つきなみSOHO計画
ひょんな事から、急にLANに興味を持ってしまったDr.キッチュ。去年(1997年)の夏にジャンクと化したかつてのPCも、 LANでつなげる事ができれば、何かの役に立つかもしれない! さらに、同じ夏にクラッシュしてからご無沙汰だった リブレットも、モバイル運用端末として活用できるだろう!
おりしも、PC業界はSOHOとやらのブームであり、TA+ルータ機能のSOHO機器類と呼ばれるものが氾濫している。
「ヤルなら今だ」 という訳で、例によって無謀にも家庭内乱じゃなくて家庭内LANを構築しようとするDr.キッチュのたわけた計画を公開しよう!
家庭ないらんのきざし '97の夏、コミケ前の貴重な時期を無為に過させた元凶のマザーボード、A○ST○ T○X97-Eは通電もされずに部屋の片隅に スタックされている。無用のデバイスは、死してなお部屋のスペースを占領するという悪逆非道の限りを尽している。
さらに同じ時期に、モバイルの旗手だったリブレットはHDDを昇天させ、ベッドの上に「パフッ」と叩きつけられていた。
しかし、考えてみるとずいぶんともったいない話である。修理や調整で、これらのデバイスもゾンビのように・・・もとい、 不死鳥のように復活するはずなのだ。
しかし、単独でのPC調整では、またぞろCD-ROMの認識問題やカードの相性問題が発生してしまうのは、ハロゲンランプを見るより明らかだ。
また、リブレットの活躍がいまひとつパッとしないのも、データをやり取りするためにフロッピーやMOを必要とするためである。
このように分析すると、問題点が「ネットワークによる資源(デバイス&データ)の共有」にあることが、 賢明なる諸君にはもうおわかりであろう。
つまり、ネットワーク上でデバイスやデータを共有化すれば、インストール時の問題やムダに重複するデバイスを削減でき、死蔵化 しているPC等を復活させることができるのだ!
このように、今回はネットワークという処方箋が有効であることは間違いないが、 それをどのように実現するかが問題だ。 簡単にネットワークを組むには、EthernetアダプタとHUBを調達すれば済む事である。
しかし、ワシはすでにISDN+TAというデバイスを入手している。 どう見てもEthernetのケーブルとしか思えないISDN-S回線が、Ethernetと 繋がれば、LAN+ISDNというインテグレートされた通信手段を実現できるのだ。
そのような折、新しい勤務形態としてのSOHO(Small Office, Home Office)という概念がブームとなってきた。 もともとの意味は オフィスの省資源化にちかいものだが、どういうわけかPC業界では、LAN+ISDN という通信環境を特異的に指し示すものとなっている。
ま、ここで言葉のイミを追求してもしかたがない。 要するに、
そこの奥さん、これからはSOHOとかでTAが安いよ! いまならルータがついてこのお値段だ!ということなのだ。
ぶらさがりの事情 ここで、ワシのこれまでの通信環境を図示してみることにしよう。
この環境も、一般的なTAの用途と若干毛色がかわっている。もともと、ワシがISDNに踏切ったのは、ワシの借家がJR中央線沿線 であり、アナログモデムで14400以上の通信速度では、急行電車が通過すると途端に回線エラー・切断が頻発したためであった。
TAとしては、NECの AtermIT45DSU という、NECのベストセラーTAの初号機であるが、それに専用の「S2機関」・・・もとい、 「S点ユニット」が装着されている。
S点ユニットとは、TA拡張用のISDN-S/Tバス端子をAtermIT45DSUの外部に引きだす働きをもっている。これは、いわゆるISDN電話線 (ISDN-U 回線)とは異なり、DSUを通過した信号線であり、この系統に7台までのISDN機器をつなげる事が可能なのである。
このシステムでは、ISDN-S端子に 10BASE-T(8芯平行全結線)ケーブルを接続し、PCがある部屋まで引回している。 というのも、という条件から、このような構成を採用したのである。
- 電車によるノイズを防ぐため、ケーブルにはディジタル信号をのせたい。
- 従来の電話線モジュラージャックがキッチン(ピンク領域)にあり、そこからPCまで6m程度をフスマ越しに引回さなければならない
- FAX電話はキッチンに設置しておきたい
このため、PC側にもう1台のTAが必要なのであるが、それには NTT-TE東京の TA64 Board/B というものを採用した。
これは、「アナログポートを内蔵するTAカード(同期64Kbps)」というエキゾチックなカード であり、PCからはCOMポートとして認識される。 店頭にはどこにも置いておらず、購入の際も「問い合わせ→取寄せ」というように手間のかかったものであった。
このカードを利用すれば、そのアナログポートに従来のモデムをぶらさげることで、パソコン通信も可能である。そういう事情で、 ワシの通信環境は上図のようなものになったのであった・・・(つづく)
よろめきの3PCプレイ ・・・(つづき)
この環境もそれなりに安定していたのだが、リブレットが復活し本格的にデータのやり取りをするようになってきて、フロッピー 等を用いるデータ転送が煩わしくなってきた。 パラレルクロスケーブルという通信手段もあるが、これはどちらかといえば緊急時対応 にすぎない。 やはりここはLANによるデータ共用化であろう。しかも、CD-ROMやMOを共用化することで、リブレットからもこれらの デバイスへアクセスでき、インストール作業がたやすくなる利点もある。それになんといっても、
PCカードでプラグ&プレイ、10BASE-Tケーブルとホットプラクインってなんかサイバーじゃん!という、ちょっち死語の世界入ってる体験もしてみたいしー。
で、リブレットのために使う Ethernet PCカード corega社製の Ether PCM-T というフザけた社名のデバイスを導入し、その次の日の 昼下り、ついふらふらっとよろめいてSOHO機器を導入してしまったのであった。
そうはいってもワシの事、本屋で情報はゲットした。よさそうなマシンは、であった。(というか、店頭品がこれだった)
- NTT-TE東京 MN128-SOHO/DSU
- YAMAHA RT-80i
- NEC/Comstarz CMZ-RT-D1
下馬評によれば、
1ワクのNM128-SOHO/DSUは、3ポートHUBが内蔵されているので、これ1台でワシの要求を満足し◎。ユーザー情報も充実。 しかしながら、ときに暴走するということもあり▲。
一方、安定した走りを見せるのが2ワクのRT-80i。設定等のわかりにくさがあるが、俊敏な動作は光るものがあり、 ヘビーユーザーの信頼も厚く◎。しかしながらHUBは1ポートで、外部にHUBが必要。▲
3ワクのCMZ-RT-D1 は、同じ NEC製品である Aterm45ITDSUとの連勝を狙える所であるが、新製品であることとPIFAS未対応、 ISDN-S終端切離し不可など、いろいろ不安要素があり▲。
この検討からだと RT-80i がベストのようだが、外付けHUBが必要という事で、値段と設置スペースを考慮し、暴走の危険性は 残るが穴狙いの1ワク MN128-SOHO/DSU をチョイスした。
まぁ、暴走の原因はどうせ「熱」だし、この熱は内蔵の電源(スイッチング電源)によるものだろうから、最悪立て置きに すれば解消できるはずである。
(実際、入手したモデルには立て置きスタンドが附属していた。)
若干の不安を残しつつも、今回構築したシステムはこのようになった。
TA64 board/B の代わりに、MN128-SOHO/DSUが設置され、これとPCは 10BASE-T メディアの Ethernet、TCP/IPプロトコルで接続されている。 Windows95では、NetBEUIプロトコルも標準でインストールされているので、Microsoft標準のpeer-to-peer環境も構築することができる。 これでDISK共有化すれば、念願のLANが実現するという寸法だ。
しかも、HUBがTAと機能一体化しているので、ネットワークのどのPCからのWWWリクエストもMN128SOHOが受け付け、webに自動接続 することができるのだ。
理由なき(?)暴走 さて、雑誌やネットワーカでの共通の認識として、MN128-SOHOは暴走しやすいというものがあるのだが、その点はどうだろうか。
正常に動作しているものがある日突然暴走する原因としては、等が考えられるが、バグはファーム修正ですぐに収拾するし、ノイズ誤動作が起るとすれば雷やドライヤー等の火花が散る電気関係に 心当りがなければ除外してよいだろう。 すると、暴走の原因は絶対最大定格違反・・・熱暴走が最も妥当な推定であろう。
- ファームウェアのバグ
- 絶対最大定格違反
- 外部からのノイズ
ネットワークアダブタで、もっとも発熱する部分は電源だが、それ以外の部分としては、HUBにある通信トランス〜ドライバIC回りが 発熱しやすいことは、経験上容易に推察できる。しかも、その熱がこもる事でメモリやCPUの動作不安定を招くだろうから、この部分を 上側、つまり立て置き(電源部上)にすれば容易に解決するだろう。
そういうワケで、MN128の設置状況はこのようなものになった。
なんか左側にLDがあるが、MN128は正面の青い箱だ。
しかも、その後調べたweb上情報で、等の情報を入手。今回ゲットした製品と対策がまさにそれに該当するので、ほっとした所か。
- MN128の暴走が発生した状況は、気温が高く、風通しの悪い場所においてであった
- 暴走を防ぐには、電源スイッチを上に向けて立て置きにするのがよい
- 立て置きスタンド付のバージョンは、'97暮れに暴走対策したモデルである
という訳で、暴走はとりあえすセーフと考えてよいだろう。
さらに、以前使っていた98ノート、PC9821Ldもネットワークにつないでみた。NetBEUIの peer2peer 機能は使えないが、FTPサーバが動いているので、ファイルの転送が 便利になった。
画面の左下の黄色いケーブルが10BASE-Tケーブルである。
そういうワケで・・・ なんというか、久しぶりになんの問題もない機器のアップデートであった。 次は、昨年の夏にジャンクと化したPCの復活計画という所じゃな!
MN128-SOHO リンク では、最後にMN128-SOHOの運用上のFAQやBBS、便利なソフトウェアのリンクを紹介しておこう。← 研究室へ戻る
- http://www.bug.co.jp/mn128/index.html MN128の部屋・・メーカーのHP。 ファームウェア等のアップデート情報がある。
- http://www.raidway.or.jp/~negiman/goro/sohoman.html MN128-SOHO用接続管理ソフト。これがあれば、MN128もダイアルアップPPP並の使い勝手に。