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1985

音楽的には未完成??(^^;
この時期のバンドは70年代のプログレと比べるとかなり軽量なサウンドであることは否めない。産業ロックプログレと云われたボストンやカンサスの水準にも到底達してない・・・。それも事実だろう。(^^; しかし、当時の時代状況からすると、仮に彼らの音楽が本格的なプログレファンが納得するような重量級サウンドだったとしたら、チャートを上昇したり、シーンが形成されるようなことはまずなかったのではないかと思う。一般には「打ち込み系」のスカスカな音楽がカッコイイと思われていた時代だ。私などはアルバム内容はともあれ、プログレ系の音がチャートインしただけでも嬉しかったような記憶がある。


MISPIACED CHILDHOOD ( MARILLION ) 1985

マリリオンの3枚目。後期マリリオンの流麗でシンフォニックなサウンドの基礎を作ったアルバム。 スティーブ・ロザリー(g)の進歩が著しい。フィシュの私小説的な世界は相変わらずだが、 音楽的にはかなり幅が出てきたように思う。ジャケット絵に登場するピエロのようないつもの 男が部屋の窓から飛び出そうとしているところが示唆的だ?  " Lavender " という美しいバラードは絶品。アルバムではとても短い曲だが、12吋の "Lavender Blue" ではたっぷりとその美しさが堪能出来る。このヴァージョンは永らく封印されて いたが、98年にEMIから出たリマスターシリーズのボーナスCDで聴くことが出来る ようになった。「ホガーズのマリリオンは好きだけど、フィッシュのマリリオンは ちょっと・・・」という本格シンフォニックなあなたも、このアルバムだけは聴いたほうがイイかも?(^^;


THE KNIGHTMMOVES ( PALLASS ) 1985

THE SENTINEL でメジャーデビューした PALLAS の2作目は3曲入りのミニアルバム。 ヴォーカリトとして、元ABEL GANZ の ALAN REED が加入。初回プレスには、ALAN REED DEMO としてシングル盤が封入されていたので結局5曲の新曲を聴くことが出来た。 サウンド的には、ヴォーカリストの ALAN REED のスタイルもあるのか、 THE SENTINEL の重厚なプログレハードサウンドが一転、キャッチーで軽快なプログレハードに 変わっている。THE SENTINEL の頃のバンド写真を見るとメタルファンを取り込もうと 「リストバンド」なんぞまでしてた涙ぐましい努力?をしているが、それを思うと ようやく自分達らしい自然なスタイルで演奏できるようになったという感じもする。 かなりコマーシャルなサウンドだが、それはバンドもシーンも注目される中、 プログレという枠にこだわずにポップで広いファン層を獲得しようとする意図なのだろう。 もちろん、シンフォニックな味付けは完璧で、はっきり云ってカッコイイ。 売れよう売れようと必死で努力している音だ。 この時期、ポンプ5バンドのいずれもが同じようにコマーシャルな 方向に走り始めているが、その路線は米国でならともかく偏屈なモノが好まれる? 英国では結果としては少々辛かったようだ。今から思うとシーン最期のあがきって感じも しないではない・・・。(^^;


THE WAKE ( IQ ) 1985

デビュー作で正真正銘のジェネシスチルドレンぶりを発揮したIQの2作目。 ポンプが注目を集め、プロダクションが良くなったためか、録音がとてもよくなった。 リズムセクションも安定し、曲にメリハリが出ている。 聴き所は、Martin Orford のキーボード。 オバーハイム、DX7、ムーグ、アープ、ローランド、そしてメロトロン。 新旧の鍵盤を駆使して相変わらず目立っている。 また、"Corners" という曲では、あの Dave Stewart 氏がシタール!を弾いている。 意外な人脈があったんだ、というところだが、 これがまたビートルズみなたいでとってもイイ。


THE JEWEL( PENDRAGON ) 1985

ペンドラゴン初のフルアルバム。彼等もこのアルバムをデビューアルバムと 考えているようだが、個人的には、最初のミニアルバム "Fly High, Fall Far" での登場が衝撃的だったので、この作品がデビューアルバムと云われてもしっくり 来なかったりする。この作品、1曲目こそ如何にもポンプといった感じの 軽快な曲だが、2曲目以降は演奏バリバリの大キャメル大会。 "ALASKA" はキャメルの好きな人は必聴!! このバンド、基本はキャメルだ。(笑) 一方、"LEVIATHAN" がとても彼等らしい。 この曲のサウンドパターンは、デビュー前のデモカセットの "Victims of Life" から 90年代の現在に至るまで延々と続いている。キーボードは、Rick Carter で、 Clive Nolan ではない。後年、彼の手によってペンドラゴンは重厚なシンフォニックロック に変貌していくが、この「キャメル」パターンだけはまったく変わっていない。(^^; これをやらなくなったらペンドラゴンじゃなくなってしまうような気もする。 最近は、Clive Nolan ばかり目立っているが、このあたりが変わらない点を 考えるとペンドラゴンは基本的には Nick Barrett や Peter Gee のバンドのようだ。


GULLIBLE'S TRAVELS( ABEL GANZ ) 1985

パラス加入前の Alan Reed が加入していた ABEL GANZ の85年のテープ作。 うわージェネシス! 明るくて元気なジェネシス? だ。 IQよりはずっと演奏的に安定してると思うのだが、こちらがまったく オーヴァーグラウンドに浮上してこなかったのはたぶんアイドル性の問題では ないかと思う。(^^; ポンプ・ムーヴメント自体とてもミーハーなところが あって、音楽性がそのまま人気に繋がっていたようにはとても思えない。 それにしても、この ABEL GANZ は、ポップ性といい、ジェネシス性といい、 泣きのギターといい、申し分のないシンフォニックポップだといのに、 パラスのアラン・リードのいたバンドだけで終わってしまうのは惜しい。


EAST-WEST ( MULTI STORY ) 1985

ジャケットの写真は月面写真とアポロ計画の宇宙飛行士。 ジャケットのとおりのスペースロックを演っている。 宇宙ドキュメンターリー番組に使われるような音楽だが、ポンプ的なメリハリもあり、ノリはいい。 眠くなるようなシンセが連続するようなノンビートミュージックではない。 プロダクションも良く、なかなかの力作。 ただ、こういう音楽はテレビのBGMで聴けば十分って感じもする。 昔からアニメやSF映画のサントラにも、サウンド的にはほとんどプログレってものが 少なくないが、それを敢えてそれを聴こうとは思う人はそう多くはないだろう。


FIRE IN HARMONEY ( OMNIBUS ) 1985

EMIがマリリオン、パラスに続くバンドを発掘しようと、インディーズの青田買いを しようとした?編集アルバム。8つのバンドの曲がそれぞれ1曲づつ収録されている。 収録されているのは、PENDORAGON, HAZE, LAIASON, TRILOGY, SOLSTICE, CITHIZEN CAIN. LA HOST, QUASAR 。この中での出世頭は御存知のように、PENDORAGON と SOLSTICE 。 いずれも、90年代になって訪れたシンフォニックロックブームで遺憾なく 力を発揮することになる。収録されている他のバンドだが、HAZE は、"SHADOWS" という曲で「そして3人が残った」のジェネシスのピーコのようなことをしている。 続く LIASON も同じ。ギターは Jan Akkerman のよう? でも、このバンド、他で聴いたことが ない。 TRILOGY はその名の如くELPタイプのバンド? でも、収録曲は如何にもポンプという曲。 LA HOST も同傾向でややテクノ風。CITIZEN CAIN はジェネシスチルドレン。今でも活動しているようだ。 そして、Quasar 女性ヴォーカリト Susan Robinson で再録音された" Fire in the Sky " が収録されている。 やっぱり、PENDORAGON と SOLSTICE の個性が光る。他も悪くはないが、 どれも同じ感じがしてしまうところがちょっと悲しい。(^^;

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