From: keitai@fa2.so-net.ne.jp (Keita Ishizaki)
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Mon, 03 Apr 2000 00:37:08 +0900
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石崎です。
神風怪盗ジャンヌの妄想小説第35話です。
こちらは後編です。前編から読んで下さいね。
ジャンヌ世界を壊されても良い人だけ読んで下さいね。
★神風・愛の劇場第35話(後編)
■神風・愛の劇場 東大寺都編(2) 1月11日 午後6時
●枇杷町 山茶花邸入り口
「本日の警備体制は以上! 何か質問は? 無ければ総員配置につけ!」
都が枇杷町の山茶花邸に到着したのは、枇杷警察が屋敷の周辺を固めている最
中でした。
「ここは立入禁止です」
警官に呼び止められ、都はむっとします。
「何よ、あたしの事、知らないの?」
「知りませんが…」
「桃栗警察刑事課ジャンヌ特捜班、東大寺氷室の娘にして、数々のジャンヌ捕獲
道具の発案者であるこの東大寺都の事を知らないの!?」
「ああ、警部の娘という立場を利用して現場に入り込み、血税を使って役立たず
の捕獲道具を次々と作成しては、ジャンヌ逮捕に失敗しているという…」
ボカッ
「全く、教育がなってないわ。枇杷警察の連中…」
倒された警官を残して、都は屋敷の中に入り込みます。
●山茶花邸内部
「遅れてごめん、父さん」
「おー都。やっと来たか」
「秋田さん、例のトラップは届いてる?」
「勿論です」
「冬田さん、屋敷の見取り図は?」
「ここにあります」
すぐに都は仕事に取りかかります。
「都。山茶花弥白嬢の所にこれから行くんだが、一緒に行くか」
「ごめん父さん。急いでトラップを仕掛けなくちゃいけないから…。秋田さん、
あたしの代わりに父さんを宜しく」
「判りました」
氷室警部と秋田刑事、数人の警官が弥白の所に向かいます。
「いいんですか都さん。まだ予告の時間まで時間がありますし、トラップの設置
ならば自分達で…」
「いいの。あたし、弥白の事、大嫌いだから」
「そう言えば新体操のライバルでしたね」
普段の都ならば、父と共に出かけた事でしょう。
でも弥白に弱みを握られている今は、彼女の前には出たくありませんでした。
そうであるならば、最初から今回の現場には出なければ良かったのですが、や
はり自分の使命感の方が上回っているのでした。
(あたしがジャンヌを捕まえて、まろんの潔白を証明するんだ…。それが今のま
ろんにあたしが出来る唯一の事だから…)
●山茶花邸本館近辺
「本当にこんな所に仕掛けるんですか?」
「いいのよ冬田さん。仕掛けるならここがベストとは言えないまでもベターだ
わ」
都がトラップを仕掛ける場所として指示したのは、本館から正門へ向かう道の
途中でした。
「でも、こんなに見通しのいい場所で…」
「だからよ。ジャンヌは人間とは思えない瞬発力と跳躍力、それに武器のリボン
を使った遠距離攻撃が得意だから、警官に発見されてからは、見通しが良くて動
き回りやすい方向に逃げる事が多いのよ。この屋敷の裏側は森になっているから、
ジャンヌは好まない筈よ」
「そんなものですかね」
「時間があったら、裏側にもネットトラップを仕掛けて貰うわよ」
「成る程」
都の指示で、冬田刑事は桃栗署の警官を指揮して穴を掘り始めます。
***
「ジャンヌだ!」
午後10時。春田刑事の声で、屋敷内の静寂は破られました。
「いいか! 我々は絶対にここを動くな!」
都指揮の待ち伏せ部隊は、右往左往する枇杷警察と桃栗警察の合同部隊を余所
に、じっと待機していました。
どうやら、警官隊は相変わらずジャンヌに翻弄されているようです。
「いつもより動きが悪いわね」
暗視ゴーグルで様子を見ていた都が言います。
「仕方無いですよ。指揮系統もバラバラ、互いに連携も取れてないですから」
「烏合の衆って訳…」
「それにしても都さん、今回のターゲットの「悪戯心」って何でしょうね?」
「知らないわよ」
(まさかジャンヌの奴、あのことを知ってて…。あたしのため?)
都は、弥白の持っている写真こそが、ジャンヌのターゲットなのではと直感で
感じていました。
***
ピピー
「ジャンヌがそちらに向かいました!」
無線機より春田刑事の声がします。
「みんな! ジャンヌがこっちに来るわよ。準備は良い!?」
都の言葉に、周囲の緊張がより高まります。
(ジャンヌはただの泥棒じゃない。お父さんの事もお兄ちゃんの事も救ってくれ
た…。一体、何のために。まさか、ジャンヌは…。ううん、そんな筈はない!
そんな筈は…)
■神風・愛の劇場 瀬川ツグミ編 1月11日 午後10時
●桃栗町郊外:瀬川ツグミの家
「はい、日下部です。ただ今外出しておりまーす。ピーという発信音の後にメッ
セージをどうぞ」
まろんの家に電話をかけると、留守番電話でした。
ツグミは街でまろんに出会った時、今晩もまろんが来ると確信していました。
だから、ご馳走の準備をして待っていたのです。
でも、まろんは来ませんでした。電話もかかって来ません。
(日下部さん…。昨日のは、あなたの気の迷いだったの?)
「日下部さん…イカロス…寂しいよ…」
今夜は眠れない夜になりそうでした。
■神風・愛の劇場 名古屋稚空編 1月11日 午後10時30分
●山茶花邸敷地内
「おい、ありゃやばいぜ。助けないと」
都スペシャルの前に倒れたジャンヌを見て、アクセスが慌てています。
「判ってる」
稚空=シンドバットは、コートの裏側に仕込まれている武器の中からガスマス
クを取り出し装着すると、ブーメランを広げて投光器に向かって投げます。
ガチャン
投光器が破壊され、辺りは暗闇に包まれます。
その隙にシンドバットはジャンヌを救出して、脱出するのでした。
***
「シンドバット! 待て〜」
ジャンヌを抱えて飛ぶシンドバットを屋敷の外にいた委員長が追いかけていま
す。
桃栗警察にすら現場に入れて貰えない委員長が、枇杷警察に相手にされる筈が
無いのでした。
「なんだアイツ?」
「そう言えば委員長、俺を捕まえるとか言ってたな。百億年早いぜ」
●オルレアン
枇杷町から桃栗町まで一気に跳んできたシンドバット。
ジャンプして一気にまろんの部屋まで飛び上がります。
いつも鍵が開けてあるベランダの窓からまろんの部屋に入ります。
稚空はジャンヌをベットに寝かせると、自分の変身も解きます。
「さて、まろんも変身を解かないと…どうやって解くんだ?」
「多分、頭のリボンを解けば変身解除出来ると思うぜ」
「そうか。俺の変身もバンダナを外す訳だから、同じパターンか」
と言いつつ、リボンを外しかけた手が止まります。
そして、ジャンヌの服に手をかけます。
「おいシンドバット、何やってるんだよ」
「変身を解除しようと…」
「だからって服を脱がす必要無いだろ」
「変身解除の方法は判らないんだから、順番に確かめる必要がある。そうだろ、
アクセス」
と言うと、稚空はアクセスにウインクします。
「…それもそうだな」
稚空同様、アクセスもやはり漢でした。
***
しばらく後、
「どうやら、このリボンが最後みたいだな。アクセス」
わざとらしく稚空が言います。
「そのようだな稚空」
同じくわざとらしくアクセスが答えます。
「なんか、もったいない気がするな、アクセス」
「なんなら写真でも撮るか?」
「いや、止めておこう。写真には懲り懲りだ…それにどうせいずれは俺の…」
「凄い自信だぜ」
リボンを解くと、変身が解けて元のワンピースに戻ります。
「なんだ。全部脱がしても元の服に戻るのか」
「どうなると思ってたんだよ。さ、引き上げようぜ」
「いや、まだだ。ついでだから、パジャマに着替えさせよう。私服で寝るとしわ
が寄る」
「そ、それもそうだな」
稚空は、まろんのワンピースに手をかけます。
***
「おいアクセス。これって寝る時外すのか?」
「人によるけど外す方が多数派だって聞いたぜ。締め付けが無くて楽だからな」
「ラッキー…じゃない。多数派の方に従わないとな」
「そうしようぜ稚空」
***
「う…ん…。あれ? 俺はどうしてこんな所に寝ているんだ?」
1時間後、廊下で眼を覚ました稚空。起き上がると、強烈な頭痛に襲われます。
「ジャンヌを助けて、それから…。俺は一体何をしていたんだろう…」
何だか大切な事を忘れているような気がするのですが、どうしても思い出せま
せん。
部屋に戻ると、アクセスがニヤニヤ笑いながら迎えてくれたのですが、その意
味がどうしても稚空には判らないのでした。
■神風・愛の劇場 東大寺都編(3) 1月12日 午前0時
●オルレアン 東大寺家
「ただ今…」
都が家に一人戻って来ると、部屋は真っ暗でした。
「そうか…母さん、いないんだっけ…」
都の母は、兄の昴が流感で倒れたために、看病のために昴の家に泊まり込みで
看病に出かけていませんでした。
氷室警部は、事件の後始末のため、今晩は帰って来ません。それどころか、そ
の他諸々の仕事がたまっていて、暫く家には帰れないとも言われています。
「まろんはいつもこんな毎日を送っているんだ…」
都はお風呂に入ると、さっさと寝床に入りますが、一睡も出来ずに朝を迎える
ことになります。
■神風・愛の劇場 山茶花弥白編 1月12日 午前4時
●枇杷町 山茶花邸本館 弥白の部屋
「データの大半は光磁気ディスクに保存されている為に復旧可能ですが、ウイル
スに侵入されたシステムからアクセスしたディスクの分は復旧不可能との事で
す」
気絶から復活した弥白は、データの復旧の可能性について執事より報告を受け
ていました。
「こうなるのでしたら、DVD−Rにでも焼いておくのでしたわ。今後の検討課
題ですわね。続けて下さる?」
「はい。システムの復旧には1週間はかかり…」
「3日」
「は?」
「3日でおやりなさい。それから、私明日は学校を休むと連絡を入れておいて下
さい。今日は疲れました…」
「はい。お嬢様。ゆっくりとお休み下さいませ」
執事が出て行くと、弥白は枕元に置いてあったリモコンを手にします。
リモコンのスイッチを入れると、床の一部が跳ね上がります。
床に空いた穴から階段が下に続いています。
弥白はその階段を降りて行きました。
●屋根裏部屋
山茶花邸の3階と2階の間にある屋根裏部屋。ここを弥白はプライベートな書
庫に使っていました。
弥白は普段、書籍は全てデータ化して置くのですが、ここにはどうしても紙の
形で残して置きたい本が本棚に整然と整理されています。
ここの管理だけは、執事では無く弥白が自分で行っています。弥白の秘密の文
書も隠されているからです。
「フフフ。やはりここには気付かなかったようですわね」
弥白が棚の引き出しを開けると、「弥白新聞」が日付順に整理されて入ってい
ました。
「ありましたわ。号外。画質が落ちてしまいますけど、これをスキャンすれば
データは見事復活ですわ」
にんまりとする弥白ですが、何となく弥白新聞の初期の号を手に取って読みふ
けり始めます。
「弥白様、ご生誕十周年!」
最初の号の見出しはこうなっていました。写真には、家族と稚空に誕生日を祝
って貰っている幸せそうな弥白が写っています。
(何時の頃からでしょう。この新聞に稚空さんと私が一緒に写らなくなったのは
…)
夜が明けるまで、弥白は新聞を読みふけっていました。
■神風・愛の劇場 三枝靖編 1月12日 午前10時
●名古屋病院 特別病室
「アキコ…」
懐中時計の裏蓋の娘の写真に、世界的な写真家、三枝靖は声をかけています。
名古屋病院のホテルを思わせる特別病室。ここに三枝は入院していました。
サンセットクリフの別荘が炎上して以来、元々悪かった身体がますます悪化し、
入退院を繰り返す生活を続けているのでした。
「三枝先生、ご面会の方ですよ」
専属の看護婦が面会者の来訪を告げました。
「ああ、通してくれ」
ベットに半身を起こして起き上がり、懐中時計を見ていた三枝は、時計の蓋を
パチンと止めました。
「三枝先生。お久しぶりです」
「やぁ、山茶花さん、良く来たね」
病室に現れたのは、なんと私服姿の山茶花弥白なのでした。
「先生、私、写真を沢山撮ったんですよ。先生に見て頂きたいと思って…」
「ああ、いいとも」
「退院したら、また私に写真を教えて下さいね」
「他ならぬ山茶花さんの頼みじゃ、断れないな。今、お茶を入れさせよう。ゆっ
くりしていくと良い…」
「ええ」
二人は、弥白の撮った写真を論評しながら、暫く談笑しているのでした…。
(続く)
前々から考えていた三枝先生の設定を出してみました。
佐々木さんの設定に支障があったでしょうか(汗)。
では、また。
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石崎啓太(E-Mail:keitai@fa2.so-net.ne.jp)
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