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1983

プログレの復活(ポンプ5バンド)
ネオ・プログレ・シーンの中心になっていたのは、"MARILLION" "PALLAS" "IQ" "PENDRAGON" "TWELFTH NIGHIT" の5バンド。彼等が出演するマーキークラブはいつも満員だったらしい。ほどなくこの5バンドは、かつてプログレの名門と呼ばれたレーヴェルからそれぞれアルバムデビュー。そしてそれら5バンドの後に続いたのが、"SOLSTICE" "QUESAR" だった。


SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR ( MARILLIION ) 1983

レディングフェスティバルはその昔、ナショナルジャズブルースロックフェスティバルと呼ばれ た屋外コンサート。PFMやフォーカスがセンセーショナルなデビューを飾ったことでも知られている。 そのレディングで成功し、名門EMIからデビュー。さらにシングルのB面の大曲で煽られば、 ファーストアルバムへの期待はいやがおうにも高まる。 デビューから1年、満を持して発売されたこの1stアルバムは、なんとすべて新曲。 それまでのシングルを集めただけでもいいアルバムになりそうなところを敢えてそれをしない。 戦略的にカリスマ性を高めていくとは何ともプログレ的な煽り方だ。 音楽的には初期ジェネシスの模倣と云われても仕方が無いくらいのものだが、 それはお約束とでもいうべきか? 演じる方も聴くほうもそれを納得の上でハマり込んでいるのだ。 模倣を云々するのは「野暮」ってものだろう。 むしろ、この時期にそういうシーンを作り出したことが立派。 ただ、それは英国での話。当時の日本は遅れてやってきたパンクニューウェイブ全盛時代、 この貴重な時期にマリリオンがなんと来日公演を果たしたにも関わらず、 あの狭い日本青年館に空席を出す始末だった。



TARES FROM THE LUSH ATTIC ( IQ ) 1983

現在も活動を続けるIQの自主制作デビュー盤。"A WAKE AND NERVOUS" という 曲がインスディースチャートに入り、マリリオンに続く新人として期待された。 この曲は、Martin Orford によるほどんど完璧にジェネシスしてるキーボードが 聴ける曲。ここまで臆目もなく"WATCHER OF THE SKIES" 風の「ぶわあ〜!」という メロトロンサウンドが使われると非難の言葉も出ない。まさにジェネシス・ チルドレンの面目躍如というべきか? しかし、このバンド、 せっかくポンプ離れした厚いキーボードサウンドでデビューしたというのにその後は 売れ線を意識してかポップで軽快な音に変わっていき、 そのままポンプの衰退と共に活動休止に陥ってしまう。 90年代になり、ペンドラゴンの CLIVE NOLAN らのヘルプに よって復活してからは、流れるキーボードサウンドが印象的な ネオ・プログレに戻り、再びファンを魅了している。



ARRIVE ALIVE ( PALLAS ) 1983

明朗盤でも紹介したパラスのメジャーデビュー前のライブ盤。 歌メロもよくキーボードもキマっていて、実にカッコイイ。 "Crown of Thorns" の見事な展開には唖然としてしまう。 インディーズゆえサウンドプロダクションが貧弱でもスカスカ気味なのだが、 実はそれゆえ歌メロもよくわかり、ギターのキメやキーボードの重なり具合などが、 キャッチーにキマる瞬間もはっきりと聴きとれるので聴いていて楽しくなる。 手を加えればメジャーでやってけるだろうと誰もが思うフレーズの連発。 マリリオンがブレイクする中、当然この音が放っておかれるワケがなく、 翌年にはEMIハーベストと契約し、あのエディ・オフォード による重厚なプログレメタルサウンドでメジャーデビューするわけだが、 私としてはこのシンプルな状態のパラスの方が好きだったりもする。



FIRE IN THE SKY ( QUASAR ) 1983

70年代から、ジョン・メイオール、クォータマス、ユーライア・ヒープなどといった グループと共に長い経験を積んだベーシスト、Keith Turner が80年代に結成した バンドと紹介されているが、どのバンドのクレジットを探しても残念ながら彼の名は 出てこなかった。その頃からアンダーグラウンドでやってたということなのか?  それはともかく、クエーサーはその名のとおりスペイシーなシンフォニックロックを聴かせるバンド。 前出の AIR BRIDGE よりはずっとダイナミックな音使いで完成度も高く、今聴いてもけっこう聴ける音を出している。 マーキーなど西欧のライブハウスで盛んに活動していたが、 キース以外のメンバーは常に流動的だったようだ。この作品もいったんインディースでリリースしたものが 廃盤になり、女性ヴォーカルを加えて再びリリースされたもの。 1985年にEMIがペンドラゴンやソルスティスなど期待のポンプバンドを8つ集めて作った 編集アルバム "Fire in Harmony" にも、女性ヴォーカリスト Susan Robinson 版の "Fire in the Sky" がトリに収録されている。



RED ( RED ) 1983

「レッド」と聴いてすぐピンと来るあなた! 相当重症。アルコール依存症・・・あ、それは違うか。(^^;  クリムゾンの「レッド」という意味だ。ただし、コピーではない。 ジェネシスクローンが多いポンプ勢の中、ときどきイエス風なバンドもいたが、 80年代はシンセの音が珍しくも何とも無くなった時代のためかELP風というバンドは 少なかったと思う。ところがこのバンド、いきなり「レッド」だ。 名前のとおり、ヘヴィかつバカテクな大音量変拍子ギターアンサンブルをやっている。 アネクドンが好きな人は要チェック? というよりこういうバンドがポンプ勢に紛れて 80年代の英国で頑張っていたって事実が面白い。



TENANTS OF THE LATTICE -WORK ( MAINFRAME ) 1983

一方、こちらはテクノ風。でも、どこかテクノとは雰囲気が違う。 テクノ風ではなくシナジー風なのだ。冒頭、いきなりコーラスで入るのだが、 このヴォーカルもテクノというよりシンフォニック・ロックなヴォーカルだ。 アルバム全体がSFストーリー仕立てってところもプログレ風。バグルズほどロマンチックでは ないがソフトでイイ味は出している。シンセとギターを2人で手分けして演奏してる模様。 パーカッションは打ち込み。パーカッション・シンセを昔なつかしいアップルUで駆動している。



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