発掘! 読書記録 1992年その2





文庫版・新版 『指輪物語』

☆文庫版・新版 『指輪物語』 全9巻 (定価各650円)
 J.R.R.トールキン著 瀬田貞二/田中明子訳 評論社
   第1部 「旅の仲間」 上1・上2・下1・下2
   第2部 「二つの塔」 上1・上2・下
   第3部 「王の帰還」 上・下

皆様ご存じのことと思いますが、今年はトールキンの生誕100年に当たります。
そこで、かの名作『指輪物語』も、固有名詞などを見直し、一部しか訳されていなかっ
た追補篇の完訳を付け加えて、「新版」として刊行されました。

そして、ついにこの7月には、文庫版の『指輪物語』も、真紅にトールキンマークの
ついた表紙に、アラン・リーのイラストのついた白地に金文字の美しいカバーという
これ以上は望めないくらいの素晴らしい装丁で刊行されました!!
あああ、評論社って偉い!!!

私は少し前に全巻読み終えて(読み直してというべきか)、しばらく頭が「中つ国」へ
いっておりました。やっぱり名作ですねぇ……。シミジミ……。

訳が大幅に変更されるということもなく、活字が大きくなったおかげで旧文庫版に
比べて格段に読みやすくなっています。変更があったのは、主に固有名詞の地名部分で
して主なものとしては「粥村」(これは明らかに誤訳だった)が「ブリー村」に、
「イセンガルド」が「アイゼンガルド」に、「ロリエン」が「ロリアン」に変わって
います。個人的趣味としては、「ロリエン」の方が好きなんですどね。
作者自身の肉声テープの音にあわせたそうですが、人名は旧版のまま変えなかった
ところは、さすがですね。「アラゴルン」は、「アラゴーン」の方が近いそうですが、
映画版『指輪物語』の「アラゴン」という訳に腹を立てたファンとしては、
慣れ親しんだ名前を変えないという、この配慮がとてもうれしいです。

さて、ここまで読んで何のことやらわからなかった『指輪物語』を読んでいない貴方、
貴方は幸せです。だって「これから」この本を読むことが出来るんですから。
何度読んでも面白い本だけど、やっぱり最初の出会いは格別ですもん。
それにこの本ははたち過ぎた人の方がふさわしいと思いますし。(私は、中学3年で
出会って、高校3年で全部読み終わりましたが、ちょっとしんどかった。)


『指輪物語』というのは、『ホビットの冒険』(トールキン作 瀬田貞二訳 岩波少年
文庫)という本の一応の続編に当たりますんで、先にそちらのあらすじを話しますと、

昔むかし、穴の中にひとりのホビット(まあ、小人です)が住んでおりました。
ある日彼のところに、12人のドワーフ(小人の種族です)と魔法使いガンダルフが
やってきまして、このホビットのビルボ・バキンズは不本意ながら冒険の旅に出ること
になったのでした。・・・そして、ゴブリンやら竜やらエルフやらの出てくる大冒険の
末に、めでたく彼は宝を持って我が家に帰ることができました。

と、いうものでして、雰囲気は完全に子供向けの昔話です。

さて、この冒険の途中、ビルボは黄金の指輪を手に入れるのですが、この指輪が、
続編『指輪物語』の最重要アイテム(笑)となる「指輪」です。
この指輪が、実は、とんでもなく恐ろしい代物であることが判明し、
ビルボの甥のフロド・バキンズというホビットが、仲間を連れて、敵地にある火山に
この指輪を捨てにいく(それ以外にこの指輪を壊す手段がないのです)というのが、
『指輪物語』であります。もっとも、最初に出発したときは9人なんですが、
途中で何組にも別れてしまって、それぞれの行動が平行して語られることになるん
ですが...。

『ホビットの冒険』と違って、こちらは叙事詩です。完全に大人向けです。
雰囲気も暗いです。(^_^;)
(訳者の瀬田定貞二さんは、地の文を「です・ます」調で訳しておいでですが、
 叙事詩的な雰囲気を伝えるには文体の選択を誤ったんじゃないかな〜と、いう気も
 しないではないです。最初のホビット村の描写などでは気にならないんですが、
 戦争シーンになるとちょっと違和感を感じますね。)
でもって、長いです。ハードカバーは、3部作が上下に分かれた全6冊+追補篇1冊
文庫版では、なんと全9巻(平均280頁)になります。
でも、ハマってしまうと、あっという間です。作者自身がいう通り、短すぎるのが
欠点なくらい。

でも、これから読み始める人には、ちょっととっつきにくい長さかもしれませんね。
困ったことに『指輪物語』は、第1部「旅の仲間」の下巻にならないと、
物語がドラマチックに展開しないんですよね〜。「裂け谷」までたどりつけば、
あとは波乱バンジョーで飽きる暇もないんですが、そこにまでが、長い!
文庫で1冊読み終わっても、まだ主人公がホビットの村から出ないんですから。(^_^;)
とりあえず一冊だけ読んでみようと思った人が、これで退屈しないかと心配です。
お願い、そこで投げないでね。(^_^;) 「旅の仲間」下1まで読んでくださいませ。

『指輪物語』の最初の巻は、ホビットとホビットの村についての説明をした序章から
始まります。はっきりいって初めて読む人には退屈です。(^_^)
とりあえず飛ばしちゃってもかまいません。
でも、全巻読み終えたら戻ってみてください。非常に興味深く読めることと思います。

本篇は、『ホビットの冒険』の主人公のビルボ・バキンズの誕生祝いから始まります。
第1章はそれだけ。たいした事件も起こりません。(笑)
第2章になってようやく、魔法使いのガンダルフが、かの「指輪」の正体をフロド・
バキンズ(これが、いちおうの主人公)に話します。で、この主人公がようやく旅に
出ようと思い始めるんですが、本格的に旅に出ないうちに文庫の1冊目が終わります。
(なんというスローペース!)

初めて読む人にとっては、このホビット村の描写は「平和すぎて退屈」で、不必要な
ものに思えるかもしれません。でも、『指輪物語』を全巻読み終えた時には、この
退屈すぎるほどのホビット庄の描写が、どれほど大切なものであったかがわかるはず
です。(いくつかの重要な伏線もふくまれていますしね。)
だから、どんなに退屈に見えても、すっ飛ばしてはイケマセン。(^_^)

まあ、ともかく、「旅の仲間」の下巻で主人公のフロドは、「裂け谷のエルフの館」に
たどりつき、そこで彼の本当の使命を知り、仲間をぞろぞろ連れて出発します。
が、その仲間も「二つの塔」上巻の始めのほうで、バラバラになってしまいまして、
以後、フロドとその従者サムと、その他の仲間の行動が別々に描写されます。
「二つの塔」下巻は、フロドの一行、上巻はその他の一行の行動が描かれています。

フロドの方は敵地を地道にじりじりと進んでいきまして、その他の連中は、オークやら
王様やらお姫様やらエント(木によく似た巨人です)やらに会って、追跡やら戦争やら
結構派手に立ち回ります。
(ここで、享楽的で平和主義に見えたホビットという種族の底力も発揮されて、読者を
 驚嘆させます。いや、本当にホビット君達は凄い。)
旅の目的は一応果たされますが、その後にもちょっとしたエピソードが続きます。

ラストは...手放しのハッピーエンドではないですね。ちょっと寂しい。
その寂しさを癒すために、1巻目の序章と「追補篇」というのが存在するのです。
これで、お気に入りの登場人物達のその後を確認しましょう。
(メリーは結局結婚しなかったんですかね?)

と、いうわけで、どうぞ貴方も「中つ国」へおいでませませ、という話でした。

(92-08-23 18:29:35)





新版『指輪物語』追補編

『指輪物語 追補編』の詳細です。

目次は、以下のようになっています。
  ===================================
 A 王たち、統治者たちの年代記
   I   ヌメノールの王たち
   II  エオル王家
   III ドゥリンの一族
 B 代々の物語(西方諸国年代記)
 C ホビット家系表
 D ホビット庄暦(永年使用)
 E 書き方、綴り方
   I    単語および固有名詞の発音
   II   書記法
 F
   I  第三紀の諸言語と諸種族
   II 翻訳について

 著者ことわりがき
 新版あとがき
 固有名詞便覧
 ===================================

AからCまでは、旧版の『指輪物語』の「6 王の帰還 下」の巻末に載っているのと
ほぼ同内容です。

Aは、いわば『シルマリリオン』の要約とてもいうべきもので、『指輪物語』の時代
以前の王たちの記録です。歴史的記述なので、よっぽど『指輪物語』にのめりこんで
いる人とか、そういうのが好きな人でないとあまり面白くないと思います。
ただ、「I ヌメノールの王たち」の項の最後にアラゴルンとアルウェン姫の恋物語の
顛末が語られていて、これはお薦め。(旧版を持っている人には必要ないですケド。)

Bは、年表で、Cは、ホビット家の家系図です。
これらの資料から『指輪物語』の登場人物たちのその後を知ることができます。

Dは、暦ですが、言語学者のトールキンらしく、月の名前や曜日の名前などの考察が
ずらずらと並んでいます。

Eの「書き方、綴り方」これが、新版の目玉商品です。子音、母音の発音方法やら
「フェアノール文字」と「ルーン文字」の書き方などが載っています。
ちなみに「フェアノール文字」は、例の指輪の火文字の書体、「ルーン文字」は、
モリアの入り口の扉に描かれていた書体です。どちらの文字も音声学的に作られていて
言語学が好きな人にはたまらく魅力的(らしい)です。
(なんせこれのために原書を買う人だっていたんですから。)

Fの「II 翻訳について」は、面白かったです。『指輪物語』では、いくつかの名前や
地名が日本語になっている場合があって(たとえば「足高家」「袋小路屋敷」
「山の下」氏、「鳴神川」等)、それがずっと不思議だったのですが、その理由が
ここで判明しました。
つまり、『指輪物語』は、ホビット庄で書かれた物語をトールキンが現代英語に訳して
その際にいくつかの固有名詞も英語に直したという体裁をとっていて、
それを日本語に訳すときに、その現代英語の固有名詞を日本語に直した、ということ
だったのです。

以上でお判りのとおり、『追補編』は、マニア向けです。別になくても済むんですが、
有っても悪くはないと思います。言語学に興味のある方なら特に。
固有名詞便覧なんてのも結構面白いですし。

お値段は、1900円、ちょっと高いです。

(92-08-30 12:24:26)





『ドラゴンランス戦記』

え〜、オタクの間では有名なRPG小説『ドラゴンランス戦記』の続編
『ドラゴンランス伝説』が、めでたく完結しました。
私はこの本のファンなもので、皆様にご紹介しにまいりました。

とはいえ、『戦記』が文庫で全6巻、『伝説』も文庫で全6巻、ひとくちにあらすじを
説明するのも楽じゃないんですが、手身近にいえば『戦記』の方は、
悪の女王が目覚めて、悪いドラゴン人が暴れ回るので、戦士やら騎士やら魔法使い
やら僧侶やらドワーフやら小人やらが一緒になって、善の神様と善いドラゴンを
起こして世界を平和にする話です。(相変わらずミもフタもない説明だ。)
ドラゴンランスってのは、作中に出てくる対ドラゴン用の槍なんですが、タイトルに
なっているワリにはあんまり効力のない武器です。(笑)
『伝説』の方は、『戦記』に出てきた双子、レイストリンとキャラモンを主人公に
した続編です。

「RPG小説」と呼ぶわけは、この小説がテーブルトークRPG(コンピュータゲーム
じゃなく、プレイヤーたちが面と向かってゲームをするロールプレイングゲームのこと
をこう呼ぶ)のルールを元にしているからです。
別にゲームのことを知らなくても問題はありませんが、元がRPGだけあって、
キャラクターの描き分けと描き込みがお見事です。
話の構成もしっかりしているし、コメディリリーフも効いていて、安心して読めます。
まあ、ちょいとアメリカン・コミックしてる感じもありますけど。
文体と登場人物さえ気にいれば、読み始めたら6巻なんてあっという間ですよ〜。

私のお気に入りのキャラは、根暗の魔法使いレイストリン、
種族全員が盗人という「歩く迷惑」タッスルホフ、
めまいのするほどの石頭の騎士スターム、がみがみおじいちゃんドワーフのフリント。
そして、一番のお気に入りは、酔いどれオオボケ老魔法使いのフィズバンです。
(まさかあのおじいちゃんが、****だったなんてねぇ。)

☆『ドラゴンランス戦記』全6巻 マーガレット・ワイス/トレイシー・ヒックマン著
                富士見ドラゴンノベルズ(文庫判)

 (1)廃都の黒竜   (4)尖塔の青竜
 (2)城砦の赤竜   (5)聖域の銀竜
 (3)氷壁の白竜   (6)天空の金竜

☆『ドラゴンランス伝説』全6巻 マーガレット・ワイス/トレイシー・ヒックマン著
                富士見ドラゴンノベルズ(文庫判)

 (1)パラダインの聖女  (4)レオルクスの英雄
 (2)イスタルの神官王  (5)黒薔薇の騎士
 (3)黒ローブの老魔術師 (6)奈落の双子

(92-08-23 18:29:14)





1992年個人的ベスト10

えー、早いもので今年もあと数日となりました。年末の大掃除の一環で蔵書整理なんぞ
いたしまして、ついでに恒例(CNJではまだ1回しかやってないけど。)個人的
ベスト10なども決めました。
私の場合、「10大ニュース」の代わりに「今年の10冊」があるんですね。
もっとも今年は、5位以下が11冊になってしまったので、ベスト10じゃなくて
ベスト15ですが。

今年読んだ本約180冊(漫画・雑誌は除く、もっともそのうちの3分の1はコバルト文庫
やスニーカー文庫といっていわゆる「少年少女ノベル」だったりしますが ^_^;)、
その中から「私が夢中になった本・面白かった本」を選んでおりますので、
出版年が92年でないものも含まれています。

さて、それでは私のベスト15、いきます。

1。『8(エイト)』上下 キャサリン・ネヴィル 文芸春秋社

2。『カオス』  ジェイムズ・グリック 新潮文庫
 カオスブームを巻き起こした名著。知的スリルに満ちあふれた科学入門書で
 その面白さは、あの『カッコーはコンピュータに卵を産む』に匹敵する!?
 『ASCII』1991年7月号によれば、IBMマシン用にこの本を元にしたソフト
 も出ているとか。デモを見てみたいですね〜。

3。『エイリアン刑事』 大原まり子 朝日ソノラマ
 この本がきっかけで、私はツイン・ピークスの世界に足を突っ込む羽目に
 なったのでした。
 つい最近、続編も出ましたが、それよりもこっちの方が断然面白いです。

4。TEHANU URSULA Le GUIN   (PUFFIN BOOKSから出てます)
 洋書です。ゲド戦記の4冊目です。他の3冊同様、岩波から翻訳が出るはずですが、
 なかなか出ない。友人がペーパバックで出てるよ、と教えてくれたので、本屋に走り
 ました。今、2回目を読んでます。
 ゲド戦記3冊目の『さいはての島へ』の続編です。しかも、なんと!、シリーズ初の
 ラブストーリー!!!! 凄いぞーーー、面白いぞーーー。

○『話す神』 トニイ・ヒラーマン 早川ミステリアス・プレス文庫
 ナヴァホ・インディアンの警察官のでてくるミステリ。

○『六の宮の姫君』 北村薫
 覆面作家による連作シリーズの3作目。(でも、私はこれが初めてだった。)
 女子大生と落語家のコンピによるシリーズらしいんですが、この本では、女子大生
 (作中には名前が出てこない。)が中心。
 卒論にからんだ芥川の『六の宮の姫君』の謎を調べるうちに、当時の文壇の人間関係
 が浮かびあがるという、安楽いす探偵物の文芸版です。
 本屋や図書館が好きな人には堪えられない作品で、作中にでてきた作品を読んでみた
 くなること受けあい。私も思わず、芥川の作品集を探してしまいました。
 これで、私が日本文学史に詳しければもっと面白かったでしょう。
 ちょっと昔風の女学生(実に勤勉)といった感じの主人公が好きです。

○『氷の中の処女』 エリス・ピーターズ 社会思想社現代教養文庫
 修道士カドフェルシリーズの1冊。
 このシリーズは、このあと『聖域の雀』『悪魔の見習い修道士』と好調に続いて、
 現在8冊でています。

○『大聖堂』上中下 ケン・フォレット  新潮文庫
 12世紀のイングランドの内乱を背景に、壮麗なる大聖堂の建設をめぐって
 親子2代の建築職人、修道士、貴族の姉弟などなどが織りなす波乱万丈の大河小説。
 全3巻180ページありますが、善玉悪玉がはっきりしていて、最後はちゃんと丸く
 治まりますので、安心して読んでください。
 私のひいきは、修道士フィリップさん。ちなみにこの人に感情移入して読むのが、
 一番ストレスのたまらない読み方かと。なんせ善玉は途中やたらといじめられます
 ので、下手な人に感情移入すると読みながらストレスたまります。

○『歴史の長い影』 堀田善衛 ちくま文庫
 コバルト文庫だけじゃなくて、こういうのも読みます。堀田善衛氏の随筆は結構読ん
 でいる気がします。内容がどうというより、この人の文体が性に合うんでしょうね。

○『ヨーロッパ中世の世界観』 阿部謹也  講談社学術文庫
 かの、わくわくするような名著『ハーメルンの笛吹き男』(ちくま文庫)の元に
 なった論文を収録しています。これはこれでまた面白いです。
 ヨーロッパ中世に関する「学術論文」をこれだけ面白く読ませるっていうのは、
 ほんと凄いですね。

○『漱石とアーサー王傳説』 江藤淳  講談社学術文庫
 夏目漱石がいかに英国世紀末芸術に影響されていたかの比較文学的研究。
 学術論文なので、多少読みにくいですが、アーサー王伝説あるいは世紀末芸術に
 興味のある方はぜひ御一読を。面白いですよ〜。

○『幽霊屋敷のコトン』 井辻朱美  講談社X文庫
 こういうのがさり気なく入っているから、少女ノベルはあなどれない。
 この人は実は、ロード・ダンセイニやジョージ・マクドナルドの直系の子孫なの
 ですね。少女ノベルの体裁は取っているが、中身は結構手強いです。
 井辻朱美さんの作品については、いずれ詳しく書きたいと思います。

○『重力への挑戦』 ハル・クレメント 創元SF文庫 1965
 1965年の翻訳ですが、今読んでも面白い。
 地球の700倍の重力の惑星メスクリンに落ちてしまった地球のロケットを拾いに、
 ゲジゲジ虫の様な形態のメスクリン人たちが、えっちらおっちら旅をする物語。
 主人公は地球人じゃなくてこのゲジゲジ虫の方なんですが、彼らが実にけなげで、
 カッコ良くって、魅力的です。

○『魔法使いになる方法2』 ダイアン・デュアン 富士見文庫
 これも少年少女ノベルをあなどってはいけないという実例。

○『吟遊詩人トーマス』 エレン・カシュナー 早川FT文庫
 伝承歌謡に登場する<まことのトーマス>と呼ばれる吟遊詩人の生涯を、
 4人の登場人物の視点で語った物語。1991年の世界幻想文学賞授賞作品。
 「幻想文学」です。活劇ではありませんので、腐る程出ている「今風異世界ヒロイッ
 クファンタジー」なんぞを期待すると当てがはずれます。
 民話・伝説が好きな人向き。

(92-12-27 16:29:00)

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有里 (alisato@geocities.co.jp)
http://www.geocities.co.jp/bookend-ohgai/3941/

更新日:2001/04/08