アブラコウモリは都会のど真ん中でも見られる貴重な野生生物です。優しく見守ってもらいたいのですが、たくさん住み着くと臭ったりして大変かもしれませんね。どうしてもおひきとり願いたいときには
・最初に行うべき事は、出口の特定である。夕方に建物の周りで見ていれば分かることが多い。また、壁に引っ掻き傷があるのや糞が落ちているなど で予め候補地を挙げることができる。
・出口を塞ぐのは、まだ飛べない幼獣がいる時期(本州中部で6月〜8月)に行うべきではない。閉じこめてしまうと、殺してしまうことになりかねず、結果的にその死体が臭気や衛生害虫の発生源になる恐れがある。
・出産・育児期を避けて、入り口に出ることができるが入れない構造を作る事が、コウモリを殺すことなくお引き取り願える共存策である。 安価容易に入手できる材料として、網戸に使われる網を利用することがで きる。特定した出巣場所の上に網をテープ等で固定して上から垂らすと出ることはできても入れない一方通行にすることが可能である。
・時期は、春の活動開始間もない頃及び、秋になってから冬眠のため活動が活発でなくなるまでの間である。あらかじめすんでいるコウモリの数を調べておき、全てが日没後に飛び出すのを確認してからふさぐ。
・コウモリが人間に見つかる場合、出口がわからない幼獣である場合が多いが、出口さえ分かりやすければ自主的に脱出する事が多い。
・追い出そうとしたとき、コウモリから噛みついてくることはまずないが、手で捕まえようとするとさすがに噛むことがある。
・出口と思われる隙間に釘を打って布を詰めたり、ガムテープで目止めを行うことが効果的である。
他の方法について
★超音波発生器 コウモリと言えば超音波であるが、効果があるという報告例は極めて少な い(アメリカでは信頼できるコウモリの専門家によって効果がないと判定されている)。人体への影響についてもよく分かっていない上、逆にコウモリを呼び寄せる可能性もある。
★薬品 ナフタレンは虫よけと言われているが、効果が薄い割に頻繁に交換する必要がある。これは需要創出しているだけであり、単に殺虫剤メーカーの商 売にハマっているだけである。ナフタレンは昆虫用であり、哺乳類に作用する忌避薬品はあまり知られていない。人家に住み着いたコウモリを化学的に駆除するのに効果的な薬品があるとすれば、このように効果の薄いも のを頻繁に使用する必要があるだろうし、効果のあるものを屋内で使用す るということは我々人間もまた哺乳類であることを思い出さねばならない だろう。現在の日本の法律では、そのような薬品を環境中に放出すること が適法であるかは調べる必要がある。おそらく不可能であろう。