神風・愛の劇場スレッド 第118話『揺らぎ』(4/27付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 27 Apr 2001 17:12:04 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 388
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<9bu0a9$jdg$1@news01bj.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<9bu0a9$jdg$1@news01bj.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。

>> これは神風怪盗ジャンヌのアニメに触発されて書き連ねられている
>> 妄想小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。

という事で。


>> >>> >★神風・愛の劇場 第114話 『帰結』

>> #それを見ている人がいたとして、ツグミさんはそれに全く気付かないであろう
>> #事もポイントでしょうね(笑)。

そのとーり。覗きってのは相手が気付いていないってトコにポイントが。(爆)

>> #一番そういう姿を見ているのはまろんちゃんでしょうけど。

# ニヤついているまろんちゃんが目に浮かびます。^^;

>> >>> ★神風・愛の劇場 第115話『受容(前編)』

>> >ゲストの女の子。ショートヘアで小柄で眼鏡というと……
>> >時節柄、那己ちゃん@くるみ2式の顔が浮かんでしまいます。*^^*
>>  家はUHFのアンテナが立っていないので…(号泣)。
>>  実はこの娘に関しては、別の元キャラが居ます。

あとは時節柄(そればっか ^^;)、レミィ@ジーンシャフトとか。

>>  上のこのフォローでこの子の性格は大きくねじ曲げられた事を予告しておきま
>> す(笑)。

曲がっちゃいますか。^^;;;

>> #以前の眼鏡っ娘スレッドでは、どういう結論に達したんでしたっけ?

フォローの数だけ眼鏡っ娘の定義があるという至極真っ当な結論になってます。(笑)

>> #「手の平サイズ」という隠れ設定が(爆)。

なぁ〜いす。(誘爆)

>> >★神風・愛の劇場 第116話 『忘れていたこと』

>>  両手の塞がった都ちゃんがチャイムを押した方法は、常識的に考えれば肩を使

新体操選手は股関節が自由自在。^^;

>>  ちなみに都ちゃんの服装の描写がありませんが、使い回し用都の私服だとスパ
>> ッツをはいていますので、最悪の事態(違)は避けられているような(笑)。

別に避けなくても良い様な。(爆)

>> 本編でも描かれていた部分なのですが、都ちゃんがまろんちゃんを直に助けよう
>> とするのは、余程まろんちゃんが追い詰められていると感じたからなのか。

いくらなんでも見守る限度って物があるだろうと思うのです。
それを越えてまで何もしないのは見捨てている事と変わらないでしょうから。

>> #ちなみに私はこの展開を見た瞬間、こじれる方のストーリー展開を考えたのは
>> #内緒です(爆)。

# 石崎さんは和気藹々が嫌いと… m・・φ(笑)

>> 去があるのか。ところで町内某所の公園って、やっぱりあの番外編で出て来たあ
>> の公園でしょうか。

その通りでございます。
ツグミさんが風景という形で知っている場所は少ないので。

>> ★神風・愛の劇場 第117話『告白(前編)』

#『超GALS!』を見ている所為で『告白』を『コクる』と読んでしまう今日この頃。

眼鏡ちゃん、入院しちゃったんですか。どうやらノインの言っていた
後始末という奴がコレの様子ですが、単なるアフターケアなのかどうか。
# 海生パパの好みのタイプだったらしい。(笑)

その眼鏡ちゃんの攻撃は意外に効いていた様で、ちょっと寝てた位では治らない
様子。誰かさんと違って、稚空の方は攻撃力は有っても回復力は無いらしい。
最初は怪我の痛みでうなされたのを悪い夢だとごまかしたのかとも思いましたが、
即答している所からすると本当の事みたい。何を見たのやら。
# 眼鏡ちゃんに問い詰められる夢…を見る程繊細な奴だったかなぁ?(爆)

都ちゃんはますます霊感が冴え始めている様で。
また望まない能力を持つ者の悲哀を味わう日も近いのかな。(笑)
# 都ちゃんが胡散臭いと思うのに、まろんちゃんが何にも思わないのも困り物。^^;

一応、都ちゃんは稚空の事を静観する事にしたのですね。
まぁ、男なら責任取りなさいなってな感じでしょうか。

そしてまた放課後の練習をサボってまでして眼鏡ちゃんのお見舞いに行く弥白様。
眼鏡ちゃんは感激した模様。らぶらぶ街道驀進ですね。(ぉぃぉぃ ^^;)

稚空への思いを成就させたいのに、それが稚空の重荷になる事が無いか
何時も気にしている弥白様。思いっきり甘えられない所が少々可哀想。
何故稚空が傍に居てくれるのかも判っている様で。
稚空の気持ちを積極的に利用する事も出来るのに、そうはしない。
そして稚空も弥白様のそんな考えが判るからこそ、精一杯のお願いを
断れないんですね。
しかし接近している様に見えても、今の様な関係はもうすぐ終わるのかも。

>> ●予告編
>> 「僕には、そういうのいません」

# 一人称が「僕」な者(笑)は少数派ですが。


## では、次行きます。


★神風・愛の劇場 第118話 『揺らぎ』

●桃栗学園

都との約束通り、まろんはその日朝から部の練習に出ました。
授業まで含んだ昨日のズル休みに関してはこってり絞られ、更に追加メニューで
散々汗をかかされました。まろんにとっては調度良い気分転換でしたが。
もっとも、その所為で午前中の授業は睡魔との戦いになってしまいました。
やっとの思いで乗り切った授業の後には嘘の様に眠気は去っていて、代わりに
空腹感が押し寄せるのです。都が提案して、屋上での昼食となりました。
途中で都が委員長を引っ掴んで教室に戻ってしまい、まろんと稚空だけが
先に屋上に着きました。穏やかな陽射しが降り注いでいます。
稚空にとっては朝からずっと待っていた瞬間でした。二人だけの時。
まろんの横顔を稚空はじっと見詰めました。その横顔からは何かの
感情を読み取る事は出来ず、ただ自然に空を見ているとしか思えません。
寧ろ問い詰められた方が話しやすかったなと昨日の事を思いだします。
それでも言わない訳にはいきません。聞いてもらわなければ。

「まろん、あのな」
「ん?」

普段の良く知っている彼女らしい反応。しかし、今のまろんが稚空に
そんな風に接してくれる事自体がおかしい事だと思う稚空です。

「言っておきたい事があるんだ」
「別に聞きたい事なんて無いよ」

変な話ではありますが、稚空はそんなまろんの冷たい返事に安心しました。
少なくとも自分の事で気分を害している。何も感じてもらえない様では
いくら何でも悲し過ぎると心配していたのですから。

「弥白の事なんだ」
「倒れたんだってね」
「知ってたか」
「委員長に聞いたの。付きっ切りの看病大変だね、頑張って」

まろんはそう言って飛び切りの笑顔を稚空に見せました。
流石に稚空の背筋に冷たい物が奔り抜けます。しかし、ここで怯む訳には
行きません。

「聞いて欲しい。弥白は今精神的に参っているんだ。放ってはおけない」
「別に私に断らなくてもいいよ」
「いいや、まろんには知っていてもらいたいんだ」
「何で?」
「嘘はつきたくない」
「もう嘘ついたじゃん」

まろんの顔に張り付いていた笑顔が解けて、そして二つの瞳が稚空を捉えます。

「済まなかった。上手く説明する自信が無かったんだ。情けない奴だと
 思ってくれていい。だが、し」
「信じてくれなんて言わないでよ」
「まろん…」
「前にも聞いたよ、何度も、何度も。だから、ちょっとだけ…」

まろんの瞳が空を映して光っていました。

「俺の気持ちはずっと変わらない。本当だ!」
「それも嘘!ずっと守ってくれるって言ったのに、肝心な時に居ないじゃない!」

その剣幕にたじろぐ稚空。しかし、まろんの言葉の意味する所に気付き
すぐに聞き返します。

「何かあったのか?」
「稚空には関係無い」
「そんな事言うなよ」
「関係無いったら」

まろんの両肩を掴む稚空。まろんは顔を背けていました。

「知りたいんだ、まろん。お前を悩ます全ての事を」
「放っておいて」
「出来る訳無いだろう」
「それじゃ、私の代わりに山茶花さんを放っておけるの?」
「な…」

俯いているまろん。何と言うべきか稚空が言葉を探していると、まろんから
先に言葉が発せられました。

「ごめん。私、酷い事言っちゃった。最低だね」

まろんの肩に乗せられたままの稚空の手に温かい雫が落ちました。

「最低は俺の方さ」

稚空がそっと手をまろんの背中に回して抱き寄せます。
しかし、すぐにまろんが稚空の身体を押し退けて半歩退りました。

「山茶花さんの匂いがする」
「うっ」

今度は稚空が慌てて退きました。鼻を近付けて学生服の匂いを嗅ぎます。

「ふふ〜んだ」

まろんが両目を擦りながらも稚空に向けて舌を出していました。

「くそっ、引っかけたな」
「心当たりあったんでしょ?」
「無い!…無いはずだ…多分」

まろんは手にしていたハンカチをポケットに仕舞い込むと
真っ直に稚空に顔を向けます。

「もういいよ」
「いいって…」
「元々、私達って別に恋人同士な訳じゃ無いし」
「おい…」
「あ、勘違いしないで。冷めた事言ってるつもりじゃないの」
「それって」
「判ってるよ。稚空の山茶花さんへの接し方はずっと同じだもんね」
「まろん…」
「私に対してもずっと同じ…かな、多分」
「二人を同じに扱ってるつもりはないぜ」
「どうかなぁ」
「やはり信じられないか?」
「当然でしょ。嘘付いた事は事実だもん」
「ああ」
「でも、ほんと、もういいの」
「…」
「話がしたかった時に居なかったから、勝手に裏切られた様な気になってただけ。
 お互い様だもんね、そういうの」

説明したかった通りに理解されたかどうか、稚空に自信は全くありませんでした。
しかし、少なくともこれ以上拗らせないで済ます事は出来そうな気がします。
安堵したというには程遠い状態でしたが、考える余裕が生まれていました。

「それで、さっきの話だが」
「何?」
「何があった?俺に相談があったんだろ」

まろんは暫く考え込んでいましたが、それでも稚空にここ数日の出来事を
話して聞かせました。どう見ても正気では無いツグミと二度対峙した事を。

「どうしてもっと早く言わないんだ!」
「山茶花さんの家でイチャついてたくせに!」
「…」
「…とにかくそう言う訳だから、稚空の事なんてどうでもいいの。実のところ」

半分は本心で半分は意地悪で言った事でしたが、言ってから少しだけ後悔する
まろんでした。ですが、稚空は逆に発奮した様です。

「次に彼女の所に出かける時は俺も行く」
「えっ?」
「何か手伝えるだろう」
「どうせならアクセスに救けて欲しいなぁ」
「今、留守なんだよあいつ」
「何で?」
「良く判らん。天界に用事が出来たらしいんだが、まだ戻って無いはずだ」
「仕方無いなぁ、代わりに稚空に頼もうかな」
「俺はアクセスの代わりかよ」
「そうよ。純粋に"代わり"だからね」

まろんの顔に笑顔が戻っていました。そんな二人の様子を屋上へ出る扉の
陰から見ていた都と委員長。もっとも、委員長は都に押さえ付けられていて
じたばたもがいているのですが。

「何で行っちゃ駄目なんですか」
「馬鹿ね。こういう時は放っておく物なのよ」
「しかし、モメている様な気が」
「もう済んだわ」
「良く判りますね」
「普通判るでしょ」

何を思ったか、委員長は手を耳に当てています。

「何て言ってるんですかね」
「外野は知らんでいいの」

都は床に押し潰したままの委員長を置き去りにして、まろんと稚空の所へと
忘れた事にしておいた弁当を持って行くのでした。



放課後。帰宅組と部活組が夫々教室を出ていく時刻、連れ立って廊下を
歩いていた都とまろんを稚空が呼び止めました。

「まろんをちょっと借りるぜ」
「あっそ。まろん、遅れるんじゃ無いわよ」
「は〜い」

今日二度目の話し合いの場を昼休みと同じ屋上に選んだ二人。
案の定、放課後の屋上は昼休み以上に人気がありませんでした。

「手短にしてね。最近休み過ぎで立場悪いから早く行かないと」

応える代わりに頷くと、稚空は本題を切り出しました。

「ツグミの事、ずっと考えていたんだけどな」
「…稚空にはあげないからね」
「あのなぁ。そうじゃ無くて、まろんの話からすると妙なんだよ」
「何が?」
「悪魔の所為で性格が変わった連中ってのは誰が相手でも変だっただろう?
 今まで全部?」
「言われてみれば、そうかな…」
「そりゃ判りにくい時もあったが、狂暴になってからは元には戻らない」
「うん」
「だが、都の話では普段通りだったんだってな?」
「そう言ってた。電話口での事だけど」
「つまり暴れる彼女を見ているのは、まろんだけって事だ」
「何よっ!私の勘違いだとでも言いたい訳?」
「そんな事言ってないって。だが、今までの様に正面から向かって行くのは
 逆効果なんじゃないかって思ったのさ」
「……」
「取りあえず話はそれだけだ。昼にも言ったが、行くときは連絡しろよ」
「…うん。でも、いいの?山茶花さんの傍に居るんでしょ?」
「二十四時間付きっ切りって訳じゃ無いぜ、少しぐらいは抜け出せる」
「判った。それじゃ、私行くから」

稚空を残してまろんは部活に向かいました。階段を降りていく途中、今の稚空の
話を思い出していて、まろんの心の中にとても嫌な考えが浮かんでいました。

「ツグミさんが暴れるのって私の所為?」

一度浮かんでしまった考えは何度振り払おうとしても頭の片隅に居座り続けて
いました。部活の練習の間もずっと。そんな訳でしたから演技への集中力は
今一つ。最近のサボりの分も含めて再び居残り追加メニューを言い渡されて
しまいます。結局、終わった頃には日は完全に暮れてしまっていました。
先に上がっていた都が部室で待っているのを見て、まろんは都との約束を
思い出します。

「ほれ、早く着替えなさい」

急かされるままに着替えを済ませるまろん。部室を出て戸締まりを確認した
ところで、まろんは都に言いました。

「何処、行くの?」
「ツグミさんのとこ」

まろんもある程度は予想していましたが、それでも驚きと不安が表情に出て
しまいます。それは都には少し意外な反応でした。一人で会いに行く勇気が
無い…どうやらそんな単純な情況で無い事だけははっきりと判りましたが。

「嫌なの?」
「そうじゃ…ないけど」
「ならいいじゃない。行くわよ」

歩きだそうとしないまろん。黙って見詰める都。そして。

「私、今はツグミさんに会っちゃいけないの。だから」

都は少し考えると溜息をついてから答えました。

「判った。それじゃ、止めましょ」

俯いたまま、まろんは小さく頷きます。

「ごめんね。付き合ってくれるつもりだったんでしょ」
「別に。最近、会ってないなぁって思っただけよ。まろんが行かないって
 言うんなら、またにするわ」
「…」
「それじゃ、帰ろうか」

都はまろんの手を引いて家路へとつくのでした。

(第118話・完)

# 2月10日桃栗町昼の部終り。

●次々回予告編

「寄っていく?」

# 第119話の展開次第では延期あり。(笑)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
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