From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 19 Oct 2001 17:49:09 +0900
Organization: Infonex Corporation
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佐々木@横浜市在住です。
<9qb785$d74$1@news01bi.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。
>> 石崎です。
こんにちわ。
>> このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
>> です。そう言うのが好きな人だけに。
>> #今回もやや低いのでご注意。
やや…ですか?(笑)
>> 提案の件、了解です。もしもその様な展開になった時には、前後編にするなり
>> して、同じ話数で2〜3週程続ける形にしたいと思います。その際には末尾に次
>> 回も自分パートと宣言すると言う事で如何でしょうか。
はいです。では今後はそういう手順という事で。
>> > >> ★神風・愛の劇場 第152話『大芝居』
>> #原作では学生の時に出来ちゃった婚みたいだし(謎)。
# 迂闊だったのはどっちだろう。(笑)
>> > ★神風・愛の劇場 第153話 『ぬるま湯』
>> 上記にもありましたが、委員長と都ちゃんの間を取り持とうと、余計なアクシ
>> ョンを起こしてしまいそうです。
それはそれでラブコメとしては面白いネタになりそうです。^^;;
# まろんちゃん自身に心の余裕があれば即実行しそう。
>> ★神風・愛の劇場 第154話『傍観者』
ここにきて攻守が入れ替わりましたか。(爆)
元々、まろんちゃんの行動というのは純粋な愛情とは違っていて、寂しさの
裏返しから誰かの傍に居たいという感じが強かったかと思っているのですが、
それをズバリ指摘されてしかも自分自身で納得出来てしまった様ですね。
多少は後ろめたく感じていた事が全部筒抜けだったと知って観念した、
という側面もあるのでしょうけれど。
そして、なぁ〜んにも抵抗しないまろんちゃんはあれやこれやそれや… *^^*
でもフィンは面白くなかった様子。まろんちゃんが徹底的に抵抗すれば
溜飲が下がるかもしれない、とそんな事をフィンは期待していたのかも。
思惑とは違って全て受け入れるつもりになっているまろんちゃんを見て
すこしも勝った気がしなかった。
だから途中で止めてしまったという事なのでしょう。
更には相手の中に自分を見付けてしまったんですね。
# だが、中途半端は良くないぞフィン。
## で、どこまで脱がしたのかなぁっと…(核爆)
出歯亀な人外の方々(笑)が終始観賞していましたが、賭けの結果は兎も角も
ノインもミストも有る程度は結果を予想していただろうという印象。
もっともそれがフィンが思っている様な配慮と一体の物なのか、
単に当てにしていないだけなのかは判然とはしませんが。
# ノインはフィンはそうすべきで無いと思っていたみたいですけど。
賭け自体は一応ミストの勝ちとなりましたが、最終的に目的が達せられれば
最後の詰めを行うのは自分でなくても構わないというノインの考えを
ミストは判ってなかったんですね。割と当初からそういう風に見えているかと
思ったのですが。
>> #鬼畜に徹しきれなかったです(笑)。
# フィンがですか?(笑)
## では、次いきます。
★神風・愛の劇場 第155話『うたた寝』
●オルレアン
その夜の出来事に概ね満足したミストは、未だ部屋に居たノインの事をすっかり
忘れたかの様に身体を休めていました。ノインとしても用は済んでいました
から、何時までもそこに居る必要は無くまさに立ち去ろうとしていたのです。
ところが、そのノインを制する様にミストが低くしかし鋭い声を上げます。
「動くな」
ミストは何時の間にか部屋の真ん中に立っていて、腕を組んでやや俯いた
姿勢のまま目をつぶっていました。その様子に徒ならぬ物を感じたノインでしたが、
ミストが次に口を開く時までには彼も情況を把握していました。
「近い」
「その様ですね」
「魔界から遣いが来る心当たりはあるか?」
「いいえ」
「お前の息子が戻ったか」
ミストは"息子"という部分だけ抑揚を変えて話しました。冗談のつもりなのかと
ミストの顔を覗き見るノインでしたが、その表情からは真意は汲み取れません
でした。
「シルクの事を言っているのであれば」
「…ああ」
「まだゴールには着かないでしょうし、途中から抜け出る事は
誰にも出来ません」
「誰にも…か」
今のミストははっきりとその顔に皮肉な笑みを浮かべていました。そして
じっとノインの方を見詰めています。やがてその視線の意味を知ると、
ノインも後ろを振り返りました。何の前触れも無く、そこにぽつんと立つ
人影がありました。元々灯りの点っていない部屋にあってもそこだけは
周囲よりも更に深い闇でした。纔かに白く浮かぶ部分を除いて。
「良く来たな」
ほんの微かにでしたが、ノインが驚いた様に見えた事が楽しくて仕方ないと
でも言う様に、ミストの声は弾んでいました。もっとも、歓迎の言葉に
当の訪問者は返事を返しはしませんでしたが。
代わりに声を絞り出したのはノインの方です。
「何故、此に」
人影、ある一点を除いては誰が見ても瀬川ツグミに見えるその者はゆっくりと
辺りを見回していました。微かな光を湛えた朱い瞳で。
「二重身は本人の記憶の及ぶ場所にしか現れないのでは?」
ノインはミストに向き直って言いました。それは動揺からかやや詰問する
調子を帯びていましたが、ミストは気にせずに答えます。
「お前の所為だろ」
「私の?どういう事です?」
「犬娘を取り込んでいる術はお前が仕掛けた物だろうが」
「確かにそうですが」
「知らぬ場所から飛び出した所為で、自分の知っている場所へ出られなかった
のだろう。適当に出てきたらお前の所に着いた訳だ。お前が引き寄せたんだよ」
「力の流れに乗って来たと」
「まぁそんな所だろうな」
「しかし、彼女に直接術を掛けた訳では…」
「同じ事さ。抜け癖が付いたんだ。周囲の魔力に敏感になったと言い換えても良い」
ミストがノインに語っている間にも、もう一人のツグミは部屋の中を勝手に
彷徨いていました。その様子を目で追っていたノインが言います。
「何をしているのでしょうか」
「不思議に思っているのだろう」
「何をです?」
「犬娘はジャンヌの部屋を知っている。此は間取りが同じだからな。
同じ間取りなのに様子が違うので戸惑っているのだろうさ」
「別の部屋だと気付いたら…」
「当然、出ていくだろう」
「それは困った事になるのでは?」
ミストは少し考えてから答えました。
「そうだな。折角孤独をお楽しみ中のジャンヌに逢いに行かれると面白くない」
「では、どうします?」
「殺せ」
ノインの片方の眉がぴくりと動きました。
「クィーンに相談も無く?」
「緊急事態だ。作戦が無駄になると知ったら許可するさ」
「そうでしょうか」
ミストの口許にさも楽しそうな笑みが浮かんでいる事に気付いたノイン。
ミストは自分に人間が殺せるか試している…ノインはそう感じて苛立ちました。
内から込み上げてくる黒い感情を手の先へと集めると、ノインは目の前を
横切ろうとしていたツグミの身体に向かって手刀を振り下ろしました。
ノインの手に重い手応えが返ります。ずっと昔に経験した事のある、
人の身体の固さと同じ手応えが。そしてそれなりの重さを持った何かが
床に崩れ落ちる音が聞こえました。ノインはわずかながら後悔しました。
何も両断せずとも大人しくさせる方法があったのでは無いかと。
ですがそんな思いはミストの笑い声に掻き消されてしまいます。
我に返ったノインの目の前には彼をじっと見詰めるツグミが居ました。
初めと何ら変わらない姿で。
「これは…」
「私も以前試した」
「…」
「"それ"には物理的な攻撃は効かないのだ。切り刻んでもすぐに元通り。
痛みも何も感じないらしい」
「判っていて私にやらせたのですね」
「お前の剣なら違うかと思ったのさ」
「私は貴女のそういう所が大嫌いです」
「それは良かった」
ツグミはこの場所にもその部屋の住人らしい者達にも興味が無くなったらしく
既に踵を返して玄関へ、その部屋の住人すら使わない本来の出入口へと
歩いて行こうとしていました。
「どうするのです、ミスト?」
「ああ。判っている」
ミストはツグミから目を放さずに背中の方へ向けて声を掛けました。
「アキコ、お前に客だ」
ノインが見ると一瞬部屋の奥、寝室に通じる扉の近くにアキコの姿が見え、
すぐに消えました。気配に気付いたノインが振り替えると、廊下に踏み出して
部屋を出る寸前だったツグミの手をアキコが握っています。
ツグミは自分を繋ぎ留めた手をじっと見詰め、それから視線を少しずつ上げて
いってアキコの顔を見ました。しばらくそのまま見詰め合っていた二人。
やがてアキコが手を繋いだまま歩き出すと、手を引かれるままにツグミは
大人しく従って行きました。開いたままの扉を通って二人が寝室に入るまでを
見届けるとノインが口を開きます。
「どういう事でしょう?」
「アキコの友達なのさ」
「はぁ…」
「安心しろ。つもる話は山程あるらしいからな、勝手に消えるまで帰さんさ」
「しかし、何時消える事やら」
「犬娘本人が居る所は昼間なのだろう?」
「ええ。そろそろ午後遅い頃合でしょうが、日没にはまだ」
「向こうで寝床に入ってる訳でもあるまい。そのうち消える」
「そうですね」
「それとも…」
ミストは再び口の端を歪めてノインを見詰めながら言いました。
「お前の"息子"が犬娘を押し倒して気絶でもさせているのか?」
ノインは今度こそはっきりと不快そうな顔をして応えました。
「そんな下品な事はしませんよ」
「甲斐性が無いの間違いだろう?」
ノインはそれには応えずに、さっさと姿を消してしまうのでした。
●おそらく桃栗町内某所
「……さん…ぇさん」
遠くから呼ぶ声が聞こえた気がしましたが、それは耳元でそっと囁く声でした。
俯いていた顔を上げ、丸まった背中を伸ばすとツグミは声の主の方を向きます。
「全くん?」
「大丈夫でぃすか?」
「ちょっと疲れただけ。ごめん、もしかして居眠りしていたかしら」
「ほんのちょっとだけでぃす」
「ほんとごめん。さ、行きましょうか」
「平気でぃすか?」
「ええ。何だか随分歩いた気がしちゃって。でも休んだから平気よ」
「もうすぐ着きまぁす」
「そうね。頑張るわ」
一休みのつもりで腰を下ろした道端の草むらから立ち上がると、ツグミは
再び全の導きで土の匂いのする細道を歩き出すのでした。
(第155話・完)
# 多分、他の連中は黙って寝ているだろう18日の夜が更けて。^^;
では、また。
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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
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