだった。このアルバムからはビートルズが聴こえてくる。 って、別に彼らがビートルスをカヴァーをしてる訳ではないのだが、意識してるのは明白。  ビートルズのパクリ自体は40年も前から世界中の作曲家がやっているが、 今回、何故マリリオンがそれを始めたのか???  EMIの先輩に敬意を表したのか?(笑)そういや前作、RADIATIONも、EMI時代の ピンクフロイドっぽかったな??(爆) このアルバムはEMIに見切りを付けたというか付けられてしまった(^_^;  マリリオンがその元祖EMI風ポップをやってるところが楽しい。 まさか、この唄メロ中心なビートルズな雰囲気が次のマリリオンの方向性となるのだろうか??  ちなみに私は大賛成。ただし、それを理解してあげられる人がどの程度いるかはおおいに疑問。 みんなもっと流麗かつ繊細な音楽をもとめてるんだろうなあ・・・。 そういや日本盤はどうなってるのだろ?  ま、シンフォニック・ロック・ファンの現状からすればかなりハズれた作品ではある。 でも、私個人としてはこれはかなり満足。今後もこの路線で・・・と期待したい。(^_^;  かなりの間、このCDがデッキのトレーの中に入れっぱなしになっていた。 なんたってシンフォニック・ロックの元祖はビートルズ。原点回帰みたいなものだ。 ホガースさん、ロザリーさん、次はもっとサイケデリックなヤツをお願いします。(笑)



PALLAS

THE CROSS & THE CRUCIBLE ( PALLAS ) 2001

「Pallas 完全復活」ではあるんだけど、"beat the Drum" の軽快なサウンドに 慣れてしまった私にはこのハードで重厚なシンフォニック路線は正直なところ チト鬱陶しい。(^_^; むろん、それは聴く側の問題であって彼等が悪い わけではない。"The Sentinel"あたりが好きなファンにはこれはきっと最高傑作 とでも云える出来だろう。全編に力が漲っている。  "beat the Drum" が彼等の新機軸を示した作品だとすれば、"The Cross & the Crucible"は かつての Pallas の今日的再現作というか現年齢的での再編作ではないかと思われる。 最終曲 "Celebration!" あたりはもう昔のまんま。  この曲は80年代からの Pallas ファンは涙なしでは聴けない。 ダビンチが描いた飛行機が大空をゆっくりと舞うかのような、 Pallas独特のシンフォニックサウンドは、彼等のメジャーデビュー作 "The Sentinel" でも キーになっていたが、 実はこの独特で大仰な間奏のキーボードとプログレらしからぬギターソロこそが最初期から続く Pallas の定番スタイル。その浮遊感が15年の時を経て完全に復活した。  "We live, we Love, we laugh, we cry..." 6曲目 "Towers of Babble" の 冒頭でも歌われるこのフレーズ、この最終曲の冒頭でも登場。 「僕等は生き、愛し、笑い、泣く。夢を描き。作り、学び、そして死ぬ。」 このぶんだと彼等が音楽を続ける限り、私も死ぬまで彼等の音楽を聴き続けることに なりそうだ。


BEAT THE DRUM ( PALLAS ) 1998

80年代後半、EMIとの確執から活動休止を余儀なくさせられていたパラスが復活。 自主制作ながら新作スタジオ録音アルバムを発表した。内容はタイトなシンフォニック・ロック。 キャッチーなメロディーと軽快なシンフォニック・アレンジ。 それこそがとかく言葉ごと批判されることが多いポンプの良さでもあるワケだが、 近年彼等はそれを「メロディック・ロック」と称し、このアルバムでも 堂々と展開している。カッコイイだけじゃあない。 「スピリッツ」という曲では彼等の故郷スコットランドのバグパイプ音が華麗に登場。これには感動。 最初から最後まで気持ちよく聴けるゴキゲンなアルバム。 パラスは聴き方によっては超コマーシャルな音楽のハズなのだが、 昨今のメロディー不毛な流行音楽業界ではこういう音は却下のようだ。 それどころか重量級のシンフォニック・ロックばかりを有り難く思うプログレファンからも 敬遠されがちで日本盤も発売される気配も無し・・・。(笑) もっと何とかならんのだろうか。(^_^;



SOLSTICE

SILENT DANCE ( SOLSTICE ) 1984

SOLSTICE の1st。私が一番好きなバンド。ルネッサンス風の女性ヴォーカルが愛と平和 を唱いあげている。そしてヴァイオリンが入りカーブドエア化? ジェネシス風キーボード、 そして初期イエスのように跳ね回るリズムセクション。 本格的かつ良質なシンフォニックロック。 どことなく頼りない感じが残るポンプ勢の中で、ソルスティスのサウンドだけはとても力強い。 70年代初期のプログレバンドが持っていたようなリアリティのようなものすら感じられる。 80年代中頃のインディース作品ゆえ、プロダクションはやや荒削りだが、  唄心もあり、そんでもってイエスの3rdとかイット・バイツの2ndのように無駄の少ない音で 全体がビシっとタイトにキマッっているところが非凡というか凄い。 ルネッサンスの好きな方、聴かなきゃ損だよ〜。(^^)


NEW LIFE ( SOLSTICE ) 1992

ポンプ・ムーヴメントも終わり、解散したかと思われていたソルスティスが1992年、いきなり 新作を発表。ひさしぶりに現れたソルスティスは流麗でより美しいシンフォニック・ロック に変貌していた。浪々と始まる1曲目、MORNING RIGHT の堂々としたシンフォニック・サウンド にまず唖然・・・。2曲目にはデイヴ・ギルモア風ののびやかなギターも加わって、 シンフォニック・ロック・ファンならばもう大満足。至福の時を過ごせる。(^^)  曼陀羅を意図したジャケットデザインは東洋思想に由来しているようで、 それはサウンド面にも時々ミニマル(反復)という形で現れている。 愛と平和を高らかに歌う様子には、ヒッピー思想のようなこだわりも感じる。 アニー・ハズラムがイエスやマリリオンの曲を唄っているかのようなポップでリズミックな 曲に哀愁漂うヴァイオリンが駆け抜け、終わりにギルモア風ギターが登場するパターンが基本か?(笑)  それぞれの曲には適度なアクセントもあって、凡庸で眠くなってしまうような展開は皆無だ。 唄心も十分、ソルスティスはメロディアスなシンフォニック・ロックを好む者にとっては最高に 心地良い音楽ではないのかなあなどと思う。


CIRCLES ( SOLSTICE ) 1997

ソルスティスの3rd。例によって主要2名以外のメンバーは入れ替っている。ドラマーとして、 なんとジェスロ・タルのオリジナル・ドラマーであるクライヴ・バンカーが参加。 マリリオンのイアン・モズレー同様、老練なドラマーがガッチリとリズムを固め、 安定感も出てきた。御両人とも体力的にタイヘンそうだが・・・(^^;    1stから12年、2ndからも5年を経ているというのにサウンドポリシーは全くもって不変。 ここまでくると頑固。このアルバムは1stの唄の良さとキレの良さ、 2ndの見事な構築美の両方を併せ持った作品という感じがする。 美しいが、やや流麗に流れた感のある2ndを反省したのか、 3rdでは1stにあったキレの良さが甦っている。 この軌道修正は個人的には大歓迎。ソルスティスは現在もロンドンの100人規模の ライヴ・ハウスで精力的に演奏しているらしい。しぶとい人達だ。

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