From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 23 Apr 2000 21:05:08 +0900
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石崎です。
hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8dh3so$12g@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。
こんにちわ〜。
神風怪盗ジャンヌの世界を壊されたくない人だけ読んで下さい。
ゲームスタート!
>>> ★神風・愛の劇場第39話
>三枝先生に関しては娘の写真は一枚も残ってない…という事態は
>回避されている様子ですね。(別人だとまた大問題。^^;)
一応三枝先生の持っているアキコの写真は、別荘毎ネガと共に消失している設
定の積もりで、あの懐中時計のが最後の一枚の私的設定です。まぁこれは、変え
てしまっても全然構いませんが。
>そして寂しい者同士もあ〜んな事に。^^;;;;;
>かなり意外な組合せって気がします。そうですか眠れませんか。(爆)
堕天使フィン×都はアニメ第43話が放映された時点で確定したカップリング
では(爆)?
>★神風・愛の劇場 第40話
弥白にはいずれ天誅を与えなければいけないと思っていて、その方法もちょっ
と考えていたのですが、佐々木さんに代わりにやって頂いたという感じです。
弥白がモニターを叩き壊したその音をツグミさんに聞かれる可能性を失念して
いました(ぉぃ)。あれだけ音漏れには注意していたのに…(自爆)。
ところで弥白はミストの駒だった筈なので、そのミストが弥白をわざわざ苛め
るからには、何か理由があるものと考えられます。
そんな訳で、その理由と悪魔族の設定、悪魔キャンディーの設定を勝手に作っ
てみましたが、佐々木さんの設定に何か不都合があったでしょうか(汗)。
では、本編に移ります。
★神風・愛の劇場 第41話
■ミスト編
●枇杷町 山茶花本邸
桃栗町のオルレアンから、次元の狭間を通って枇杷町まで跳んだミスト。
現れた先は、山茶花弥白の本邸の屋根の上でした。
やや遅れて、アキコも現れます。
「アキコはここで待ってなさい」
ミストは、アキコにそう言うと、また霧のように姿を消します。
アキコは大人しく、屋根の上に腰を下ろして待っています。
●弥白の部屋
昨晩、ビデオテープを見ている最中に気絶した弥白は、豪華な寝室のベットに
寝かされていました。そこにミストが現れます。
「起きなさい、山茶花弥白」
すぐには弥白は目を覚ましませんでしたが、何度か呼びかけている内に、気が
つきます。
「う…ん…」
「漸くお目覚めのようね」
目を覚ました弥白は、最初は誰に呼びかけられているのか判りませんでした。
段々視界がはっきりして来るにつれて、少女が立っているのに気付きます。
「あなたは…誰ですの?」
「あら、もう忘れたの? 会うのはこれで3度目じゃない」
「存じませんわ」
「あ…そう言えばこの『姿』で会うのは初めてだったわね。じゃあ、これならど
う?」
ミストは、10代の少女の姿から、小学生位の姿へと変化します。
「あ…あ…」
以前取り憑かれた時の状況を弥白は思い出し、後ずさりをします。
「何よ。あたしの事、怖がっているの?」
「今度は私に何をする積もりですの?」
「何って、あんたの望みを叶えてやるのよ」
「嘘ですわ。あなたと会うと私の記憶はいつも途切れ、気付いた時には稚空さん
や周りの方達の目が冷たくなっていくような…そんな気がするんですの。あなた
は私を利用しているだけなんですわ」
「確かに、あたしはあんたを利用したわ。でもそれはあんただって同じ事じゃな
い」
「でも…」
「『名古屋稚空を自分の元に取り戻したい』その想いが無かったら、あたしはあ
んたの事を利用する事なんて出来なかった。あんただって、あたしの力を利用し
て、自分の想いを遂げたかった。違うの?」
「確かに私は稚空さんと結ばれたかった。でも…」
「あたしがあんたにした事は、あんたの心の中に秘められた欲望を表に出せるよ
うにした事だけ。『力』はそのおまけに過ぎないわ。幾らあたしでも、元々存在
しない欲望を表に出させること何て出来ないもの。欲望が無ければ、『力』を使
う必要なんて無いわ」
「何を仰りたいんですの?」
「つまり、記憶が途切れている間にあんたが何をしようとも、それはあんたが望
んだ事だって事よ」
「それは…」
「それにあんた、あたしから『力』を受け取っていない時でも、こ〜んな事して
たじゃない」
ミストは、寝室の窓に映像を映し出します。
「あ…」
ミストが映し出したのは、昨晩ツグミの家の近郊に潜む弥白の姿でした。
「どうして…これを…」
「あんたが普段やっている事って何? 『稚空さんのため』とか言って、やって
いる事はただの『ストーカー』じゃない。これって人間界の掟では、立派な犯罪
行為よねぇ」
「違う…私のやっている事はストーカーなんかでは…」
弥白は、顔面蒼白でガタガタと震えながら、ブツブツと訳の判らない事を呟き
始めます。
「しかも、その行為を人に気付かれているみたいね。あんたはもう終わりよ」
『逃げられると思うな』
窓に例のビデオの最後のシーンが映し出されると、そのシーンだけリピート再
生されます。
「嫌…嫌…」
弥白は枕に顔を埋めてしまいます。
「これを名古屋稚空が見たら、何て思うのかしら」
「それだけは止めて!」
「どうしようかな〜」
「お金がお望みですの? それなら望むだけの額を…」
すがるような目つきで弥白は訴えます。
「あんたって本当に馬鹿ね」
「え…」
「あんたは力を持っていても、その使い方を知らないわ。あんたみたいに持てる
力を見せびらかしていたら、他の人間から得られるものは、『恐怖』『嫉妬』
『蔑み』…いずれにしろロクなもんじゃないわね」
「私は…私は…」
「『力』って言うものはね、見せびらかすものじゃない。相手にそれとなく気付
かせる事で真に威力を発揮するのよ。もちろん、相手に『力』を見せる必要があ
る時はあるわ。でもそれは、相手が力を見せびらかしてきた時だけ」
この時ミストは、弥白だけで無く自分自身にも向けてこの言葉を発しています。
ミストは魔界の中の一種族、悪魔族の一員でした。天界や人間界では、魔界の
者の大部分が「悪魔」だと思われています。しかし、実は本当に「悪魔族」と呼
ばれる者は、その中の更に一部分でしかありません。
かつて悪魔族は、あまりに強大な力を持っており、その力を誇示しすぎたため
に天界からは蔑まれ、人間界では恐怖され、魔界では嫉妬され、他の全ての者達
から疎まれる事になったのでした。
その過去があるために、余程の事が無い限り、悪魔族の者は自分の持てる力の
大部分を自分で封印していました。
その封印の方法は様々です。ある特定の条件を自分で定め、その時以外には全
力を使えないように術をかける者、力を使うとその内の何割かが自分に返って来
る事にして、滅多な事で力を使えなくした者…。
ミストの封印の方法は、自分の力を別所に分離して置くことでした。
その分離した力。その結晶こそが『悪魔キャンディー』の正体でした。
ミストに取って、悪魔キャンディーとそれを納めたキャンディーボックスは、
自分そのものなのでした。
この方式の利点は、自分が望む時にいつでも自分の力を取り出す事が出来る事
でした。
人間界にいる時は、特に自分の姿を維持するために、多くの『力』を消費しま
す。それを補うために、時々ミストは『悪魔キャンディー』を口にします。食べ
過ぎないように気をつけながら。
そして、時にはキャンディーを補充するために、異空間へと出かけては『狩
り』をして、そこで得た『力』を自分の身体から分離して、キャンディーを補充
しているのでした。
「…安心なさい。あたしはあんたの事気に入っているの。さっきのビデオに映っ
ていた女の記憶は消しておいたから、この事が明るみに出ることは無いわ」
すっかり脅えている弥白を哀れみの表情で見下ろしながら、ミストは安心させ
るように話しかけます。
本当は最初からツグミの事をミストが操っていたので、ツグミの記憶が残って
いる筈など無いのですが、それを弥白に言うことはありません。
「それは本当ですの?」
「ええ。その代わりに、あたしの頼みも聞いて聞いて欲しいわね」
「それは何ですの?」
自分の行為が明るみに出ないという安堵感と、何を要求されるのかという不安
感がごちゃ混ぜになった表情で、弥白が聞きます。
「それは…」
ミストは弥白に何事か囁きます。
***
「そんな事で良いんですの?」
意外な表情で弥白が聞きます。
「ええ。あたしがあんたの事を選んだのは、その為なんだから」
「判りましたわ」
きっと決意した表情で、弥白が答えます。
「契約成立ね。じゃあ、あたしからあんたにプレゼントがあるんだけど…」
ミストが指を鳴らすと、床に何か機械のような物が出現します。
「これは…まさか…」
「ちょっと拾ったの。これ、あんたのでしょ? 返して上げるわ」
ツグミの家の側から脱出する際に、自爆装置を作動させた筈の偵察ユニット。
それが出現した機械の正体でした。
「見てなさい…日下部まろん…」
弥白は暫く機械を呆然と眺めていましたが、やがて何かを思いだしたように、
ノートパソコンを取り出すと、i-Linkケーブルを偵察ユニットに接続し、何事
か作業を始めます。
「良い? あんたの持っているその情報は『力』よ。その使い方、もう間違える
んじゃないわよ」
「判っておりますわ」
(本当に判っているんだかね、この娘…。でも…)
弥白の様子に不安を覚えるミストでしたが、他に手駒も少ないので、仕方があ
りません。
(これはもう不要みたいね)
念には念を入れて、悪魔キャンディーを使おうとしますが、最早弥白にそれは
不要と感じるミストなのでした。
「見てらっしゃい、フィン。あんたの大事な物は、全てあたしが奪ってみせるか
ら…。かつてあんたがあたしにした様にね…」
■東大寺都編
●都の部屋
「う…ん…」
外が明るくなってきた頃、都は目を覚まします。
目を覚まして暫くは、いつものようにまどろみの時間を楽しんでいましたが、
ふといつもと何か感触が違う気がして跳ね起きます。
「夢じゃ、無かったんだ…」
シーツの上には、白い羽根が何枚か落ちているのでした。
「寒…。あ、もうこんな時間…」
都はタオルケットを身にまとい、ベットから降ります。
●オルレアン 7F廊下
制服を着た後、都は手早く朝食──と言ってもトースト一枚とトマトジュース
だけ──を口にして、朝練へと向かいます。
部屋を出て、まずまろんの部屋の前に立ちます。深呼吸してから、恐る恐るチ
ャイムを押します。
ピンポーン
しかし、まろんが出て来る様子はありません。
いつもならば、ここで起きるまで何度でもしつこくチャイムを押す都でしたが、
この時はもう一度チャイムを押す勇気がありませんでした。
「先に行くわよ…」
ドア越しに声をかけると、都は歩き出します。
チーン
その時、エレベーターのドアが開き、誰かが降りて来ました。
「まろん?」
「あ…都…」
その時のまろんは、何故か「しまった」という表情をしているように都には見
えました。
「どしたの? こんな朝早くに私服で。今日朝練なの知ってんでしょ? まさか、
朝帰りな訳じゃないわよね。無断外泊は校則違反よ」
「ま、まさか違うわよ。ちょっと、朝の散歩をね…」
「ふ〜ん。散歩ねぇ…」
「ごめん都。先行ってて! すぐに着替えて朝練行くから!」
まろんは、部屋の中に逃げるように入って行くのでした。
「相変わらず嘘が下手ね…」
都は、まろんが嘘をついているのだと言う事を見抜いていました。
(いつの頃からだろう。まろんがあたしに『隠し事』をするようになったのは
…)
その時の都はとても寂しそうな表情をしているのでした。
(続く)
なんだか今回はミストばかりな気がします。
本当はもっと先まで進めたかったのですが(笑)。
では、次回もあなたの心にチェックメイト! …だと良いですね。
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Keita Ishizaki (E-mail:keitai@fa2.so-net.ne.jp)
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