4章 冬眠不覚暁 
   8 雪洞ビバーク

  どんな場所が冬眠に向いているのでしょうか。
 あまり暖かいと、頻繁にトーパーから目覚めてしまい、かえってエネルギーを消耗します。しかしあまり気温が低すぎても、トーパーというのはあくまで低い温度に体温を「保つ」のですから、エネルギーを使って体温が下がりすぎないようにしなければなりません。従って寒すぎず暖かすぎずということで、種によって異なるのですが
、だいたい冬の厳しいときでも2−10℃の洞窟がいいようです。
 冬眠中も時々覚醒してコウモリは水を飲むという話を4-5に書きましたが、あまり頻繁にのどが渇かないように、湿気が高いことも必要条件です。冬眠中のコウモリの写真を見ると、凝集した水滴が毛皮にたくさんついてきらきら銀色に光っていることがあるくらいです。集団で冬眠するのは体から蒸発する水分を減らすためだという説もあります。
 一般的にコウモリの冬眠というと洞窟を連想しますが、木にぶら下がって冬眠することもあるようです。落ち葉の中に埋まって冬眠するものも、地面に穴を掘って冬眠するものもいます。日本ではコテングコウモリが雪の中に埋まって冬眠しているのが見つかったこともあります。ビバークですね。植村さんの真似かな。

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