神風・愛の劇場スレッド 夏のスペシャル版『魔物狩り』(中編)(8/7付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 7 Aug 2000 17:26:23 +0900
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<8mlrol$je8@infonex.infonex.co.jp>

佐々木@横浜市在住です。

# これは「神風怪盗ジャンヌ」のヨタ話から派生した
# サイドストーリー(通称・妄想 ^^;)の記事です。
# お嫌いではない方のみ以下をどうぞ。

尚、これは夏のスペシャル版の中編です。
先に前編 <8mlrol$je8@infonex.infonex.co.jp>を読んでください。


★神風・愛の劇場 夏のスペシャル版 『魔物狩り』(中編)

翌日。桃栗石窟があるという山麓への道を行く一行。
先頭の都から少し遅れている稚空が言います。

「なぁ、お宝がある場所が判ってるなら、
 別に都と組まなくても良かったんじゃねぇか?」

賢者・大和が答えます。

「駄目ですね。桃栗石窟は国王様の直轄遺跡ですから」
「忍び込むんだから関係無いだろ」
「入り口に兵士が張り付いてますよ」
「む…」

賞金稼ぎ・都が振り向いてくちばしをはさみました。

「そういう訳だから私と同行しないと入れないよ」
「げっ(聞こえてたか)」

そんな三人よりも更に後ろを歩いている二人。

「ねぇねぇ、魔術士さぁん」
「…何でしょう?」
「好きな食べ物は何?」
「何でも食べますよ」
「恋人居る?」
「一応、聖職者なんで、そういうのは」
「何で目つぶってるの?」
「見えないんですよ」
「でもでも普通に歩いているよ」
「この宝玉の魔法で周りの様子は判りますから」
「凄いねぇ」
「そうでもありません」
「ところで」
「はい?」
「女の子好き?」
「…」

そんなこんなで、てれてれ歩いていましたから
未だ到着しないうちに日が暮れてしまいました。

「やっぱり馬車かなんか借りてくればよかったねぇ〜」
「魔物の気配の所為で馬が怯えるから駄目なのよ」
「あの…」
「何よ、はっきり言いなさいよ」
「魔物相手に夜はマズイんじゃ」
「石窟の中なんだから何時でも同じよ」

魔術士・ツグミが言います。

「そんな事はありません。彼等も大宇宙のリズムに乗って
 生きていますから、暗闇であっても昼は寝ていますし
 夜は活発になっている事でしょう」
「ふ〜ん、そんなもんかね」
「ツグミさんが言うんだから間違い無いよ」
「何で彼女だけ"さん"が付いてるのよ」
「えっとぉ、それは…」

辺りの木々にさわさわと音が響き始めました。雨です。

「ま、理由はどうでもいいけど。野宿するんだろ?
 あそこにしようぜ。雨露しのげるしさ」

戦士・稚空が指差した先には洞窟がぽっかりと口を開けています。
一同は小走りになりながら洞窟に駆け込みました。

「あ〜ん、濡れちゃったよぅ」
「火熾して乾かさないと駄目ね」
「そ、そうだなっ」
「賛成です」

岩で頭を殴られて気絶した二人を残して、女性陣三人は奥へ入りました。
入り口から数歩入ると真っ暗でしたから、ツグミが出した
光る石を都とまろんは掲げる様にして先へ進みます。
覗かれない様に大事をとって、大分中へと入りました。
そこで服を脱いだまでは良かったのですが。

「考えてみると燃やす物が無いね」
「先に言いなさいよ」
「大丈夫ですよ」

ツグミが何処かから取り出した皮袋の中身をカボチャ程の
大きさの石に振りかけると、その石が見る見る真っ赤になって
ちょろちょろと炎を上げ始めました。

「石を石炭にする術なんですよ」
「便利ねぇ」
「一応、専門家ですから」
「あんた、この仕事の後も私と組まない?
 ツグミだけ居れば後は用無しだわ」
「嫌っ。ツグミさんが行くなら私も行く」
「まろんは要らない」
「…非道ぃ」
「ね、どう?」
「はぁ…」

遠くの方でくしゃみが聞こえています。

「あ、目覚めたみたい」
「放っておけばいいの。男は門番よ」
「でも寒そうですね。あちらにも火を焚いて来ます」
「ちょっと待ちなさい」
「はい?」
「あんた、その格好は駄目でしょう」
「服、着てますけど」
「でもツグミさん、ぼでぇらいん丸見え…」
「あらまぁ」
「いいわ。私が行くから、粉ちょうだい」

都は荷物から出した乾いた服に着替え終えていました。

「あ〜、羨ましい。服の代え持ってるんだ」
「あんた達みたいな貧乏旅行じゃ無いからね」
「ふんだ…」

ツグミから粉を一掴み貰った都が洞窟の入り口まで出てみると
案の定、二人は震えておりました。

「…お、俺達も中に入れてくれ…」
「さむいですぅ」
「駄目よ。これで我慢しなさい」

都は入り口の脇にあった円い石を蹴飛ばして真ん中に寄せると
ツグミから貰った粉を振りかけました。赤々と燃え出す円い石。

「…ふぅ、助かったぜ」
「これも魔術士さんの技ですか」
「そうよ」
「じゃ、見張り番頼むわね」
「へいへい」

都は女の園へと帰って行きました。残された男ども。

「ところで」
「何だよ」
「この石なんですけど」
「ん?」
「何だかガイコツに似てませんか?」
「そうだな、ドクロそっくりだな」
「良く見ると、沢山ありますね」
「…」
「…」



二人っきりで待っているツグミとまろん。
火にあたりながら、ちらちらとツグミに視線を走らせるまろんでした。

「何ですか?」
「えっ、あの、え〜とね、全部脱がないと乾かないよ」
「そういう剣士さんも下は脱いでませんね」
「やっぱ最後の砦だし」
「私もこの下は無いんですよ」
「え、そうなの」
「変な服でしょう」

ツグミの着ているのは服の上下をつないでしまった様な
不思議な服装でした。半袖、膝丈の裾。魔術士の正装なのだそうです。

「じゃぁさぁ、一緒に脱いでさぁ、それでね」
「はい?」
「背中が寒いから抱っこしよう〜」
「はぁ、まぁ女性同士ですから構わないでしょうね」
「そうそう。大丈夫大丈夫。子供出来ないから」
「は?」

と、その時足音が近づいてきます。

「ちっ!都、戻ってきちゃった」
「でもね、剣士さん」
「何?」
「足音、奥から来てますけど」
「嘘…」

まろんが立ち上がって振り向くと、焚火に照らされて
青黒い巨大な影がそこに立っていました。

きゃ〜〜〜〜〜っ

(後編に続く)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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