発掘! 読書記録 1991年 その1
- ディロン『ハッカー連続殺人事件』(91-08-24)
- マキャフリィ『竜の貴婦人』 (91-08-24)
- マキャフリィ ”Nerilka's Story”(91-10-20)
- マカヴォイとマッキンタイア (91-10-20)
- 『ミステリ・ハンドブック』 (91-11-30)
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ディロン『ハッカー連続殺人事件』 |
☆『ハッカー連続殺人事件』 ウォルター・ディロン 堀内静子訳 <ミステリアス・プレス文庫39> 早川書房 本の背表紙のあおり文句いわく 「”少し話しませんか”−−突然コンピュータ画面に現れる謎のメッセージ。 それは殺人者の罠だった。パソコン通信で若い独身女性にアクセスし、次々と殺人を 重ねながらまるで証拠を残さない犯人の正体とは?」 パソコン通信している独身女性としては、ちょっと読むのが恐い本でありましたが、 好奇心には勝てず、つい手に取ってしましました。 これで内容が、犯人が捕まらないホラー物だったりしたら、今頃は恐くてこんなこと 書いていられないところですが、ありがたいことに(!)ちゃんと探偵がでてくる 普通の推理小説(サスペンスに分類されるのかもしれない)でありましたので、 私も安心してパソコン通信を続けられるわけです。(笑) 事件は上に書いたとおり、パソコン通信をしている女性をチャットに誘って 油断させ……というものであります。始めのうちは、犯人の行動と警察の行動が交互に 出てくるので、これは犯人の側に焦点をおいた犯罪小説かしらと、思ったのですが、 途中から退職刑事ハニガン(この人が探偵役です)が、孫のハッカー少年を使って 犯人を探そうとするあたりから、犯人探しが中心の話になります。 そして最後1/3のサスペンスっていったら、なかなかのもんです。 本当にノンストップサスペンス!! 面白いですよ。 でもこの小説の一番印象に残ったのは、退職刑事ハニガンが、亡き妻を思いながら 部屋の中でひとりでタンゴを踊って泣くシーンなんです。 (91-08-24 21:41:09) |
マキャフリィ『竜の貴婦人』 |
アン・マキャフリィの『竜の貴婦人』をやっと読み終えました。 読み始めたら一気に読んでしまうんですが(なんせアン・マキャフリィは 別名「一気読みのマキャフリィ」という)、なかなか手が出せなかったのもので。 この本の原題は”MORETA”、パーンシリーズでは有名なあの「モレタの飛翔」 のバラードのモレタが主人公の物語というわけです。 実のところ私がこの本を手にとるのを躊躇していたのは、このヒロインにあります。 レサやメノリぐらいの気の強さだったらいいけれど、キラシャンドラみたいな とんでもねー女だったらどうしようと、思っていたのですね。 が、心配は無用でありました。解説にもあるように、このモレタさん、 マキャフリィの女主人公にしては珍しく普通の人でありました。 まあ、気丈ですがレサみたいな女傑ではありませんで、今までのヒロインの中では 一番好感がもてました。(別にレサも嫌いじゃなけどね。) ストーリーは『竜の戦士』の時代より900年ほど昔、パーン全土に疫病が広がった 時のことを描いております。ほんどパニック小説みたい。 モレタの運命は、「モレタの飛翔」のバラードによって知っているつもりでしたが、 真実はもっとあっけなく、また残酷でした。 読み終わってしばし茫然として、現実に戻ってくることができませんでした。 で、我に返ってから、あわてて以前のパーンシリーズを読み返して、「モレタの飛翔」 のバラードを探しました。(『竜の歌い手』の190ページに出てきます。) ファンにはお薦めですが、まだパーンシリーズを読み始めていない方は、 第1作の『竜の戦士』から読み始めたほうがよろしいでしょう。 ☆『パーンの竜騎士/外伝2 竜の貴婦人』上・下 アン・マキャフリィ著 幹 遙子訳 ハヤカワ文庫SF ちなみに「パーンの竜騎士」の本編は、 『竜の戦士』『竜の探索』『白い竜』『竜の歌』『竜の歌い手』『竜の太鼓』 外伝の1が、『竜の夜明け』 です。 PS 三省堂にいったら、なんと『竜の貴婦人』のサイドストーリーの ”Nerilka's Story”を見つけ、買ってしまいました。 今年中に翻訳が出るそうですが、それまでに読み終えることができるか!? (91-08-24 21:41:49) |
マキャフリィ ”Nerilka's Story” |
ええと、『竜の貴婦人』外伝の Nerilka's Story やっと読み終りました。 なんせ英語なもので、もうろうとしか内容がつかめませんが、 短くいえば「有能なハウスキーパーは、幸福をつかむ」という話でした。 (ひたすらハウスキーピングの話が続いて、これはSFじゃないと思った。) 継母にいじめられて、王子様と結婚する、まったくの「シンデレラ」物語。 (ただし、それほど甘いわけではない) ネリルカはどちらかといえば、レサより、ブレクに似ているようです。 普段黙っているが、ここぞというところで、底力を見せるタイプ。 結構地道なキャラクターで、好感がもてました。 年末には翻訳がでるそうですが、ほんとかな? 早く日本語で読みたいです。 (やはり、私の英語力では、細部がいまいち良くわからない) ちなみにマキャフリィのペーパーバックは、CORGI(英国の出版社らしい) から 出ているのが手に入りやすいようです。(私の持っているのは全部 CORGI だった) 以下、どおしても原書で読みたいという人のための書名一覧 DRAGONDAWN DRAGONFLIGHT DRAGONQUEST (←このタイトルちょっと笑える) THE WHITE DRAGON MORETA:DRAGONLADY OF PERN DRAGONSONG DRAGONSINGER:HERPER OF PERN DRAGONDRUMS NERILKA'S STORY & THE COELURA あ、作者名はANNE McCAFFRY です。 (1991-10-20 15:57:48) |
マカヴォイとマッキンタイア |
★R.A.マカヴォイ 『ダミアーノ』(ハヤカワ文庫FT) 『サーラ』 (同上) 『ラファエル』(同上) 中世イタリアを舞台に、楽士ダミアーノとその守護天使の活躍を描く「奇妙な」 ファンタジー(どれくらい奇妙かというと、途中で主人公が変わってしまう ^^;) ★R.A.マカヴォイ 『黒龍とお茶を』 (ハヤカワ文庫FT) 初老の女性と元は龍だったという謎の中国人が、 コンピュータ犯罪に 巻きこまれてしまう、これまた奇怪な(?)ファンタジー ★V.A.マッキンタイア 『夢の蛇』 (サンリオ文庫/早川文庫SF) 蛇を使って治療を行う、治療師の女性が誤ってその蛇を殺されてしまい、 代わりの「夢の蛇」を探して荒野をさまよい歩く、どちらかといえば幻想的なSF。 マカヴォイは、「変な」ファンタジーばっかり書いている人です。 『ダミアーノ』なんて最初は真面目に楽士の少年の成長を描く作品だったのに、 最後の巻では、あっとびっくり、なんだこりゃあ!の世界ですから。 あら筋を説明したりするのは、はっきりいって無駄な作品なんです。 この人の作品の評価は、登場人物が気にいるかどうかにかかっていますね。 マッキンタイアは、オリジナルで良かったのは『夢の蛇』だけかもしれない。 あとは、ほとんど映画のノベライゼーションばかり。 映画版のスタトレ小説は、2以降はこの人が書いているのではなかったかしら。 私が読んだのは『スタートレック2』『スタートレック3』でしたが、 サービックさん(ヴァルカン人とロムラン人のハーフの女性士官)を主人公に据えて いて、面白かったです。(私はサービックさんのファンなんです。) 私は、だいたい「マック」のつく、女流作家とは相性がいいみたい。 反対に相性がいまいち良くないのが、男流ファンタジー作家全般。 「男流」の描く女性って、どうも感情移入しにくくて。 大抵の人がいいというエディングス氏が、残念ながら私にはダメなのでありました。 (読めることは読めるけど、お金出して読みたいというほどではない。) P.アンソニィのザンスシリーズは面白かったですが、 手に取るまでに何年かかったことか!今、早川SF文庫のほうで新シリーズが出ている らしいですが、どうも「男流」だということで、躊躇してしまいます。 (1991-10-20 15:58:25) |
『ミステリ・ハンドブック』 |
このところ、もっぱらミステリと心理学関係の本ばっかり読んでおります。 (SFも読むけどね。)で、それらの本の紹介をしようと思ったのですが、 その前にミステリのガイドブックの紹介をしておきます。 読む前に、ネタをバラされたらたまらんと思う方は、先にこれらの本でお目当てを 見つけて、読んでおいて下さいね。 ★『ミステリ・ハンドブック』 早川書房編集部編 早川文庫 1991年9月発行 先に出た『SFハンドブック』の姉妹編です。 内容は、「読者が選ぶ海外ミステリ・部ベスト100」、「ジャンル別ベスト10」 作家、評論家の「マイ・フェイヴァイット・ミステリ」、「作家論特集」、 「ハヤカワ・ミステリ文庫/既刊リスト」。 最後のが一番役に立つかもしれません。ミステリ初心者が、面白いミステリを探す ために使うというよりは、ミステリマニアが、自分の読んだ本をチェックするために 使うのに適しているような気がします。 通読するんじゃなくて、辞典として使うべきなんでしょうね、「ハンドブック」の 名の通りに。 ★『別冊宝島63 ミステリーの友』 JICC出版局 1987年4月発行 では、面白いミステリを探すための本は? といわれたら、まずこれ! いろんな人がいろんなテーマでミステリブックガイドを書いています。 たとえば、東理夫さんが「車」のテーマで「車好きのミステリー・ドライブ」 赤木かん子さんが「子供」のテーマで、「大人も感激する児童書ミステリー」を 書いているといった具合。 エッセイ形式だから読み物としても面白いし、それぞれ自分のお気に入りの本の 紹介をしているわけで、相性のよいエッセイの書き手の紹介する本はかなりの確率で 「当たり」ます。(私の場合、赤木かん子さんの紹介する本は大抵「当たり」) ★『ミステリ散歩』 各務三郎 中公文庫 1985年3月発行 各務三郎氏はミステリ・マガジンの編集長だった方だそうで、私も名前だけは存じ ておりました。が、なにを勘違いしたんだか、私はずーーーとこの方は、男性名を 使っている女性だと思いこんでおりました。 だから著者紹介を見てびっくり。 それはさておき、この本、いいですよ。エッセイとしてもガイドブックとしても 一級品。 なんせこの本で、10年来ずーと横目で見つつ手が出なかった「わらの女」 (カトリーヌ・アルレー 創元文庫)を読む気になったんですもん。 PS. 『カッコーはコンピューターに卵を産む』 読みたいけどハードカバー上下2冊は、経済的にちょっとキツイ。 本の置き場所にも困るし(;_;)。会社で買ってくれるかなぁ...。 (1991-11-30 12:05:22) |