神風・愛の劇場スレッド 第145話『ちょっとそこまで』(9/7付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 7 Sep 2001 15:48:33 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 361
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<9mne7o$9t8@infonex.infonex.co.jp>
<9msbuh$dkk$1@news01de.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<9msbuh$dkk$1@news01de.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
>> です。そう言うのが好きな人だけに。

です。


>> >>> > >> ★神風・愛の劇場 第140話『贈り物』(前編)

>>  一応、私サイドでも現時点での結論はあるのですが、それは妄想本編で書くべ
>> きで、ここでは触れない方が良いのかもしれません。

早く吐き出してしまいたい(書いてしまいたい)展開が溜まってますが、
頭の中の構想をテキストに起こすのってかなり大変だったりもして。

>>  ひょっとすると何か凄く拙い事を書いてしまった気がして大変申し訳無いです
>> (滝汗)。

あ、いや別にそういう訳では無いのですが。^^;;;

>>  本音を書かせて頂きますと、佐々木さんが書かれた話に凄く興味があるので、
>> 是非読みたいと思い、あのような書き方になったと言うのがあります。
>>  それに加え、上記のようにフィン自身(引いては作者自身(ぉぃ))の考え方
>> がシリーズ中ですら揺らいで来ていたというのもあります。
>>  …と素直に書いた方が良かったのかも(ぉぃぉぃ)。

主旨は了解です。では今まで通りという事で。(笑)

>>  フィンの気持ちについては実は一番難しいところで、このオチで良いのだろう
>> かと自問自答しているのが、本編にも滲み出ているような。

フィンの事と言えば最後に彼女がどうする(どうなる?)かという部分にも
彼女自身の心情が密接に関係して来そうですし。
下手するとまろんちゃんよりも扱いが難しいと感じます。

>> >## 個人的には(当たり前ながら)自分のオチ案は判っているので
>> >## 石崎さんのオチを読みたいのですが。(笑)
>>  実はほぼ同じ考えから、佐々木さんのオチの方を私も読みたかったりもするの
>> ですが(笑)。

ではどちらのオチが発表になるかは時の運という事で。(笑)

>> #ちなみに、ミスト&アキコ周りは佐々木さんにお任せして、殆ど考えていませ
>> #ん(笑)。

了解(らじゃ)。^^;

>> >>> > ★神風・愛の劇場 第141話 『棲んでいる』

>>  一見厳しい掟が無くて自由そうに見える魔界が実は…。
>>  と一瞬で妄想してみました(笑)。

私の頭の中の魔界を文字にするとまさしく「一見厳しい掟が無くて…」という
感じですが、同じイメージから同じ文字表現になったのか、それとも全然違う
イメージが偶然表現だけ一致したのか興味深いものがあります。

>> #でもそういうパターンだと最終的にフィンは魔界を去ることになるのでしょう
>> #か。人間界がやっぱり一番! …という結論になったりして(違)。

# ここを拝見するとどうやら違うっぽいですが。(笑)

>> ># というより私はあの設定を忘れた事はありません。(ん? ^^;)
>> ># ですので現在の妄想の裏設定にもあのテイストが少し入ってます。

あ、でもテイスト程度なので元ネタのあれとは趣が違うと思われます。

>>  してみると、本妄想で確実に予定されているミスト退場話時点ではノインは生
>> きていないといけない訳ですね。

一応、ノインには重要な役がある予定となっております。

>> #別に殺す予定がある訳ではありません(笑)。

# 死んでたら他の誰かにやらせますから別に構いませんが。(笑)

>> >>> ★神風・愛の劇場 第142話『手紙』

>>  やはり、最終決戦に向けてただ見てるだけと言うのも何ですので(笑)。
>>  一緒に活躍して頂かないと。

活躍…どちら側でかという辺りが結構重要ですね。^^;

>> >★神風・愛の劇場 第143話 『滲み』

>>  ツグミさんが襲われる(違)のがお風呂場であると言うのも定番ですよね
>> (笑)。絵にしてしまうと、凄い萌えシーンなのですが。

是非、脳内補間で挿絵を入れて下さい。その為のシーンです。(爆)

>> #他には寝ている最中に襲われるパターンとか。

# 実際の怪談体験記は金縛りというと寝ている最中の話ばかりです。
# それ故に単なる睡眠障害と言われてしまう訳ですが、それを風呂場で
# やったらエッチっぽい話になるかなと思って試してみました。(笑)

>> #常に波乱だらけという気もしますが(笑)

# 妄想に呼び出した時点で平穏は失われたのでしょうね。^^;;;

>> ★神風・愛の劇場 第144話『決裁』

手紙の中身は写真でしたか。アレは別途別な誰かさんの手によって
もたらされるのか思っていましたが。まろんちゃんが待っている手紙から
意外な物が出てくるという辺りに狙いがあるのですね。
# まろんちゃん、元々稚空への信頼が厚い訳では無い故に写真を見ても
# 大ショックという程では無かったらしい。^^;
まぁ、集中力を欠くという程度には効いている様ですが、向こう側の方々には
それでは不充分という事なのでしょう。
その所為でまたまたツグミさんの方に魔の手が伸びそうな雲行きですね。
# やっと落ち着いてきたのに。(笑)

ノインの口から語られる経緯はフィンが魔界に来たきっかけが魔界(魔王)側
からの働きかけである事を示してます。成程、かなり情況が見えてきたかな。
# フィン以外にも魔界在住の天使が居るというのは好都合。(何が ^^;;;)

>> #ちなみにこれだけでノインの作戦が判るでしょうか(笑)?

全然判りません。^^;;;;
# 判るのは取りあえず困ったことになりそうだという事だけ。(笑)
判るか?と聞かれたという事は、もしかして続きを書けと
話を振られたのでしょうか。^^;
# そんな気もするし、違う気もするし…
## という訳で書いてみました。
### 敢えて多分「こうでは無いだろう」という路線。^^;

# では、いきます。

★神風・愛の劇場 第145話 『ちょっとそこまで』

●桃栗町郊外

その日も散歩がてらの買物に出ていたツグミ。馴染みのスーパーで
買物を済ませ、家に戻ってきたのはお昼時を少し過ぎた頃です。
家に戻ってみると、不意に声をかけられて足を止める事になりました。

「ツグミお姉さん」
「あら、全くん。こんにちは」
「こんにちわぁ」
「(この子、立ち止まっていると判らないのよね)」

驚きが顔に出ただろうか。ツグミはそんな事を考えていました。

「遊びに来たの?待たせちゃったのかしら」
「今来たところでぃす」
「あら、そうなの」

何故かニヤニヤと笑っているツグミを見て全は不思議そうに尋ねました。

「何か可笑しなことあったでぃすか?」
「デートの待ち合わせみたいだなって思ったの」
「デートでぃすか?」
「気にしないで」

ツグミは玄関を開けると全を中へ招きました。

「今日のお昼ご飯は食べた?」
「まだでぃす」
「お昼、食べるでしょ?」
「はぁい」

真っ直キッチンへと向かったツグミは手早く料理の仕度を始めていました。
後から顔を出した全も皿を並べる程度の手伝いはしましたが、元々ツグミには
一品だけしか作るつもりが無かった為にあまり全の出る幕はありませんでした。

「はい。どうぞ」

やがて出来上がったのはトマトのソースがかかった山盛りのスパゲティ。

「いただきまぁす」

口いっぱいに頬張った気配がした後、やや間を置いて全が言いました。

「美味しいでぃす」
「ありがとう」
「これ何でぃすか?」
「スパゲティ・ナポリタン」
「え?」
「ん?」

料理に関することで全が疑問を差し挟んだのは初めての事。ツグミは少しだけ
出来に不安を覚えました。

「あら、何か変だった?」
「僕の知っているナポリタンと味が違いまぁす」
「それ、何処で食べたの?」
「レストランでぃす」
「…ふ〜ん」

ツグミは少し考えてからキッチンに入り、フライパンを一つ持って戻ると
まだ取り分けていない大皿の中のスパゲティを少し取り再びキッチンへ
向かいました。数分後、やや甘い匂いをさせたスパゲティが小さな皿に
盛られて全の前に置かれます。

「これはどう?」

全は新しい皿の中身も同じように頬張ると飲み込む間も惜しむ様に答えます。

「これでぃす。こっちがナポリタンでぃす」
「やっぱりね」

それからツグミは二種類のナポリタンの違いを説教くさくならない様に
注意しながら極く簡単に話しました。

「つまりケチャップを使うのが偽物でぃすか?」
「別に偽物って訳じゃ無いのよ。イタリアでは使わないって事」
「わかりましたぁ」
「さ、食べちゃいましょ。そっちもケチャップ味に直そうか?」

ツグミは既に食べ掛けの全の皿を指して尋ねます。

「このままでいいでぃす」
「そう」

結局どっちでも良いのかと少し残念な気もしますが、子供の味覚はそんな物か
と納得もするツグミなのでした。やがて食事も後片付けも終えて一息ついた頃、
全が言います。

「それではお茶にしましょう」
「お茶、飲んでるわよ」
「午後のお茶でぃす」
「意外に通ね、全くん。でも少し早くないかしら」
「歩いて行くと丁度良いくらいでぃす」
「歩く?ああ、桃栗町へ行くのね。いいわよ」
「違いまぁす。僕のお家に招待しまぁす」
「あら、全くんの家?いいの?」
「是非来てくださぁい。お茶菓子も用意してありまぁす」
「そう。ではお邪魔しようかしら。もしかして今日はその誘いに来てくれたの?」
「そでぃす」
「嬉しいわ。ちょっと待っていてね」

ツグミは全をリビングに残して一度寝室へ向かいました。改めて身なりを
確かめてみます。普段の外出着のままでしたが、他家を訪問するにあたり
問題が無いか一応確認しました。一瞬、着替えようか?という考えも浮かび
ましたが、相手が全である事を思い出すと大袈裟だと考え直しました。
リビングに戻ると待っていた全がツグミに言います。

「ちょっと遠いですけど、いいでぃすか?」
「平気よ。遠いと言っても桃栗町でしょ?」
「多分、そでぃす」
「じゃ、行きましょうか」
「貼り紙した方が良いでぃす」
「貼り紙って?」
「留守でぃすって書く奴でぃす」
「そんなに遠い訳じゃ無いんでしょ?」
「念の為でぃす」

下手に留守等と書かない方が防犯上は良いのだけれど、とは思いました。
しかし全が熱心に勧めるのと、もしかしたら留守中に誰か…誰かは決まっていますが
…が来るかも知れないと思い付き、全の言う通りにする事にしました。
用意が良い事に全は既にツグミの前に手ごろな大きさの紙を差し出していました。
何処から出してきたのかと多少気にはなりましたがツグミの家のポストにも
広告の一枚や二枚は入っている事がありますし、それらを資源ゴミとして
処分出来る様にキッチンの隅に束ねてありましたから恐らくその辺りから
引き抜いて来たのだろうと理解しました。念の為、表面を軽く撫でてみます。
印刷や汚れの手触りは無く、無地の面であるのは間違い無い様でした。
滅多に使わないペンを引きだしから取り出すと、ツグミはその紙の上に
乱れの無い真っ直な字で短い文章を記しました。

ちょっと出かけています

       ツグミ

ペンにキャップをはめるとツグミは全に尋ねました。

「ちゃんと読めるかな?」
「大丈夫でぃす。字は知ってまぁす」
「あ、ごめんなさい。全くんが読めるのは判っているわ。そうじゃ無くて
 読める字になっているかしら?私には確かめる術が無いから」
「大丈夫でぃす。綺麗な字でぃす」
「ありがと」

玄関を出て扉の正面に貼り紙をするツグミ。その白い紙に綴られた二行の
文字の間に何時の間にか別の文字が浮き出ている事にツグミが気付くはずは
ありませんでした。

●桃栗町の外れ

全の案内で彼の家へと向かう事になったツグミ。途中まではツグミ自身も
よく判っている桃栗町内でした。やがて今まで彼女が踏み入った事の無い街路に
なり、何時の間にかまったく知らない場所になっていました。ツグミの
知らない場所、そこは彼女にとっては闇の中に伸びる1本の暗い道と同じです。
未知の領域の地図を思い描く為に辺りを注意深く意識しながらの道行き。
自然に知っている場所に比べると歩みが遅くなります。それでも傍目には普通に
散歩している程度の速度ではあるのですが。人々の営みの気配、そして周囲から
反響する自らの足音、それらが途切れた事から既に町中を通り抜けている事は
判りました。桃栗町のこちら側には何があっただろうかと思いだそうとしますが、
やはりそこはツグミにとっては地図上の空白の部分に他なりませんでした。
更に慎重になったツグミに気付いたのか、或いは単なる偶然か、手を引いていた
全がふいに立ち止まりました。

「どうしたの?」
「ええっと…」

ツグミには全が道に迷っている様な印象が伝わっていました。自分の家に帰る
のですから、そんなはずは無いのですが。実際の所、全は迷ったのでは無く
聖の言い付けを思い返していたのです。



その日昼少し前、突然屋敷に戻った聖は全にこう言い付けていました。

「ツグミさんを我家へ招いてお茶をご馳走しなさい」
「ここへでぃすか?」
「そうです」
「はぁい」
「一つ注意があります。町を抜けてすぐの所に別れ道がありますね?」
「ありまぁす。お家はそこを右でぃす」
「今回だけは左に行きなさい」
「左に行くと何にも無いでぃす」
「良いのです」
「でも、それじゃお茶をご馳走出来ないでぃす」
「遠回りですが屋敷には着きます」
「そうなんでぃすか?」
「今回だけです」
「遠回りってどのくらいでぃすか?」
「2〜3時間という所でしょうか」
「わかりましたぁ」
「それから…」
「何でぃすか?」
「いえ、良いのです。それでは頼みましたよ」
「はぁい」

多分気付きはしないはずだが…詳しく説明するか迷いましたが、客と同じ情況に
あった方が自然で良いだろうと考えて聖はそれ以上は説明しない事にしました。



ツグミが我に返ると全は握った手を引いて歩き出していました。

「こっちでぃす」
「何かあったの?」
「どっちだったか迷いましたぁ」

冗談なのか本気なのか。ツグミは曖昧な微笑みを浮かべつつ言葉をつなぎます。

「あらあら。自分の家なのに?」
「今日だけでぃす」
「ふ〜ん」

理由になっていない気がしましたが、それ以上追求はしませんでした。
何気なく踏み込んだ二股の道の左側。桃栗町へとツグミが戻るのは、
それから何日か後の事になるとは知らないままに。

(第145話・完)

# 微妙に語らない部分があるのはわざとです。(笑)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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