神風・愛の劇場スレッド 第162話『記憶の彼方』(2/15付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 17 Feb 2002 14:32:37 +0900
Organization: So-net
Lines: 329
Message-ID: <a4nf9m$47m$1@news01ci.so-net.ne.jp>
References: <a283qv$4se@infonex.infonex.co.jp>
<a28j8r$5ka@infonex.infonex.co.jp>
<a2qvu3$5f0@infonex.infonex.co.jp>
<a3j3ch$1uh$1@news01be.so-net.ne.jp>
<20020215120849.5c4db527.hidero@po.iijnet.or.jp>

石崎です。

佐々木 英朗さんの<20020215120849.5c4db527.hidero@po.iijnet.or.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。

こんにちわ。

># 本スレッドは「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第40話から
># 着想を得て書き連ねられているヨタ話です。
># 所謂サイドストーリー的な物に拒絶反応が無い方のみ以下をどうぞ。

という事ですので、宜しくお願いします。



>>> >>> ★神風・愛の劇場 第158話『嵐の後で』
>>>  その一文を以て佳奈子編を終了することすら可能だったのですが、佐々木
さん
>>> の書かれていたようなこともあるので、もう少し登場して貰うことにしまし
た。
>
>折角なので少し活躍?してもらいました。(笑)

 暗躍してますね、確かに(笑)。

>>> >★神風・愛の劇場 第159話 『あなたの傍に』(前編)
>
>>> #特に設定はしていないのですが、こういうボケボケな娘に限ってとんでも
ない
>>> #パワーを秘めていたりして(笑)
>
># 何となく凄いのかもしれないという印象はあります。(笑)

 居眠りしたまま襲いかかる悪魔の群を一撃で粉砕しているセルシアという図が
頭に(笑)。

>>> ★神風・愛の劇場 第160話『癒す』
>
>何となくノインはフィンに魔界陣営から去る事を勧めている様に見えます。
># 義理よりも愛に生きる…というのは他人事では無いはずですが。^^;

 態度をはっきりしろという事なのでしょう。
 他人事で無いが故に、迷われると自分の決意までぐらついて仕方がないと
(笑)。

>お疲れ都ちゃんは弥白様とちがって真っ直帰宅だった模様。
># やはり弥白様の入院は事務長陰謀説は本当なのか。(笑)

 都ちゃんはてっきり入院すると思っていたらご帰宅だったので、当初スケジ
ュールで入院する予定だった弥白様は陰謀で入院させることとしました(笑)。

>事件の記憶はかなり確かな様ですが、一番のキモの部分は例によって
>気付かれては居ない訳ですね。とりあえず情況に大きな変化は無しと。

 さて、それはどうでしょうか(謎)。

>フィンと都ちゃんの営みはどちらかが一方的に受け止めているのとは
>違っている様に感じました。どちらか一方では無く互いに癒す関係かなと。

 その通りです。都のことはフィンにとって人事では無いはずですから。

>都ちゃんの記憶を上手く操れないのは難しさだけでなく、フィンの中に
>その事自体の是非を問う気持ちが残っている所為だから?とも思ったり。

 都ちゃん自身の忘れまいという思いが強いが故かも。

>★神風・愛の劇場 第161話 『私の中』

 佐々木さんパートでの佳奈子ちゃん初登場ですね。
 サブタイトルや、弥白様の神楽のテリトリーの発言と、眠っている筈なのに、
深夜に弥白様に急接近する佳奈子ちゃん。
 これらを組み合わせると、どうやら何かの術中に我等が弥白様がはまってしま
ったかのように見えますが、さてどんな罠なのでしょうか。

#甘い蜜の罠だったりして(違)。

 弥白様に急接近する佳奈子ちゃんの描写。まるでそのままキスでもしてしまい
そうな雰囲気でしたが、眠っている間に変な事はしなかったでしょうね>佳奈子
ちゃん。

># 第158話の名古屋病院編直後(19日深夜)から翌朝まで。
># ふと猛烈に佳奈子ちゃんの事を書きたくなったりした訳です。(笑)

 弥白様(と佳奈子ちゃん)については暫く佐々木さんにお任せした方が宜しい
ような気がします(笑)。


 では、本編行きます。


★神風・愛の劇場 第162話『記憶の彼方』

●オルレアン

 眠り続けていた都は、防災無線を通して流れて来た午後5時を告げるメロディ
で眼を覚ましました。
 起き上がろうとして、あれ程悲鳴を上げていた身体中の筋肉の痛みが無くなっ
ている事に気が付いた都は、何を思ったのかパジャマの右足部分を裾からまくり
上げ、自分の太股を露わにしました。

「消えてる…」

 左足の方もまくり上げてみましたが、結果は同じ。
 都の太股には傷一つありませんでした。

「本当だったんだ」

 決して都はフィンのことを疑っていた訳ではありませんでしたが、それでも都
はそう呟きました。

「でも、どうしてフィンは…」

 自分を一度ならずとも何度も助けてくれるのだろうか。
 それはフィンと出会ってから何度も何度も自問自答している疑問。
 親友を裏切り、気落ちしていた都を切望の深淵から救い出してくれたフィンは、
自分も大切な人を裏切ったことがあると言っていました。
 だから、自分のことを人事で無いと感じて助けてくれるのだろうか。
 そう納得し、フィンのことを今まで受け入れて来ていた都なのでした。

「おはよう。母さん」

 起き出してリビングに入り、キッチンに居た桜に声をかけると、桜は慌てて都
の側に寄って来て都のことを抱きしめました。
 身体はすっかり元通りになっていた都は、どうして母が大袈裟に泣いているの
か良く判らなかったのですが、母の話から自分が土曜日の夜から丸々三日間眠り
続けていて、今が火曜日の夕方であることを知らされると納得しました。
 夕食が出来るまで、もう少し休んでいればと母に言われたのですが、流石にも
う横になる気は起きなかった都は、着替えると親友の家を訪れました。
 母の話では、都が寝ている間、何度か訪ねて来ているとの事でしたから、自分
の無事を報告しようと思ったからです。
 そしてもう一つ、確かめたかったこともあったからです。



「都!」

 チャイムを鳴らした後、最初は細めに開いたドアは、外にいるのが都だと気付
いた瞬間に大きく開け放たれ、中から飛び出たまろんは都に抱きついて来ました。

「い、痛いよまろん」

 誰も見ていないとは言え、少し顔を赤くしつつ都が言うと、慌ててまろんは都
から離れ、それから都の身体の具合を心配しました。

「うん。もうすっかり大丈夫!」
「足の怪我は大丈夫?」
「あんなの軽傷よ」
「でも体育館から助け出す時、足が血だらけだったよ」
「まろんが助けてくれたんだ」
「ううん。都を運び出したのは春田さん」
「そっか…」

 自分を助けてくれたのがまろんだと信じていたので、都は少し残念に感じまし
た。

「でも血が一杯出てたよ。傷が全国大会の時までに消えると良いんだけど」
「あ…そっか。あたし、全国大会に出場できるんだっけ」
「そうよ都。こんな時に言うのも何だけど、おめでとう」
「ありがとうまろん。ちなみに怪我の方は大丈夫。ほら」

 スリップ毎スカートを捲り上げ、都は自分の太股を見せました。

「嘘…」
「血は出たけど、思っていたより軽傷だったみたい」

 都の太股に顔を近づけるまろんは、吐息がかかる程太股に顔を近づけ、しげし
げと見つめました。

「ちょっと、くすぐったい!」
「あ、ごめん」

 納得できない表情のまろんを自分から引き離した都は、本題に入ることにしま
した。

「あのさ、まろん」
「何?」
「あの時の事で聞きたいんだけどさ」
「う…うん」

 まろんの表情が緊張したように都には見えました。
 それも仕方が無いわね。そう都は思います。
 あの時の状況はそれ程異常だったのですから。

「あの時…怪盗ジャンヌが現れた時、あたし…」

 あの時自分が体験した出来事が現実かどうか、都は確かめようとしたのですが。

「あれ? えっと…」

 確かめようとして気が付きました。
 自分の記憶が酷く曖昧となっていることに。

「桐嶋先輩がおかしくなったの、怪盗ジャンヌと関係があるんだよね」
「う、うん…」
「山茶花弥白がおかしくなったのも?」
「多分」
「あたし、まろんを守ろうとしたよね」
「都は頑張ったよ」
「それで…あたし…」

 それから先のことが、どうしても思い出せないのです。

「あたし…あたし…どうしたんだろう? 気がついたらあたしはジャンヌに捕ら
われていて、あたしを助けに来たのもジャンヌで…。ねぇ、あの時一体何があっ
たの!?」

 まろんは都の問いにすぐには答えませんでした。
 その代わり、再び都の身体に手を回し、今度はそっと抱きしめて来ました。

「無理に思い出そうとしないで。都」

 都の耳元で、そっとまろんは囁きます。

「怖い思いをしたけれど、今こうして私と都は無事でいる。それで良いじゃない」
「う、うん…」

 釈然としない思いを抱きつつも、都は肯きました。

「私もね、あの時のことは都と同じ位にしか覚えてないの」
「そうなの?」
「あの時、ジャンヌ…ええと、最初に現れた偽物の方が散布したガスを私も吸っ
ちゃって、それで意識を一時失っていたみたいなの。都の記憶が無いのも、それ
でだと思う」
「そう…なんだ…」

 少なからず落胆して、都は俯きました。

「とにかく、都が無事で良かった」
「まろんもね」

 そう言うと、都の方もまろんの背中に手を回してこちらはぎゅっと力強く抱き
しめました。
 そのまま暫く、二人は抱き合ったままでいました。
 二人の瞳からは涙が止めどなく流れていて、離れてしまうと自分の泣き顔を見
せてしまうからとお互いに考えていたからです。
 それでも嗚咽から、泣いていることは互いにばれていたのですが。
 漸く離れた時には、既に二人は共に笑顔を作っていました。

「それじゃあ今日は、これで帰るね」
「うん。水曜まで学校は臨時休校だって。だから明日はゆっくりと休んで、それ
から全国大会へ向けて頑張ろう」
「まろんもね。練習、さぼるんじゃ無いわよ」
「うん」

 そのまま別れても良かったのですが、何となく都を彼女の家の前まで送って行
きました。

「夕食、家で食べてく?」
「もう作っちゃったから」
「そう」

 一旦ドアを開けようとした都は、ふとその手を止めました。

「そうだ」
「何?」
「約束、覚えてるよね」
「約束?」
「あの賭けよ」
「ああ、あれ」
「勝負はまろんの勝ちね」
「別にどうでも良いよ」
「あたしはどうでも良くないの」
「でも、良いの?」
「良くなかったら最初から言わないわ。それとも嫌?」
「そんな事無いよ」
「宜しい。それじゃあ細かいことはあたしが決めるから。楽しみにしてて」
「うん」
「じゃあ、お休み」

 都は少し膝を折ると、素早くまろんにお休みの挨拶をして、そのままドアの中
へと消えました。

「本気…なのかな?」

 そう呟くと、まろんは暫くの間ドアの前で立ち尽くしているのでした。



「都の様子はどうだった? まろん」

 まろんの家のリビングのテーブルの上には、桃栗町の地図が広げられていて、
地図上にはペンで何ヶ所か、丸印がつけられていました。
 ソファには稚空、アクセス、トキそしてセルシアが座っており、丁度作戦会議
をしている最中に都が訪ねて来たという訳なのでした。

「うん。身体の方は大丈夫みたい」
「そうか。それで…」
「うん。あの時のこと、結構覚えている様子だった」
「拙いな」
「だけど、ミストが私の正体をばらした事とか、変な事をされようとした事とか
は、覚えていないみたい」
「本当か?」
「都の方から何が起こったのか聞いてきた位だから、覚えていない筈よ」
「そうか。あれは覚えていない方が都にとっては幸せかもな」
「私もそう思う。今から思い出しても恥ずかしいもん」
「確かにな…」
「何よ。稚空は良い思いしたんじゃない!」
「自由を奪われていたんだ。仕方無いだろう」
「嘘おっしゃい。私知ってるんだから! 山茶花さんと…」
「はいはい。痴話喧嘩はそこまでにして下さい。事態は一刻を争うのです」

 一触即発の様子の二人の間に割って入ったのは、トキの方が先でした。
 アクセスと違ってトキの方はまろんと稚空の関係には興味は無かったのですが、
作戦会議がこれ以上止まってしまうのが我慢ならなかったのでした。

「う…」
「トキの言うとおりだ。作戦会議を続けようぜ、まろん」
「判ったわよ」

 納得していない表情でしたが、渋々まろんはソファに座りました。

「宜しい。では作戦会議を続け……。セルシア!」
「ふわぁい……。むにゃむにゃ」

 トキに呼びかけられ、返事はしたものの再び眠りに落ちていくセルシア。
 トキはセルシアの身体を揺さぶりますが、全く起きる気配はありません。
 その間に、まろんと稚空は又口喧嘩を始めます。

 その様子を見て、今日の会議もここまでだなとアクセスは諦めの溜息をつくの
でした。

(第162話 完)

 話が行きつ戻りつですが、2月22日(火)の夕方の都ちゃん及びまろんちゃ
ん達です。
 では、また。

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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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