5章 恋の季節
   6 お年頃

 他の動物にも似たような傾向は見られると思いますが、コウモリは出生後一年間の死亡率が非常に高く、移動分散によるものも含めた消失率は、30−60%にもなります。幼獣の死亡率は哺育場所から採餌場や冬眠場所までの距離と関係があるという説もありますし、冬眠前の脂肪蓄積が不十分だと死亡率が高まるようです。やはり生まれた年の秋から冬をうまく乗り切れるかどうかが生存のポイントなのでしょう。ちなみにアブラコウモリのメスは、離乳から出生後1年までの消失率が18−29%と著しく低いですが、幼獣メスが生まれたねぐらに対する定着性が強く、また冬の厳しい環境への耐性が強いからだと言われています。
 オコウモリも小コウモリも、一般的には性成熟は1−2年ですが、アブラコウモリやヤマコウモリは生まれた年の秋には性成熟に達しているようです。早熟なんですね。

 うまく一年目を乗り越えられれば、その後の年生存率は、寿命近くなるまで70−80%で安定しています。一般的には小コウモリの寿命は7−8年ですが、アブラコウモリは短命な方で、メスは3歳を過ぎると死亡率が上昇しますので既に老齢期なのでしょう。つまり、アブラコウモリは、平均的な小コウモリよりも、早熟で短命で比較的産仔数が多いという特徴があります。
 
 ところで標識再捕による生存記録では、ストローオオコウモリが21.8年、キクガシラコウモリが26年、トビイロホオヒゲコウモリでは何と30年で、同じくらいのサイズの他の哺乳類と比べて、はるかに長命です。特に小型の食虫コウモリが非常に長寿ですが、これはやはりトーパーが関係しているのでしょうね。

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