神風・愛の劇場スレッド 特別編 『太陽があった頃』(6/19付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 19 Jun 2000 15:35:53 +0900
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佐々木@横浜市在住です。
# 極秘指令により自己フォロー。(笑)

# このスレッドは表題作「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版から派生した
# 所謂「妄想」に関する物です。そういうのが趣味じゃない方は
# 読まない方がよろしいかと。



# 妖しい方の記事の関係で妄想本編の次は金曜日くらいだそうで。
#(という電波が、ピピっと来ました ^^;;;)
# そんな理由で変則的ですが、佐々木担当パートが続きます。
# ただし、本来の話の主軸を既に書き進めておられるとの由。
# したがって、これは番外編です。
## いつもとは違う表現を試してみました。


★神風・愛の劇場 特別編 『太陽があった頃』


今日は私が憶えている数少ない子供の頃のお話をしましょう。
まだ私が四歳か五歳くらいの頃です。お家は今の場所ではなくて
もっと街の中心に近いところでした。古い一軒家だったのです。
でも、お庭は申し訳程度の広さでしたから昼間はちょっと離れた所の
公園に遊びに行っていました。近所にはほとんど遊び相手は
居なかったと記憶しています。私は幼稚園には行っていませんでしたから
その所為でお友達を見付ける機会が余計に少なかったのかもしれません。
ですから、一日中独りで公園に居たような気がします。
それでも特に寂しかったという記憶は無いのですが、もしかしたら
忘れてしまっているだけで、本当は寂しかったのかも。
実はそんな事を思うのは理由があるのです。

公園に遊びに行くようになってから、どのくらい経った頃でしょうか。
同じくらいの年頃の女の子を見かけるようになりました。
スモックだったと思いますが、同じデザインの服を着た二人の子です。
今にして思えば、多分幼稚園の制服だったのでしょうね。
その二人は何時も一緒に来て、一緒に帰っていきました。
私は大抵、その二人が来る前から公園に居て、帰った後に家に戻っていました。
何故かはよく憶えていないのですが、私は二人が来ると
隠れて遠くから、彼女達の様子を見ていました。
お友達が居なかったので、他の子に何て言って話しかければいいのか
判らなかったんじゃなかったのかな、とは後から考えた理由です。
それは兎も角、私はずっと二人を見ていました。
そして、二人はいつも楽しそうに仲良く遊んでいました。

そんなある日。私は二人の子のうちの一人と目が合ってしまったのです。
もしかしたら、もっとずっと前から、その子は気付いていたのかも。
目があった時、何だか悪い事をしていた様な気持ちになって
逃げるようにお家に帰ってしまったのでした。
その夜、その子に怖い顔で睨まれている夢を見て夜中に泣いた気がします。

それから何日かは公園には行きませんでした。
でも、やっぱり退屈すると公園に行きたくなります。
それで我慢できなくなったある日、こっそりと公園に行きました。
入り口で公園の中の様子をそっと伺い、誰も居ないことを確かめました。
どうやら誰も居ない。そう思った時です。
誰かに手を掴まれました。とっさに振り返ると、あの女の子が居ました。
目が合ったときと同じで何だか怖い顔です。
また泣きそうになってしまいました。
でも、その子は何も言いません。暫くして、その子は私の手を握ったまま
私を公園の中に引っ張って行きました。
砂場に着くと、いつものもう一人の女の子が遊んでいました。
彼女は怖い顔の子と、そして私に交互に笑いかけてくれました。
そして私に向かって砂場に出来ていた山を指差して、何か言ったのです。
怖い顔の女の子は私をその砂の山の所にしゃがませました。
それからその子は、山に穴を掘り始めました。
笑顔の方の女の子に言われて、私も穴を掘りました。
砂の山の真ん中辺りで穴がつながり、私は怖い顔の女の子の手に触れました。
その子はもう一度、私の手をぎゅっと握ったのです。
今度はその子の顔は怒っている様には見えなかった気がします。

彼女達とはそれから何度か公園で一緒に遊んだと思います。
でも本当に僅かな間でした。建築中だった今のお家が出来上がって、
私達一家は引っ越してしまった為に、もう公園には行けなかったのです。
二人には結局お別れを言う機会は無く、あれ以来一度も会っていません。
今でもあの公園の近所に暮らしているのかさえ判りません。
もっとも、もし今街ですれ違ったとしても、私には二人の顔は判らないのですが。
私がお友達と呼べる相手は、ずっと長いこと、この二人だけでした。
最近ふとした出合いから、お友達と呼べる人達が急に増えてきたのですが、
どういう理由か、ずっと昔に、ほんの数回遊んだだけの
あの二人の女の子の事を、この頃頻繁に思い出すようになりました。
どうしてでしょうね。不思議です。
ごめんなさいね、つまらないお話だったでしょう?
それじゃ、また。

追伸。最近増えたお友達というのには、勿論あなたも入っていますよ。


(特別編・終わり)


# 1人称というのをやってみました。
# へっぽこ実験妄想って感じ。(笑)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
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