神風・愛の劇場スレッド 特別編2 『撮れなかった写真』(6/25付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 25 Jun 2000 13:24:20 +0900
Organization: So-net
Lines: 170
Message-ID: <8j41hm$15q$1@news01df.so-net.ne.jp>
References: <8hfjt4$9cs@infonex.infonex.co.jp>
<8i07b1$phn$1@news01dh.so-net.ne.jp>
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<8i2523$ag8@infonex.infonex.co.jp>
<8ikf09$8hm@infonex.infonex.co.jp>

石崎です。

hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8ikf09$8hm@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。
># 極秘指令により自己フォロー。(笑)

 先週はどうもすいませんでした(汗)

># このスレッドは表題作「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版から派生した
># 所謂「妄想」に関する物です。そういうのが趣味じゃない方は
># 読まない方がよろしいかと。

 …と言うことで宜しくお願いします。



># したがって、これは番外編です。
>## いつもとは違う表現を試してみました。

 番外編を読んで妄想したのをその2としてフォローしてみました。

>★神風・愛の劇場 特別編 『太陽があった頃』

 一人称はやろうと思いつつも、何となく恥ずかしくてやっていませんでした
(笑)。
 成る程、最近会ったように思えたキャラ同士が、実はずっと昔に会っていたと
いう事ですね。
 都ちゃんのツグミさんに対する態度の描き方が良いです。私的都ちゃんの性格
と合っている所が特に。

 それにしても…幼稚園にも行っていないのですか。
 何だか、ツグミさんの生い立ちは私の想像以上に不幸みたいです。実はアイリ
スみたいな事情があったのか(嘘)? 今も学校に行っている気配が感じられな
いし。
 実はツグミさんの設定に関しては、以前も書いたとおり最初に出したもの以外
は、殆どの点についてあえて決めずに置いてあったりします。

># 1人称というのをやってみました。
># へっぽこ実験妄想って感じ。(笑)

 …と言う訳で、へっぽこ実験妄想、今回は逆サイドから書いてみました。


★神風・愛の劇場 特別編(その2)『撮れなかった写真』

「結局あれは、どこにいっちゃったんだろう…」

 空の宝箱を見ながら、あたしは一人ごちた。
 箱の中にはかつて、あたしの宝物が大事にしまってあった。
 その宝物はある日、そう、あたしが部屋で突然倒れて寝込んでいた間に無くな
ってしまった。
 無くなった事に気付いてから暫くの間、部屋のどこかに落ちているのではない
かと探し回ったけど、結局それは見つからなかった。
 母さんにも聞いたけど、そもそも母さんはそんな物の存在すら知らなかったの
で、首を傾げるばかり。結局、何かの間違いで捨てられてしまったのだろうと結
論づけるしか無かった。

 あたしは鞄の中からシステム手帳を取り出した。
 生徒手帳だけだと、書き込める分量が少ないからいつも持ち歩いているものだ。
 ジャンヌ逮捕の手伝いをしている時なんかに使ってる。
 手帳を開くと、その中に潜ませたもう一つの宝物を取り出した。

「これは無くさないようにしなくちゃね」

 それは一枚の写真。
 それに写っているのは、幼稚園に通っていた頃のあたしとその親友。
 元々その親友──まろん──とは近所同士だったのだけど、友達になったのは
幼稚園の時だった。
 その写真はまろんと友達になって暫くしてから「友達になった記念」にお兄ち
ゃんに撮って貰ったんだ。
 え? そんな事で記念写真を撮ったのかって? 確かにそう言われればそうか
もしれない。その頃のあたしは、友達付き合いが超下手だったから、友達らしい
友達は、まろんが始めてだった。だから…。
 撮った場所は近所の公園。そこであたしとまろんは良く遊んでた。
 いつもあたし達は二人だけで遊んでいた。お兄ちゃんがたまに一緒に遊んでく
れたけど、他の子と一緒に遊んだ記憶は無かった。ただ一人の例外を除いて。

 この写真を見ると、その例外の子の事も思い出す。
 あれは、まろんとその公園で遊ぶようになってからしばらく経った頃。木陰か
ら、あたし達の事をじっと見ているあたしと同い年位の女の子がいた。
 あたしはそれに気付いても、暫くの間気付かない振りをして、まろんにも話さ
なかった。
 まろんはあれで周りの状況に鈍い所があるから、気付いていなかったみたい。
 だって、気付いていたら、自分から誘った筈だから。

 あたしは、自分からその子を誘うことはしなかった。
 出来なかった。
 友達のいなかったあたしは、どうやってその子に言葉をかけて良いのか判らな
かった。
 それが一つの理由。
 でも、もう一つ別の理由があった。

 ──まろんを取られたくない。
 おかしいでしょ?
 あたしは、その子を仲間に入れてしまったら、まろんがあたしだけのまろんで
無くなってしまう。その事を恐れていたのよ。

 でもある日、とうとうその子と目が合ってしまった。
 目が合ってしまうと、逆に先に目を逸らす事が出来なくて、その子の事をじっ
と見ていたわ。そしたら、その子は走って逃げて行った。
 今から思うと、その子の事を知らず知らず睨み付けていたのだと思う。

 その日から何日かその子は公園に来なかった。
 それで気付いたの。
 その子も友達が欲しかったのに、それを言い出せなかったからじっとあたし達
の事を見ていたんだって。
 どうして分かってあげられなかったんだろう。
 あの子もあたしと同じ、寂しかっただけだったのに…。

 だから、次にその子を公園で見かけた時、あたしは躊躇わなかった。
 その子が逃げないように、その手をしっかりと握ったの。
 でも、やっぱり何と言って誘ったら良いか判らなかったから、ただ黙ってその
子を砂場で遊んでいるまろんの所に連れて行った。
 まろんはその子と私を見て笑い、「一緒に遊ぶ?」とだけ言った。

 それからあたし達は砂場でトンネル掘りをして遊んだの。
 三人で別方向から掘り進んだトンネルが開通した時に、あたしはあの子の手を
握ったわ。
 あたしはその子に微笑みを見せた積もりだったんだけど、あの子にはあたしの
事はどう見えていたのかしらね。

 それからその子と何日か一緒に遊んだわ。
 あたしは、まろんと友達になった時と同じように、その子と友達になった記念
に写真を撮ろうとして、ある日お兄ちゃんを公園に引っ張ってきた。
 でもその日、その子は来なかった。
 次の日もその次の日も来なかった。
 結局、もう二度とその子が公園に姿を現すことは無かった。
 そうなって初めてその子の名前をまだ聞いていなかった事に気付いたの。
 あの子の顔は今でも覚えてる。
 もっとも、顔を覚えていても、今となっては判らないだろうけど。
 それと顔以外にもう一つ。
 あの子、首筋にほくろがあるの。
 色白な子なのでずいぶんそのほくろは印象的だったから、今でも覚えてる。

 そう言えば最近知り合った友達の首筋に、やっぱり同じようにほくろがあった。
 もっともそのほくろを見た時は、別の事が気になっていたのだけど、その子は
やっぱり色白であたしと同い年位。顔の作りも似てる気がする。
 ひょっとしてあの子はあの時の…。後でそう気付いたのだけど、あの子は目が
見えない。昔会ったその子はそんな事は無かった。だから良く似た別人なのだろ
うと思う。
 仮にあの子が、その子だったとしても、昔何度か遊んだだけの関係なのに、あ
たし達の事覚えてる訳ないよね。

 最近、最近その友達──最近知り合った方──が、まろんと随分親密な関係ら
しい。
 まろんはあたしに何も教えてくれないけど、何となくそんな気がする。
 まろんがあたしから離れて行ってしまうのかと思うと、あたしは怖い。
 でも思うの。あの子も一人暮らしだって聞いたから、きっと寂しいんだろうな
って。
 だから、二人の事は見守っていようと思う。
 それにまろんが、あたしの事を忘れるはず無いものね。
 だから信じて見守っていよう──。

「都、まだ寝ているの? 早くしないと朝練に遅れるわよ」
「今行く!」

 昨日、暫く振りに家に帰って来た母さんがあたしを呼ぶ声がする。
 あたしは、大切なその写真を再び手帳の中にしまうと椅子から立ち上がった。
 今度はあの子とあたしとまろんの三人で、ちゃんと写真を撮っておこうかな。

(特別編2:終わり)

 本日の妄想…失敗

 いやぁ、一人称は久しぶりに書きましたけど、やっぱり恥ずかしいですね
(笑)。
 では、また。

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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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