From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Thu, 07 Jun 2001 01:44:43 +0900
Organization: So-net
Lines: 477
Message-ID: <9flmlu$8u4$1@news01df.so-net.ne.jp>
References: <9cb9kk$qls@infonex.infonex.co.jp>
<9cjvcs$jeg$1@news01ci.so-net.ne.jp>
<9cs6tr$nse@infonex.infonex.co.jp>
<9dleud$mnm$1@bgsv5906.tk.mesh.ad.jp>
<9e23nj$q49@infonex.infonex.co.jp>
石崎です。
hidero@po.iijnet.or.jpさんの<9e23nj$q49@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。
こんにちわ。
暫く留守にしていてすいません(滝汗)。
3週間振りの妄想です。
長くなったので、フォロー記事&第123話前半と後半の記事に分割しました。
こちらは、フォロー記事&第123話前半です。
このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版に触発されて延々と続いている
妄想小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。
>>> >>> ★神風・愛の劇場 第119話『求愛』
>
># 「後」なのに着ているんですか?(爆)
全部脱がなければ出来ないわけでも無いですし、後で着たのかも(笑)
>>> >★神風・愛の劇場 第120話 『正餐』
># やはり「濃い」のが必要ですか。(爆)
…と言う訳で濃い食事を用意してみました(爆)
>ちなみにあれは全部人間語に翻訳してある物と思ってください。(笑)
># 本当は(当然ながら)現地の言葉で話してます。
成る程。つまりは翻訳者のセンスと趣味が現れると(違)。
>>> ★神風・愛の劇場 第121話『目覚め』
>
>フィンの忠告は一歩間違えれば困った事にもなりかねない所ですが、
>それでも敢えて行ったのはやはりツグミさんの事を本気で心配して
>くれているからという事の様ですね。
本編でもあったように、ノインの好きなようにはさせたくないのかも。
>やはり、こう、何ですな。恥じらいの姿と言いますか、隠している
>仕草なんてのを想像するに単なる裸よりも余程色っぽいという。(爆)
見せないえっちの方が全開よりも良いのです(笑)。
しかも、ツグミさんは相手に自分がどう見えているのか判らないので頭隠して
尻隠さず状態になっている可能性大(笑)
># しかし、濁ったお湯ってのはアニメ的逃げのお約束ですね。(笑)
実はツグミさんが使ったのは別の種類の入浴剤で、実はこちらは見えていたり
して(嘘)。
>それにしてもわずかな期間に照れなくなった全くん。
>ガキだからこそ見慣れると照れないのだと見た。(笑)
># さては最近は自宅で薄着の女がうろうろしているんだな、きっと。*^^*
ご名答。今回回答編を用意しました。
>そして夜中。ツグミさんの寝顔を見て何を思ったのやら。
>彼の個人的な感傷か、それとも言い付けられた何かか。
># ほっぺ「フニフニ」までは行かなかったらしい。
ほっぺを「びろーん」だと別の作品になってしまいそうです(笑)
>★神風・愛の劇場 第122話 『素直さの理由』
毎度の事ながら一人でどよ〜んと落ち込んでいるまろんちゃん。
心の中のモノローグは、やはり問いかけの部分は画面上に文字で出力される演
出だったりするのでしょうか(違)。
そしてまろんちゃんに対する問いかけは、果たしてまろんちゃん自身の心の声
か、さもなければフィンが囁いているのか。
どちらであれ、まろんちゃんがフィンやツグミさんに見出した自分自身という
のは、「孤独」の陰でしょうね。
同じ孤独な者同士であれば、自分が「哀れみ」を受ける事は無い。
哀れみを受けるのが嫌なばかりに強がっていた自分。
だけど同じ境遇の者同士なら、素直に甘えられる。そういうことでしょうか。
本編でフィンがまろんの事を大嫌いと言っていますが、今回のフィンの呟きは
その理由ということなのでしょうか。
まろんちゃんがフィンに対する接し方が、人形と言うか、ペット扱いに思えて
嫌だったのかも。そう言えば原作で稚空にペットと言われて強く否定する場面が
ありました(笑)。
># 元々一人称の文体では無いシリーズなのでモノローグは難しい。
ト書き形式の時にモノローグを出したときにも感じたので判ります。
では、久々の本編。
★神風・愛の劇場 第123話『契約(前編)』
●オルレアン 稚空の部屋
まろんと屋上で話した後で、一人家路についた帰宅部の稚空。
弥白の屋敷に帰る前に、自分の部屋に一旦戻りました。
アクセスが天界から戻って来てはいないだろうか。
そう期待したのですが、テーブルの上に置いたメモに、読んだ形跡はありませ
んでした。
(いい加減、戻って来てくれよな、アクセス…)
●枇杷町 山茶花本邸
弥白が学校から戻った時、稚空の姿はありませんでした。
もっとも、荷物はそのままでしたから、その内帰って来るだろうと思い待って
いると、日が暮れる頃に稚空は帰って来ました。
「遅くなってすまない」
「夕食の準備が出来ていますわ。それとも、お風呂になさいますか?」
恐縮する稚空に、弥白はそう言って微笑みました。
今日の夕食も弥白が自ら腕を奮いました。
一流の料理人が集められている山茶花家。
作らせた方が楽に余程美味しい食事が出来るのは判っていましたが、敢えて毎
日自分で作ることに決めているのでした。
(家で食べる料理の最高のスパイスは、『愛情』ですものね)
二人で囲む食卓。
それは、普段は一人の食卓が多い弥白にとってとても楽しいものの筈でした。
しかし、今日は稚空の様子が気になりました。
どこか心ここに非ず、という雰囲気なのです。
「稚空さん、どうかしたんですの?」
「いや、何でも…」
「お料理、どこか拙い所でも…」
「いや、美味しいさ」
「だったら殆ど食事が進んでいないのは何故ですの?」
実際、普段の食欲が嘘であるかのように、稚空の食事は大部分が残されたまま。
「すまん。ちょっと考え事してた」
そう言うと、今度は猛然と稚空は目の前の食事を片付け始めるのでした。
*
食事が済むと、弥白は一人キッチンで鼻歌を歌いながら、食器を洗いました。
稚空も手伝うと言ってくれたのですが、お客様にそんな事はさせられないとリ
ビングのソファに座らせました。
(『お客様』だなんて、失礼だったかしら)
そんな事を思います。
やはり、今時の夫婦なら、後片付け位は二人でやって当然かしら。
そこまで考えてから、既に稚空を自分のものとして考えている自分に気付き、
それを慌てて打ち消しました。
(最後に決めるのは稚空さんですもの)
いつも最後に出るのはその結論。
今日も同じ結論に辿り着くと、弥白はエプロンをつけたままリビングに向かい
ます。
「稚空さん、お茶…」
リビングには、稚空はいませんでした。
単なる用足しであろうとは思いましたが、何とはなしに稚空を捜しました。
トイレにも、稚空の寝室にも姿は無く、どうやら弥白の「部屋」には稚空はい
ないようなのでした。
「部屋」の外の廊下にも出てみましたが、そこにも姿はありません。
どこかで行き違ったのかも。
そう思いリビングに戻って来ると、果たして稚空はそこにいました。
「稚空さん」
「どうした? 弥白」
「姿が見えなかったので」
「ちょっと、バルコニーに出てた」
「外は寒いですわ」
「友達から電話があったのでな」
「そうでしたの」
稚空がどことなく後ろめたそうな様子なのが弥白には判りましたが、それを追
求する事はしませんでした。
多分、聞けば本当の事を教えてくれるだろうと判っていました。
しかし、怖かったのです。
本当の事を聞くことが。
*
その日の夜も弥白と稚空は一緒のベットに入りました。
但し、今日は稚空の部屋では無く、弥白のベットだという違いはありましたが。
それをお願いした時、稚空は「しょうがないな、弥白は…」と苦笑しながらも
それに応じてくれたのですが、その日も口づけ以上は何をする事も無く、すぐに
すやすやと寝息を立ててしまいました。
弥白も横になり、目を瞑りましたが今日も寝付けませんでした。
「稚空さんの、馬鹿…」
そう呟き、昨日もそうであったように、自分から稚空をぎゅうと抱きしめまし
た。
その時、胸に何か固い物が当たりました。
「?」
弥白は稚空から離れると、羽根布団を持ち上げました。
一緒に布団に入る時には気にもしていなかったのですが、稚空のパジャマの胸
ポケットに何かが入っているようでした。
「携帯…電話?」
ポケットの中から、端末が少しはみ出て落ちかけていました。
それを元のポケットに戻してやろうとした弥白の手が止まりました。
一瞬躊躇った後に、それを自分の手に取りました。
稚空の携帯は弥白と同じ最新型でした。
当然でした。何しろ、弥白の携帯を買いに行くという名目で強引にデートした
時に一緒に購入した揃いの機種なのですから。
一瞬躊躇った後にボタンを操作して、現れた表示を見ました。
それを見た弥白は即座に携帯の電源を切ると、元あった場所に戻しました。
「見なきゃ良かった…」
弥白が見た、稚空の電話の発信履歴。
その先頭にあった名は、弥白のライバルのものでした。
●桃栗町 聖の家
「先生、出来ました」
そろそろ日付が変わろうかという時刻。
パソコンで何やら操作していたまなみは、振り返って報告しました。
ソファに座って、別のノートパソコンで何やら操作していた聖は、それを聞く
と立ち上がってまなみの所に歩いて行きました。
「成る程。この前のままでは無いのですね」
「それだと、芸が無いですから。この前の文章に手直しして、文体も可能な限り
合わせてみました」
「成る程」
「新しい『素材』を用意できなかったのが悔しいです」
「何か心当たりでも?」
「あの娘達の趣味の事は、噂になってますから」
「その噂、貴方が発信源なのでは?」
ギロリとまなみを聖が睨みました。
「だって、本当のこと…ですから…」
「後でお仕置きです」
「はい」
最初は彼女の行いをネタに、脅迫して自分達の側に陥れた筈でした。
しかし、最近の彼女を見ていると、むしろ積極的に協力している風に見えます。
今日も、嬉しそうに答える彼女を見て、聖は何かが間違っていると感じるので
した。
「ところで先生」
「何ですか?」
「今日は彼、いないのですか?」
「全は友達の家に泊まるそうです」
「な〜んだ残念」
「好都合の間違いでは?」
「だって、あの子、素直で可愛い子じゃないですか。料理上手いし」
「それは認めます」
「この前はお風呂にも一緒に入っちゃった」
「何ですって! 何時!?」
思わず、聖は叫びました。
全の身体には普通の人間とは異なる部分があるのです。
それを気付かれた日には…。
「この前、先生が帰って来るのを待っていた時にです」
「その時何か変わったことは?」
「一緒にお風呂に入っただけですよ。別に何もありません」
「そうですか」
髪の毛に隠れて見えないから、触らせない限り判らないか。
そう思い、聖は安堵のため息をつきました。
「全君ったら赤くなっちゃって可愛いんですよ。まだまだ初な感じがとっても良
いの」
聖は、その時の様子を想像して思わず苦笑しました。
「作戦の為にはいずれは通らねばならない道ですが…」
「何か言いましたか?」
「いえ。彼は病院暮らしが長かったせいか、看護婦以外の女性と付き合った経験
が無くてね」
「それで色白なんだ。そんな事だったら、私が彼に、女の子のイロハを教えて
…」
そこまで言いかけ、聖がとても怖い顔をしているのに気が付いて、まなみは口
を噤みました。
「冗談ですよ。冗談。私は先生一筋ですから」
まなみは慌ててそう言うと、聖の所に駆け寄り、抱きついて来ました。
「良い子です」
聖は、まなみの髪を手で弄びながら、頭の中では別の事を考えているのでした。
●枇杷町
朝、目を覚ますと、弥白は既に起きた後でした。
起きた時に真っ先にした事は、胸ポケットにマナーモードで入れていた携帯電
話の確認。
「あれ?」
携帯電話の電源は、切れていました。
電源は入れたままの筈でしたから、寝ている間に何かの拍子で切れたのでしょ
う。
留守電も確認してみましたが、来ていませんでした。
昨晩まろんの家に電話をかけた時は、留守電になっていて誰も出ませんでした。
独りでツグミの家に行ったのでは無いかと心配でしたが、まろんとは約束した
のだからと、彼女を信じる事にしたのですが。
「今日学校に行ってみれば判るか」
*
着替えてリビングへと出てみると、丁度ダイニングから弥白が出て来て、朝食
の用意が出来ている事を告げました。
「稚空さん。お話があります」
朝食を平らげ、食後のコーヒーまで飲み終わった所で、弥白が改まった様子で
言いました。
「何だ、深刻な顔をして」
「いつか稚空さんが私に話してくれた方の話ですわ」
「…何の話だっけ」
「稚空さんがいつも見てなくちゃいけないと思ってる、あの方の事ですわ」
本当に稚空は忘れていたのですが、都が悪魔に取り憑かれた時、弥白を置いて
ジャンヌを助けに行った時の話なのだと思い出しました。
「弥白、俺は…」
「あの方に、何かあったんですのね」
「え!?」
「言ったでしょう。この弥白、稚空さんの事なら何でも存じてますわ」
「まさか、お前」
俺達の正体を知っているんじゃないだろうな。
そう聞きたくなるのを抑え、弥白の次の台詞を待ちました。
「あの方の所に、戻って上げて下さい」
「しかし」
「あの方の支えになれるのは稚空さんだけだって事。私は存じてます。だから」
目を潤ませて、そう言うのです。
「弥白はそれで良いのか?」
「私なら大丈夫。それに今回の事で、稚空さんが私の事をどれだけ大切に思って
くれているのかが判りましたから。私はそれで満足」
「…すまん」
「でも稚空さん」
「何だ?」
「あの方には、一時的にお預けするだけですから」
「おいおい」
「冗談ですわ。それを決めるのは稚空さんですものね」
「弥白」
「でも私、稚空さんの事は諦めた訳ではありませんから」
「判ってる」
そう言うと、漸く弥白は微笑むのでした。
*
荷物は後で送って貰うことにして、その日も何時も通り二人はリムジンで駅ま
で一緒に通学しました。
昨日までより少しだけ濃厚な口づけをかわしてから、稚空は車から降りて行き
ました。
その背中が見えなくなるまで、弥白は車を停めてずっと見送っていました。
「…これ以上、迷惑はかけられませんから」
そう呟く弥白の頬を一筋の涙が流れて行きました。
●桃栗学園
昼休み。稚空はまろんを昼食に誘いました。
当然のように委員長が二人の後からついて来ようとしましたが、都が委員長の
手を取ると、ぐいぐいと引っ張っていくのが稚空の視界の隅に入りました。
稚空は心の中で都に感謝すると、そのまま二人して購買部で昼食を買い込み屋
上に出ました。
屋上には他にも数組食事をしているグループがいましたが、人気のない場所を
選んで二人は腰を下ろします。
「昨日、電話くれたんだね。ごめんなさい」
稚空がまろんに聞く前に、先に謝られました。
「まさか、独りで行ったんじゃないだろうな」
「それは無いよ。昨日は早めに寝てしまっただけ」
「それなら良いが」
「約束は守るよ。だから心配しないで」
そう笑顔を見せましたが、それは稚空から見てとても弱々しく見えました。
「良い知らせがある」
「何よ」
「今日から、家に帰れる」
「山茶花さんは大丈夫なの?」
「大丈夫…とまでは言い切れないが、以前程じゃない」
「だったら、ちゃんと立ち直るまで側にいてあげたら?」
そう言うと、まろんはそっぽを向きました。
「今はまろんの方が心配なんだ」
「何それ」
「自分だけで悩み事を抱え込むな。まろんが一人で抱え込んでいるつもりでも、
周りはみんな気付いてる」
「そんな事無い…よ。あ…」
稚空は、衝動的にまろんの事を抱きしめていました。
「今度は、肝心な時に側に居たいんだ。まろんの事を守ってやりたいんだ」
まろんの耳元で、そう囁きました。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいよ稚空」
まろんは、顔を赤くして周囲の様子を伺っていました。
「良いな。絶対一人で行くんじゃないぞ」
「判ったわよ。だから離して」
まろんがそう言うと、稚空は抱きしめた手を離しました。
「少しは頼りにして、良いんだよね」
まろんは、稚空の事を見上げて言いました。
「任せろ」
稚空が胸を張ると、まろんは黙って稚空に身を預けるのでした。
*
放課後、部活に出るまろん達と別れて帰宅しようとする稚空は、パッキャラマ
オ先生に呼び止められました。
「学園に名古屋宛に郵便物が届いていたザマス」
「俺宛? 誰からですか?」
「それが、差出人が書いてないザマス」
「何かの悪戯かな」
「軽いし、透かして見た感じでは、紙以外には入って無いザマスね」
「爆発物や剃刀レターでは無いって事ですね」
「兎に角開けて見て、何かあったら連絡するザマス」
「はい」
そう答えると、部活のあるパッキャラマオ先生は体育館へ行ってしまいました。
「何だろうな」
その場で稚空は封筒を開け、内容物を確認すると顔色が変わりました。
「何だこれは!」
そう叫ぶや、走り出しました。
「あ、名古屋君。そんなに慌ててどこへ…」
玄関先で出会った委員長には答えず、稚空は走り続けるのでした。
(第123話 前編 完)
では、後編へと続きます。
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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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