C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0 『さくらとまろんと春の海』(4/4)(8/17付) 書いた人:藤森英二郎さん
 HOME 記事一覧 前の記事へ 次の記事へ
From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: fj.rec.animation,japan.anime,japan.anime.pretty
Subject: Re: C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0(4/4) (Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))
Date: Fri, 17 Aug 2001 06:50:44 +0900
Organization: So-net
Lines: 704
Message-ID: <9lhf7m$anq$1@news01de.so-net.ne.jp>
References: <9juiso$3q4$1@news01bg.so-net.ne.jp>
<9kdl9n$fa3@infonex.infonex.co.jp>
<9leqm1$gt3$1@news01cd.so-net.ne.jp>
<9lerpv$ijg$1@news01ce.so-net.ne.jp>
<9lhe3f$ak7$1@news01de.so-net.ne.jp>

石崎@夏休み中です。

 この記事は、とある事情でNetNewsに投稿できない藤森英二郎さんより頂いた、
さくら&ジャンヌ妄想小説です。
 そう言うのが好きな人だけどうぞ。

#某アーカイブF及び偽アーカイブには早速登録されていますね(笑)

 長さの関係で4分割しました。この記事は、4分割投稿のその4です。
 以前の記事は、
 その1及び挨拶<9lerpv$ijg$1@news01ce.so-net.ne.jp>
 その2    <9leqm1$gt3$1@news01cd.so-net.ne.jp>
 その3    <9lhe3f$ak7$1@news01de.so-net.ne.jp>

 …よりお楽しみ下さい。

 ここでお知らせ。
 4分割記事の予定でしたが、最後の記事が800行を越えてしまう事が判明し
(笑)、もう1つ後書きとおまけのショートストーリーの記事を追加します。

 改ページ後より、藤森さんの妄想です。




(ここから藤森さんの妄想)
>
C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その4)


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 更衣室兼脱衣所 夜

キャンピングカー内の脱衣所と思われる所で、赤くなりながらも
びしょ濡れで砂と塩だらけの服を脱いでいくまろん。
大型バス以上に大きなキャンピングカーに、「魔法少女の乗り物なら
小さくてピンクで派手」だろうと考えていたまろんは予想が外れてしまいます。
また、この場所も脱衣所にしては広く、通路に面していた妙に巨大な
クローゼットに繋がったドアもありました。

あこがれの魔法少女達の前で服を脱ぐことに顔を赤くしているまろんと異なり、
髪の長い魔法少女の方は小さい子だけあって
全然物怖じせずぱっぱと服を脱いでいます。
髪の短い魔法少女の方は、体に密着したウエットスーツを
少し脱ぎあぐねているようでした。

「知世ちゃん、背中のファスナー降ろすの手伝って。」
「はい。もちろんですわ、さくらちゃん。」
(・・・?変身してたわけじゃないの・・・?)

明るい所で近くから見るとピンク色で派手派手なウエットスーツ姿の
魔法少女の方は、てっきり変身した姿だと思っていたまろん。
シャワーのお誘いを最初断ったのは、魔法少女は変身する所を
見られたくないだろうと考えたせいもあるのですが、
彼女達はどうも普通の魔法少女とは違うようです。

見ると、ウエットスーツの背中にファスナーが付いていて、
髪の長い方の魔法少女が下着姿で手伝い、そのファスナーを下げていました。

(ウエットスーツって、普通は自分で脱ぎやすいように
 前にファスナーが付いているんじゃなかったっけ?)

さくらちゃん専用ウエットスーツのデザインを優先した知世ちゃんが、
着付けも自分でするつもりで背中にファスナーを付けたのですが、
この辺はまろんには理解できないことでした。



「あっ、そうそう。ボイラーのスイッチを入れてまいりますわ。」
「ほえ?・・・あ、うん。知世ちゃん、お願いね。」

ウエットスーツのファスナーを下げた後、下着姿のまま
自分が脱いだ服を抱えて、何やらさくらちゃんに目配せする知世ちゃん。
膨らんだ服のフードの中からケロちゃんの尻尾がはみ出しているのを見て、
さくらちゃんはケロちゃんのことを知世ちゃんにまかせます。
いつもならケロちゃんも一緒にシャワーを浴びる所ですが、
お客さんがいるのでさすがにそういうわけにはいきません。

(洗濯機ならここにあるのに・・・どこに持って行くのかしら?)

知世ちゃん同様下着姿になったまろんは、濡れた服を抱えて脱衣所から
出て行く知世ちゃんの方を不思議そうに見るのでした。


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 脱衣所〜シャワー室

知世ちゃんが手ぶらで戻ってきた時、さくらちゃんもまろんも
全部脱いでしまって、すっぽんぽんでバスタオルを巻いて震えていました。

「お待たせいたしました。もう熱いお湯が出るはずですわ。
 先に入っていて下さいな。」
「お湯はそんなにもたないんだよね?
 だったら、知世ちゃんも一緒に入らなきゃ。」
「それでは、大急ぎで。」

キャミソールとパンツを大急ぎで脱ぎ捨て、
すっぱだかになって先に立ってシャワー室に入る知世ちゃん。
さくらちゃんとまろんは体に巻いていたバスタオルを取り、
タオルを持ってシャワー室に入ります。

「ドア、締めたよ〜。」
「シャワーを出しますわ。最初はぬるめで・・・」

1m四方もない狭いシャワー室に、文字通りおしくらまんじゅうのように
すし詰めになって入ったさくらちゃん、知世ちゃん、まろんの三人。
自分の裸のお腹から足にかけて魔法少女達の裸体が密着してしまい、
まろんはますます赤くなるのでした。

ザーッ!

「熱っ、あちっ!」
「冷え切った体には、もっとぬるめでも良かったですわね。」
「でも、気持ちいいよ、知世ちゃん。」

1本のシャワーを三人で浴びるため、ますます体を寄せてくるさくらちゃんと
知世ちゃんにサンドイッチになってしまったまろんは、
熱いシャワーのせいだけでなく体がほてるのを感じます。

(あまりのかわいさから思わず「抱き締めたい」とは思ったけど・・・
 こ、これは拷問だわ。あこがれの魔法少女が、二人も、
 すっぱだかで私に密着して・・・あ、あら?)

黒い瞳がじっと自分を見上げているのに気付いたまろんは、
自分の考えを読まれたのかと思わずどぎまぎしてしまいます。

「あの、お名前・・・まだお聞きしていませんでしたわ。」
「そうだ!あの、私は木之本さくら。そして、友達の大道寺知世ちゃん。
 お姉さんの名前は?」
「え、あ、名前・・・さくらちゃんに、知世ちゃんね?
 ・・・私は、日下部まろん。まろんでいいわよ。」

一瞬、泥棒である自分が正義の味方の魔法少女に名前を明かしていいものかと
ためらったまろんですが、「名乗るほどの者じゃないわ」なんてのはあまりに
キザだったので、素直に本名を教えるのでした。

「まろんさん・・・今日は、本当にどうもありがとうございました。」

密着されたまま二人に同時に頭を下げられ、お腹と脇腹にキスされた
格好になってしまったまろんは、さらに体を赤くしてしまいます。

「わ、私はほとんど何もしていないんだからいいわよ。」
(大津波から助けてもらったのは私の方だし・・・)

「まろんさん!少しかがんで下さい!私が洗ってあげます!」
「わたくしもお洗いいたしますわ!」
(ひ、ひえ〜っ!!)

やっぱり、断って帰るんだったと後悔しているまろんに、
「命の恩人」だと思っているさくらちゃんと知世ちゃんは
精一杯サービスするのでした。

#ごほーし、御奉仕〜!って、それは違うアニメ。
#サービス、サービスぅ!ってのも違うアニメだ。(^^;


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 キッチン 同時刻

「は〜、極楽、極楽〜。」

お客さんがいるのでさくらちゃんと一緒にシャワーに入れなかったものの、
知世ちゃんにキッチンのシンクにお湯を溜めてもらい、
お風呂にして入っているケロちゃん。
ファイアリィの力を使っていたので自分の体は乾いていたのですが、
砂と塩だらけになってしまったので体も洗っています。

「ええ気分やな〜。」

ぬるくなったら自分でファイアリィの力を使って追い炊きし、
頭の上に知世ちゃんのハンカチを畳んで載せ、御満悦なケロちゃん。

「なんや?」

お湯に浸かったままケロちゃんがキッチンの窓の外を見ると、
すっかり暗くなった外を何やら白いものが横切るのでした。



キャンピングカーの回りをうろうろ飛び回って中の様子をうかがっているフィン。
遠くから隠れて眺めていたため事情がわからないフィンには、魔法少女達が
まろんをキャンピングカーの中に拉致監禁したように見えてしまったのです。

(まろ〜ん、大丈夫なの〜?)

まろんを心配しているフィンでしたが、また得体の知れない生き物に
会うかもしれないと思うと、なかなかキャンピングカーの中まで踏み込めない。
しかし、中から話し声や笑い声だけではなく、まろんの悲鳴らしき声まで
聞こえてきて、もういてもたってもいられません。

声が聞こえる所には窓がないので、
その近くの窓に顔を付けて中を覗き込んでみるのでした。



「おおっ!お前は・・・」
(げっ!やばっ!)

窓から覗き込んだとたんに、海中で会った黄色いぬいぐるみのような
得体の知れない生き物と目が合ってしまうフィン。

「フンやないか!」

ずるっ・・・ドスン!

またも汚物のように呼ばれてしまい、フィンは窓からずり落ちて
アスファルトの地面に激突してしまいます。
ケロちゃんの方は再会を喜び、シンクのお風呂から出て窓を開け、
フィンに向かって手を振るのでした。

「わ、私は『フン』なんかじゃないわよっ!
 『フィン』!『フ・ィ・ン』なの〜っ!!」
「まあ、そんなことはどうでもええ。」
「どうでもよくな〜いっ!」

顔面からアスファルトに突っ込んでしまっていたフィンは一瞬で立ち直り、
キッチンの窓枠の所まで飛び上がってケロちゃんに食ってかかりますが、
ケロちゃんは汚れた顔でまくしたてるフィンにも平気な顔です。

「さっきはお前のおかげで助かったわ。そっちの探し物は見つかったんか?」
「・・・え、ええ、まあ。」
「そりゃよかったな。そや!一緒に風呂入らへん?」
「えっ?」
「ずいぶん汚れとるようやし。」
「誰のせいだと思ってんのよっ!」

「お前も海から上がったばかりで体洗ってないやろ?」
(・・・そうねぇ、服は天使の力で乾かしたけど・・・
 塩だらけでベトベトして気持ち悪いし・・・でも・・・)
「遠慮せんでええ!わいが洗ろうたるさかい!」

ためらうフィンでしたが、ケロちゃんはその手を掴んで
無理矢理シンクの湯船まで引っ張り込んでしまいます。

ドボンッ!

「キャーッ!な、何すんのよっ!」
「なんや?こん服どうやって脱がすんや?」
「そ、そんな所に触らないで〜っ!この変態っ!」
「ああもう、めんどいから服ごと洗ろうたる!」

ザバッ!ジャブッ!ごしごし、ざぶざぶ・・・

「がぼっ!ごぼっ!ブクブク・・・」(た、助けて〜っ!まろ〜んっ!!)

こちらも、「封印の鍵を見つけてくれた恩人」に対して
大サービスで服ごと無理矢理洗ってあげるケロちゃん。
こうして、まろんはさくらちゃんと知世ちゃんに、
フィンはケロちゃんに全身くまなく洗われてしまうこととなったのでした。


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 更衣室兼脱衣所

「ふう、ふう、ふう・・・」
「まろんさん、大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」

魔法少女二人に耳の後ろから足の指の間まで洗ってもらい、
お返しにキャアキャアと大騒ぎをしながら洗ってあげ・・・
そうこうしている内にタンクのお湯が尽きてシャワーが止まり、
まろんにとって楽しくも拷問のようなシャワータイムは終わりを告げました。

バスタオルを体に巻き、椅子に座ってぐったりしているまろんを、
同じくバスタオルを体に巻いたさくらちゃんが心配そうに覗き込み、
たたんだタオルで扇いで風を送っています。
長時間湯船に浸かっていたわけでもないのに、
まろんは体を真っ赤にしてすっかりのぼせてしまっていたのでした。

「まろんさん、今日はもう遅いですし、ここに泊まって行きませんか?」

三人分の着替えを用意しながらまろんに声をかける、
これまたバスタオルを体に巻いている知世ちゃん。
しかし、まろんは弱々しく首を横に振ります。

「わ、私は、今日中に帰らないといけないから・・・」
「そうなの?残念だね。」

本当に残念そうに言うさくらちゃんの顔を見て、まろんは少し胸が痛みます。
別に今日中に帰らなければならない用事があるわけではないのですが、
これ以上ここにいたら何をされるか、何をするかわかったものではありません。

(キャンピングカーの狭いベッドで、三人一緒に寝ましょうなんて言われたら
 ・・・体が持たないわ。私の理性も持ちそうにないし・・・)

これ以上一緒にいたら、自分は魔法少女に付いて
根掘り葉掘り聞いてしまうかもしれない。
正体を知られたくない魔法少女にとって、いくら恩人と言っても
まろんはいつまでもいてもらっては困る人だろう。

そして、今日の事はお互いに、お互いのためにもできれば忘れた方が、
忘れてもらった方がいいくらいのことなのだ。
そう考えたまろんは、断固帰ることを決意するのでした。

「残念ですわ・・・
 あ、これがお着替えです。サイズが合えばよろしいのですが。」
「・・・こ、この服を着るの・・・?!」

知世ちゃんがまろんに向けて差し出した両手に載っているのは、
たたんであってもわかる派手派手ふりひら付ピンクのスカートと上着、
それにレース付パンツにブラジャー。

「まろんさんが着ていた服をお洗いして乾かしている時間はありませんから、
 この服はさし上げますわ。さくらちゃんの命の恩人ですもの、
 これくらいは当然です。」
「で、でもこれ・・・」

まろんが手に取って広げてみると、ますます少女趣味な服の実体が明らかになる。
知世ちゃんが用意したのは、実は「成長したさくらちゃん」を想定して試作した
バトルコスチュームで、もちろんふりひらレース付ミニスカートであった。

「お気に召しませんか?
 でも、他は子供服ばかりでまろんさんが着れそうな服はないのですが・・・」

(濡れた服のままでも、ジャンヌに変身すれば大丈夫なんだけど・・・
 さすがにジャンヌの姿のまま電車で帰るわけにもいかないわねえ。
 でも、これ・・・え〜ん、ジャンヌの服より恥ずかしいよう。)

「今日中に帰る」と言った以上、いまさらここに泊まって
着ていた服を乾かすわけにはいかない。
ジャンヌの姿では電車に乗れないし、ましてバスタオル一枚で帰れるはずもない。
ジャンヌの姿の時は変身しているからそれほど恥ずかしくはないが、
まろんの姿のままこんな服を着て人前に出ることを考えると、
その恥ずかしさは想像を絶する。

まろんは、夜中で電車に乗っている人が少ないだろうことを願いつつ、
やむを得ずひらひらの下着と服を着てみます。

「きつくはありませんか?それともゆるい所は?
 簡単な直しならこの場ですぐできますが。」
「え、ええ。大丈夫みたい。」

実際は少しブラがきつかったのですが、
こうなったら一刻も早く家に帰りたいまろんは、服の寸法直しを断ります。
こうして、まろんは自分自身がまさしく魔法少女そのもののような姿になり、
限界まで真っ赤になってしまうのでした。

(魔法少女って、ジャンヌより大変だし、恥ずかしかったのね・・・)


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー近く

「今日は、本当にありがとうございました!」
「さようなら〜っ!」

着替えた後、キャンピングカーの外までまろんを
お見送りに出ているさくらちゃんと知世ちゃん。
今度は普通の服を着ているさくらちゃんの方をうらやましそうに見てから、
自分の濡れたままの服を持ってまろんは意を決して歩き出します。

お互いに手を振り、別れを惜しむ三人。
両者の距離がかなり離れた時、キャンピングカーのキッチンの窓から
小さな白い物が飛び出し、後を追うように黄色い物も飛び出してきます。

白い物体の方はそのまままろんの方へ飛んで行き、黄色い物体の方は
途中で慌てて方向転換し、知世ちゃんの後ろに隠れてしまいました。

「ほえ?」
「あら、ケロちゃん。お風呂はいかがでしたか?」
「おう!いい湯やったで!」
「知世ちゃん、見えないの?」
「えっ?」
「あの人の方へ、羽のある、なんだかケロちゃんみたいなのが
 飛んで行ったんだけど・・・ケロちゃんは見えた?」

「・・・な、何だとぉ・・・」(顔つきが厳しくなったフィン)
「フィン、どうしたの?」
「え?私、どうかしてた?」(準天使の顔に戻ったフィン)
「?」

「もちろんわいにも見えとるで。
 知世に見えんとなると、ありゃやっぱ妖怪や、妖怪。
 あんなもんがわいに似とるなんて失礼やで、さくら。」
「よ、妖怪って・・・お、おばけ・・・ほえぇ〜っ!!」

ドスンッ!

耳がいいのでこの会話も聞こえ、思わず地面に落っこち、
めり込んでしまったフィン。

「・・・お、おのれ・・・!!」(堕天使の顔になったフィン)
「フィン、何してんの?置いてくわよ!」(フィンの顔の変化に気付かないまろん)
「あ、待ってよ〜!まろ〜ん!!」(また元の顔に戻ったフィン)

せっかくケロちゃんに洗ってもらってきれいになった体を
またもほこりだらけにして、フィンは慌てて
堤防の下に置いて来たおみやげを取りに行くまろんを追うのでした。

「・・・?どなたか、いらっしゃったのですか?」
「わいはあの『フン』っちゅうやつと一緒に風呂入っとったんや。」

ドシャッ!

「もう、さっきから何やってんのよ、フィン。」
「・・・」(もはや言葉もないほど怒っているフィン)

「あいつが封印の鍵を見つけてくれたんや。
 お礼代わりにこのわいが体まで洗ってやったっちゅうに、
 ほんま無愛想なやっちゃで。」
「『フン』って・・・なんか変な名前だね。」

ズシャッ!

「風呂から上がって、知世にもろたハンカチで拭いてやった後、
 わいがドライヤー代わりになって乾かしたろ思て抱き付いたら、
 振りほどいて逃げよったんや。」
「わたくしにはその『妖怪さん』は見えないのですわね・・・残念ですわ。」

グシャッ!

「にしても・・・あの姉ちゃん、
 あん『フン』っちゅう妖怪に取り憑かれとったんか。大変やなあ。」

ドズンッ!

「フィンってば!」
「・・・・・・」

ふらふらになりながら、自分の耳が良すぎることを恨みつつ、
天使であることがばれなくて良かったとほんの少し思いながら、
妙に派手な格好をしているまろんの後を追うフィンなのでした。

#フィンが自分の意志で堕天使になれてたら、
#この後血を見たかもしれない・・・
#でもさくら対ジャンヌじゃなくて、ケロ対フィンになってしまうな。


★エピローグ その1 「その頃、木之本家では・・・」

「そういや、そろそろ兄ちゃん帰って来る時間やないか?」
「それならだいじょうぶ。ミラーさんにお留守番お願いしてきたから。」



「ただいま〜。」
「あっ、お、おかえりなさいませ。」

玄関に入ってきた桃矢兄ちゃんに、キッチンから走り出てきて
あいさつするミラーさくらちゃん。
しかし、またも桃矢兄ちゃんは一目で見破ってしまうのでした。

「?・・・はぁ・・・また、さくらはどっか行ってんのか・・・」
「えっ、あの、その・・・」
「で、さくらは今日は泊りか?」
「え、そ、それは・・・」
「ま、いいか。晩御飯、できてんだろ?一緒に食べようぜ。」
「・・・は、はい!」

「あ、あの、お味はどうですか・・・?」
「うまい。」
「あ、ありがとうございます・・・」

(今夜はお兄様と、二人っきり・・・ぽっ。)

キャンピングカーの小さなベッドでさくらちゃんと一緒に寝られる
知世ちゃん同様、大きな幸せを感じているミラーさくらちゃん。
ウェイブのクロウカードはさくらちゃんをおぼれさせるという試練を
与えましたが、結果的に多くの人に幸福感をも与えたのでした。

#まろんは幸福過ぎてのぼせちゃいましたが。(^^;


★エピローグ その2 「その後、オルレアンでは・・・」

ピンポ〜ン!

「こんな夜中に誰よ、まったく・・・」

こんな夜中でも構わず来るやつは一人しかいないだろうと思いつつも、
玄関まで走り出てドアを開ける都。

「・・・ブッ!・・・キャハハハハハハハ!!」
「・・・」

玄関の外に立っている人物は予想通りでしたが、
その姿・・・着ている服に都はお腹を抱えて笑い出してしまいました。

「ヒー、ヒー!な、何よその格好!!」
「・・・」

玄関の外に立っていたのは、白いレース付の
どピンク服とふりひらミニスカート姿のまろん。
都はまろんとは長い付き合いですが、幼少の頃からこんな少女趣味の
派手な格好をした姿など一度も見たことがありません。
中学も卒業したというのに、いったいまろんに何があったというのでしょう?

「・・・忘れない内に、おみやげだけ渡しておくわ。」

着ている服より赤くなっているまろんは、あいさつ抜きで本題だけ話し、
持っていた袋の中から都へのおみやげを取り出して押し付けます。

「クククク・・・お、おみやげ?アンナミラーズにでも行ってきたっての?」
「ちょ、ちょっと旅行にね。」
「何これ?『西伊豆みやげ』って・・・あ〜っ!
 まろん、お昼のニュースでやってた大波を見に行ってたのね!
 言ってくれれば私も一緒に行ったのに〜っ!」
「ごめん、都。だからこうしておみやげ買って来たんじゃない。」

おみやげの箱に貼ってあったシールを読んで、
まろんがどこに行っていたのかすぐにわかってしまった都。
では、大波が発生している海岸に野次馬しに行ったまろんが、
こんな服を着て帰って来たのはどういうわけか・・・

「はは〜ん。」
「な、何よ!」
「さては、まろん・・・」
(ドキッ!)

「海に近づき過ぎて波をかぶったわね!」
「・・・う、うん、まあ・・・」
「それで、着替えを買おうとお店に行ったら、同じような人が殺到して
 全部売り切れてて、そんな服しか残ってなかったんでしょ。」
「ま、まあ、そんな所よ。」(ホッ)
「それにしても、よくそんな派手な服あったわねえ・・・まさか、下着も?」
「ちょ、ちょっと都、何を・・・キャーッ!」

まろんのスカートの裾をつかみ、思いっきり捲り上げて覗き込む都。
まろんはあわててスカートを押さえますが、時すでに遅し。
しかも、前を隠そうと後ろを向いたので、
結果的にパンツのお尻まで見せてしまいます。

「ププ〜ッ!アハハハハハ・・・」
「・・・んもう!都のバカ〜ッ!!」

笑い転げている都を後にして、怒りと恥ずかしさでますます赤くなってしまった
まろんは、都の家の向かい側にある自分の家に逃げ帰ってしまうのでした。



玄関から家の中に走り込んで、買い込んだグッズや湿ったままの
自分の服を入れてある大きな袋を怒りにまかせて叩き付けてしまうまろん。
続いて、着ている服も放り投げるように脱ぎ散らかしてしまう。

まろんの後を付いてきていたフィンは、「触らぬ神にたたりなし」とばかりに、
そ〜っとまろんの側を離れようとするのですが、
またもまろんに羽を引っ張られて引き止められます。

「待って、フィン。」
「いや〜ん、羽を引っ張らないで〜っ!まろ〜ん、いったい何〜?」
「天使って、人間に正体を知られたら記憶を消したりしてるでしょ?」
「・・・き、聞いたことはあるけど・・・
 私はそんなドジ、したことないわよ〜っ!」
「記憶を消せるのは本当なのね?」
「そ、そうだけど・・・」
「私の今日の記憶を消して。」
「え〜っ!!?」

下着姿でフィンの羽をつまみながら自分の記憶消去を頼み込むまろん。

「魔法少女って、人に正体を知られると、魔法が使えなくなったり、
 魔女ガエルになったり・・・まあ、何らかのペナルティがあるものなのよ。」
「まろんが、あの子達のことを魔法少女だって知っちゃったから・・・?」
「うん。あの子達のことは忘れたくないけど、忘れてあげた方がいいと思って。」
「でも・・・」

ためらうフィンに、まろんは顔を近づけて強弁します。

「こ〜んな服を着て、恥ずかしい思いをしながら
 電車に乗って帰ってきたなんて・・・絶対、忘れるの!」

ズルッ!(羽をつままれたままこけてしまったフィン)

(・・・そ、そっちが主な理由なのね・・・)
「服を都に笑われるだろうことは覚悟してたけど・・・
 ま、まさか、このパンツまで見られちゃうなんて!」

まろんの下着は見ていなかったフィンは、羽をつまんでいるまろんの手を
振りほどいて、まろんの回りを回ってその下着姿をまじまじと見てみます。
すると、レース付純白ブラはともかく、パンツの方はレースが付いている
だけではなく、なんとお尻にでっかいくまさんプリントが付いており、
さらに前の微妙な所にまで小さなくまさんプリントが付いていたのでした。

「ププッ!」
「ジロリ。わ、笑ったわね〜っ!もう、ちゃんと記憶を消してくれないと、
 二度とジャンヌのお仕事なんてしてあげないんだから!」
「え〜っ!そ、そんなあ、まろ〜ん!」
「明日の朝、私が起きた時にまだ今日の事を憶えていたら・・・
 いいわね?フィン!」
「わ、わかったわ・・・」

ジャンヌのお仕事をやめられては困るフィンは、
やむを得ず今日のまろんの記憶を消すことに同意します。

(んもう・・・今日の事を忘れたいのはこっちよ!あの変態ぬいぐるみ〜っ!)

まろんの方は、今日の事を忘れるとなったら今日の事を思い出させる物は
全部隠してしまわなければならず、ちょっと思案中。
せっかくもらった服は捨てるわけにもいかず、まろんは知世ちゃん特製
コスチュームを母の衣装ダンスの奥にしまい込み、他に買ってきたグッズ類も
両親の部屋の物入れ等に隠してしまいます。
見慣れない物を見つけてもあんまりおかしくないような、普段開けて見ない所へ。

「ふう。これでよし、と・・・」

後で、母の衣装ダンスからこの服を見つけた自分が、
母の少女時代を誤解するかもしれないと思いつつも、
一安心したまろんは普通の下着とパジャマを着てベッドに入ります。

(・・・忘れちゃうのは惜しい記憶もいっぱいあるんだけどな・・・)

今日の出来事を思い返してみるまろん。
裸の少女をビデオ撮影していると思い込んで赤くなり、
その少女に口付けして赤くなり、一緒にシャワーを浴びて赤くなり、
恥ずかしい服を着せられたシーンでさらに赤くなり、そして・・・

(や、やっぱり忘れる〜っ!ごめんね、さようなら、魔法少女達・・・)




そして、翌日の朝。

「フィン!フィンいる?!」
「な〜に?まろ〜ん。私、ちょっと力を使い過ぎちゃって眠いんだけど・・・」
「どうも日付が一日飛んでると思ったら・・・
 フィン、昨日の私の記憶を消したでしょ!」

パジャマ姿のまま、届いた新聞の日付欄を指差して
プンプン怒りながらフィンに詰め寄るまろん。
まろんに言われて仕方なくやったことなのに、
怒られるとは思ってもみなかったフィンはうろたえます。

「だ、だって、まろんが言ったんだよ?昨日の記憶を消してって。」
「嘘よ!フィン〜、あなた、ひょっとして・・・
 昨日何か大失敗したんで私の記憶を消したんじゃない?」
「し、失敗なんてしてないわよ〜っ!」
「誰かに天使の存在がばれちゃって、それを私にも知られたから
 その人と一緒に私の記憶も消したとか?」
「だから、してないってばっ!」
「もう!金輪際ジャンヌのお仕事なんかしてあげないんだから!」
「え〜っ!そ、そんなあ〜っ!」

フィンが勝手に自分の記憶を消したと思い込み、
ますますジャンヌのお仕事が嫌いになってしまったまろん。
こうして、フィンはやむを得ず勝手に予告状を出し、無理矢理
まろんにジャンヌのお仕事をやってもらうようになってしまうのでした。


・・・これより一年近く後に、まろんはこの時の魔法少女達に再会します。
しかし、フィンに記憶を消されたため思い出すことはできません。
また、再会する時のまろんはジャンヌの姿をしているため、
さくらちゃんもこの時助けてくれたお姉さんだとは思いもしないのです。

そして、まろんはこの時せっかく助けてあげたあこがれの魔法少女達に、
「おばけ」だの「センスが悪い」だのと言われることになってしまうので、
忘れていた方が幸せなのでしょう・・・


★エピローグ その3 「その後、キャンピングカーでは・・・」

「今日は、本当にお疲れ様でした、さくらちゃん。」
「う、うん。知世ちゃんも、ありがとう。助けてくれて・・・」
「わたくしより、まろんさんと、ケロちゃんのおかげですわ。」
「ケロちゃんが?」
「わいの大活躍、さくらにも見せたかったで!」
「10mしか泳げないわたくしのために浮き袋になっていただいたり、
 おぼれたさくらちゃんを暖めるために湯たんぽになっていただいたり
 したのですわ。」
「(汗)・・・そ、そう。ケロちゃんも、ありがとう。」
「おう!ま、たいしたこっちゃないんやけどな!」

確かにケロちゃんはたいしたことはしていないのですが、
素直なさくらちゃんは心からケロちゃんにもお礼を言います。

「それよか、あの姉ちゃんが着とった服、知世が作ったコスチュームやないか?」
「ええ。そうですわ。」
「あの姉ちゃんにやってもうて、良かったんか?」
「あれは、さくらちゃんが成長したお姿を想定してお作りした
 バトルコスチュームなのですが・・・もちろん、またお作りしますわ!」
「ほえっ?」

「さくらちゃん、あの服を着たまろんさんを見て、
 デザイン等、何かご希望はございませんでしょうか?」
「え、えっと、服の方はとってもかわいかったけど・・・
 パンツのくまさんプリントは無い方が良かったかも。」
「そうですか?せっかく布地が大きくなったので、くまさんがお好きな
 さくらちゃん用におっきなくまさんをプリントしてみたのですが。」
「高校生くらいのお姉さんだったよね。それなら、やっぱり
 くまさんのプリントパンツは恥ずかしいんじゃないかなあ?」
「そうですわね・・・わたくしも、大人向けのデザインは
 まだまだ勉強の余地がありそうですわ。もっともっとデザインの勉強をして、
 何着でもお作りしますから、また着てみてくださいね。さくらちゃん。」
「はうぅ〜。」(泣)

いくらくまさんが好きでも、大人になった時に前までくまさんが
プリントされているパンツをはくのはさすがに恥ずかしいだろうと、
今日のまろんお姉さんの姿を見て思ったさくらちゃんでした。

(・・・助けてくれて、ありがとうございました。
 そして・・・恥ずかしい服を着せちゃってごめんなさい・・・
 お、『おばけ』憑きのお姉さん・・・)


『ハックション!!』(まろん&フィン)


おしまい。

(4/4はここまでです)

 では、後書き&おまけの記事へと続きます。



--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
 HOME 記事一覧 前の記事へ 次の記事へ

 記事に対するご意見・ ご感想などがありましたら書いてやって下さい

 件名:
 名前: (ハンドル可)
 E-Mail: (書かなくても良いです)

 ご意見・ご感想記入欄