ハートのA ある喫茶店で

モテゝ モテゝ コマル
 おっ、こりゃいゝてんで全員即決

MMC(マジック・マニアズ・サークル)と云う会が生まれた。1959年。国際的に有名な高木重朗氏(1930〜1991)を会長とした和気アイアイ家族ダンランの会で、氏亡くなってもその遺風は今でも続いている。

高木さん(以后、氏をこう呼ばして貰う)は師であり兄であり友であって、プロアマを問わずその名前を知らないものは奇術界ではモグリだと私は思っている。

「アレッ ドウシテ ドウシテ タネ明カシシテ シテ」
「ショウガナイナア、モッタイナイケド、君ダケダヨ、ホーラネ」
「ナーンダ ソーナノカー、フーン」
と馬鹿にされた様な気になり演者は悪いことをしたような気になりこの対話は終り、この奇術も終りとなる。

私は余りにも哀しくて一文。

 高木さんは種明かしをしてもいゝとも、してはいけない(サーストン)とも云わなかった。高木さんは新しい奇術を見せてくれたあと「この種あかしは次の会の時にと云うと、みんなが今晩眠れないといけない」と(ニヤッと笑い乍ら)種明かしをしてしまう。 会員はそれぞれその奇術の好き嫌いがあって、好きな人は熱心に練習を始め、気が向かない会員は適当にやっている。一見テンデンバラバラの会でした。高木さんはこの間一言だけチョコッとコツを云う。本当に熱心に練習している一人だけへの指示かも知れない。 誰へとも云わない、絶対に強制しない。

私は云う。
 奇術とは 不思議でないものを、不思議に見せる 個性ある対話である。だから、この対話はいつまでも・・・。

(文責、せい一)
(参考資料「高木さんの想い出」)


ハートの2 ある発表会の客席で

HAのHP