発掘! 読書記録 1991年 その2
- クーンツ『ストレンジャーズ』 (91-11-30)
- 筒井康隆『残像に口紅を』 (91-11-30)
- 井辻朱美『地球追放』 (91-11-30)
- 菊池秀行『グッバイ万智子』 (91-11-30)
- 波多野 鷹『都市に降る雪』 (91-11-30)
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クーンツ『ストレンジャーズ』 |
★『ストレンジャーズ』上下 ディーン・R・クーンツ 文春文庫 1991年8月発行 夢遊病に悩まされる、作家、得体の知れない恐怖に怯える女医や少女。 「彼らにその記憶はないが、一年前の夏、彼らはあるものを"見て"しまったのだ。」 「引き寄せられるように、かれらはトランキリティ・モーテルへと向かう。」 という、サスペンスホラー。何が起こるのか!?と、ハラハラドキドキさせながら 合わせて厚さ4.5センチの文庫本2冊を一気に読ませます。 前半かなり怖いですが、後半になると「友情」やら「家族愛」やらが 出てきて、(それまで十分怖がらされていたもので)なにやらホッとします。 クーンツは、ステーィヴン・キングよりは恐くないし、ラストも暗くないものが 多くので、好きなんですよね。子供の使い方や、登場人物の性格描写も巧いし。 クーンツでは、同じく文春文庫から出ている「ライトニング」も、お薦め! 美少女が危機に陥るたびに救いの手を差し述べる、雷鳴と共にやってくる男は 何者か?というお話。 寝る前に読み始めて、読んでいるうちにのめりこみ、 気がついたら夜中の2時にベッドの上に正座してして読んでいた (寝っころがって読む本じゃないです) という、シロモノです。 「カエルのエピソード」が笑えます。 あ、「ライトニング」は、登場人物表を読むとネタばれしてしまうので、 読まないようにね。 (91-11-30 12:05:43) |
筒井康隆『残像に口紅を』 |
★『残像に口紅を』 筒井康隆 中央公論社 1989年4月発行 REE、ぜま両氏のお薦め本ですね。ほうぼう探してやっと見つけました。 この本、なんと後半部分が袋とじになっておりましていて、封を切らずに出版社に 持っていけば、代金を返してくれるそうですが、もちろんしっかり最後まで読んで しまいました。 世界から、ひらがなの音がひとつづつ消え、その音をもつ言葉と、その言葉の差し 示すモノまでもが消えていく話です。こう書いてしまうと簡単なようですが、 実際にやってみるのというは、とんでもないことなのですね。どんどん語彙が 狭められていくなかで、自分の文体を保ちつつ、「小説」を書いていかなきゃ ならないんだから。 しかし、そのオソロシイことを成功させてしまっているんですねぇ。 第3部に至っては、世界から言葉が3分の2消えてしまって、カウントダウンの 状態といってもいいのだけれど、それでも「小説」は続く。わずか11個の音で とんでもないことをやってくれるし、かの「がん。がん。がん。」は、確かに 涙が出るほど感動的です。(これは、読まないとわかりません。) すごいですよ~。 (91-11-30 12:05:43) |
井辻朱美『地球追放』 |
★『地球追放』 井辻朱美 沖積舎 1990年3月発行 短歌集です。作者は、ファンタジーの翻訳でお馴染みの井辻朱美さん。 まあ、正確には、詩人で歌人の井辻さんが翻訳をやっているわけですが。 さて、短歌がなんでSFのボードに出てくるのかといいますと、 短歌がSFしちゃっているからなのですね。 短歌を引用していいかどうかわからないので、目次からいくつか題を拾ってみます。 「暗黒星雲」・「地球年代記」・「シャンブロウ」・「立体都市」・「月光都市」 「春の方舟」・「黄金の髪の海賊」・「妖精王」 どうです? 私なんぞは、題を見ただけで快感で背中がゾクゾクします。 「シャンブロウ」は、もちろんあのC.L.ムーアの「シャンブロウ」のこと。 砂の惑星や「地球の緑の丘」のことを詠んだ歌もあります。 書名の「地球追放」は、中井英夫氏の詩からだそうで、中井氏のファンである私は どうりで波長があうわけだ~と、納得していまいました。 (91-11-30 12:06:03) |
菊池秀行『グッバイ万智子』 |
★『グッバイ万智子』 菊池秀行 (イラスト/北原文野) 集英社スーパーファンタジー文庫 1991年11月 「乗っていかない?」ある夏の日、風来坊の少年に声をかけたのは、万智子と 名乗る娘。こうして二人の旅は始まる。二人は、それぞれ別の何者かに追われて いたが、その「敵」の攻撃も万智子を守る不思議な力の前には無力だった。 と、いうようなお話であります。 菊池秀行の作品ではありますが、ヒジョーにさわやかでリリカル(^_^;)な 雰囲気であります。(いや、菊池秀行は、元々こういう雰囲気なのかな?) ラストがね、いいですよ~。 ぜひぜひ続編が読みたいですね。 (91-11-30 12:06:03) |
波多野 鷹『都市に降る雪』 |
★「都市に降る雪」 波多野 鷹 ハヤカワ文庫ハィ!ブックス 1991年11月発行 内容は結構アブナイ。雰囲気が一番近いのは、大原まりこの「未来視たち」、 菊池秀行+あしべゆうほの「ダークサイドブルース」あたりでしょうか。 勧善懲悪が好きで、登場人物に感情移入して読む人には、 結構フラストレーションがたまるかもしれません。(アタシャ、タマッタ ^_^;) まあ、誰に感情移入するかによりますけどねぇ。 この本の献辞にいわく 「イマジネイションの源泉となった『ドリーマー』 『スターレッド』 『パトロールシリーズ』他、たくさんの作品とその作者に感謝を。」 これで、ニヤリとした人は、読んでみるのも一興かと。どのシーンがどの作品に つながっているか、考えながら読むのも面白いです。 (91-11-30 12:06:03) |