← 研究室へ戻る
PCアップグレードの顛末
急激に進歩するPCの世界と、それをも上回る計算能力への渇望により、我々はPCのアップグレードを絶えず 行なっている。 つきなみCOMICSでも、DTP指向・電子化指向をうけ、80年代からPCのアップグレードを 行なってきた。 そーいう訳で、'97夏はアップグレードしなければならない時期なのだ。だが、今回のアップグレードは 従来と異なっている。 なんと、マザーボードの交換を決行するのだ。 そう宣言して2週間、Dr.キッチュの 苦闘と散財の記録をここに公開しよう!
←これが、今回の苦闘の末できあがったマシンである。
スペック 230W電源内蔵・W187 H437 D494 重量13kg 放熱ファン強化済み 静音対策仕様
なぜ、アップグレードするのか? 「なぜ、パソコン買い替えるの? つかえるのにもったいない」
・・・なるほど、この言葉は正論である。使えるのに買い替えるのは資源のムダ、環境問題の発生、ISO14001違反と そしられてもしかたのない事かもしれない。
しかし、この言葉が有効なのは、「PCの世界の進歩が停止」した場合に限られるのである。なぜなら、PCで扱う 情報量は3年程度で10倍にも達し、今使えるPCも、いずれ3年後には「動作はするが使えない」マシンになってしまう のだ。 どのみち使えなくなるのだから、できる時にアップグレードする。これは、情報に価値を感ずる者であれば だれでも考える「正論」なのである。
・・・と、アップグレードを渋る各ご家庭の大蔵省やらPTAやらに説明されてはどうかな? ちなみにワシには そういった者がいないので、オンデマンドでアップグレードしてしまうが。(勿論資金がある場合に限る)
ここで、さらに有力なデータを紹介しよう。
98アーキテクチャの危機と展望
この論文には、つきなみCOMICSがこれまでにアップグレードしてきたPCの系譜が表わされている。そのなかの CPUパワーの最新データがコレである。
横軸が西暦、縦軸がCPU性能(logスケール)である。つまり、横軸は1目が1年を、縦軸は1目で 10倍の性能の違いを示している。
このグラフで、黒い点がつきなみCOMICSの実績、赤い線はその実績から推定したつきなみCOMICSのCPU要求 レベルである。 緑と青の線は、市販のPC98シリーズやIBM互換機のCPU性能である。
初期のCPUはポケコンことカリキュレ−タで、CPUは4bit。これがワープロで8bit、PCで16/32bitと アップしてきた訳である。しかも、処理効率とクロック周波数も向上しており、このグラフに反映されている。
これによると、今までも、そしてこれからも、ワシは2〜3年に1回の割合でアップグレードするだろう事が 容易に推定できる。 しかも、今年は新しい「Pentium II」チップ(というかモジュール)やMMXも登場した。
秋葉原市場価格のページを見ると、毎週毎日値段が下がっていくのが手に取るようにわかる。 衝動買い王・スタパ斎藤氏で なくとも、「サクッと買ってサクサクッっと組上げて、ボクも私もみんなもハッピー」って気分にもなろうというもの。
このように、論理的に検討しても、情緒に訴えてみても、導かれる結論はただひとつ。
アップグレードしかない!
どのようにアップグレードするか? 無限に近くお金を持っているビルゲ○ツ氏ならともかく、我々のような庶民にとってはいかに安く効果的にアップグレード するかが重要である。 従って、どの部分をアップグレードするか、その点を見極めなければならない。
'95/9から使用していたワシのメインマシンは、MICRON製の Millenia P133C である。 これは、Pentium/133 と、EDO-RAM、 PB-SRAMキャッシュ、4-PCIスロットを具えた、現状でも十分実用的なマシンであった。(←この辺が過去形)
このマザーボードを見てみよう。
マザーボード外観 スペック Pentium 75-133(P54)対応 Socket 5
Intel Triton FX チップセット
EDO-SRAM対応 MAX128 Mbyte
4-ISA/4-PCI(うち1つは共用)スロット
Baby-AT 形状
このスペックの中で、致命的なのは Socket 5 の部分である。 つまり、現在の主流のCPUは、ほとんど Socket 7 に対応するものであり、Pentium-MMXにしても AMD-K6, Cyrix M-2 にしても、このマザーボードには 搭載不可ということになる。
ボードに関する問題点として、このマシンの起動が不安定になってきた事もある。電源投入しても、立上がらない ことが増えてきたためだ。
どちらにしても、マザーボードを交換するのが、アップグレードとして最も小額で効果的であると結論できよう。
さて、ここで問題がある。 現在の主流のマザーボードは ATX形状のものである。これは、Windows95等のパワーマネージメント に対応したソフトパワー制御が可能な仕様であり、このため電源仕様が異なる。さらに、コネクタが一列に並ぶ形状は、 現状のケースでは搭載不可能である。
したがって、アップグレードする内容は、
Baby-AT Socket-7 マザーボード
がベストという訳だ。
いつアップグレードするか? アップグレードの内容がきまったので、あとはいつ決行するかである。
「コミケットが迫っているので、必用な論文発行作業が終了したらとりかかるのがよい。 その時点で、コミケットまで10日ほど間がある。 これなら楽勝だ!」
・・・・・・これが大誤算であった。
なにをアップグレードするか? 雑誌等をくわしく検討してみた結果、ワシの目にかなうボードが決定した。これがそのマザーボードである
ASUSTek TX97-E スペック Pentium 75-200(P54),233(P55),K6,M-2対応
Socket 7
Intel Triton TX チップセット
EDO-SRAM対応 MAX256 Mbyte
SDSRAM対応 MAX256 Mbyte
3-ISA/4-PCI(うち1つは共用)スロット
Baby-AT 形状
これなら、現状のケースと電源に対応でき、しかも Socket-7。さらに P54にも対応しているので、 現状のCPUが使える! これしかない!
・・・という訳で、秋葉原に行って帰ってきたワシの荷物に、おや?マザーボード以外のボードがあった。
そのボードとは、Matrox Millenium-II である。あの Millenium の3D強化品である。 しかもバルク品。 じつは、この買物が その後の怒涛の不孝のはじまりであったのだ・・・
アップグレードすると・・・ で、8/7のアップグレード決行の日。 とにかく材料はそろえた。データのバックアップも取った。 あとは、ボードを交換するのみである。 ボードや配線を注意深く外し、いよいよ TX97-E を搭載する! そしてCPUとDiskを接続して電源ON! グラフィックボードは Millenium-IIだ。
すると、EnegyStar のロゴが画面に現れ、メモリカウントが行なわれた。ディスクも認識された!
そして、Windows95が立上がった。 さて、ドライブはというと・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・CD-ROMが認識されていない!
おい、どうしたんだ!?
アップグレードであっぷっぷ
その日はもはや地獄のようであった。記録を取っていなかったので正確には判らないのだが、どうも
Windows95が TX97-E の 最新PCIチップを認識できないようだ
どうも、Windows95が このPCIを認識するには、パッチプログラムを当てる必要があるのだが、これがCD-ROMに 入っている。 それは良い。 で、CD-ROMが動かないマシンでどうやってそれを読めばいいのだ! しばらくのたくったあと、以前にCD-ROMドライバを組込んだ立上げDiskを作った事を思い出した。 これで、 CD-ROMのパッチをとりあえず HDD にコピーしよう。そうすればパッチを組込める。
・・で、今度はパッチを組込む事ができた。さて、再起動してPCIを認識させると・・・認識した!
そうして、どうにかWindowsが立上がったが、なにかおかしい。 Microsoft の標準インストーラーで、どうして 「一般保護エラー」が発生するんだ?
苦闘しているPCアップグレード状況
なぜルータが使われているのかはナイショ
疑心暗鬼になったワシは色々なアプリケーションを動かしてみた。すると、ほとんどのものが何等かの段階で 「一般保護エラー」を出してしまう。 そういえば、雑誌記事に「TX97とMillenium-IIの相性がうんぬん」という 記事があったっけ? まさにそんな状態か?
それだけなら話がはやい。ビデオカードを元にもどせばいいのだ。元のカードは Diamond Stealth-64 PCIである。 で、ここで再起動すると、Windows95 が立上がるという訳だ。さっそく再起動すると、 EnegyStar のロゴが画面に現れ、メモリカウントが行なわれた。ディスクも認識された!
そして、Windowsのロゴが現れて、一瞬画面が消えて・・・
・・・・・・・・・・・・・・消えたままである。
おい、どうしたんだ!!
この心境を表したのが★このマンガ:174Kbyte★である。
すでに疲れが著しいPC環境。唯一元気だったのは
作業記録用の98ノートのみであった
何かが確実にワシの回りで変化している。これはいったいどうした事だ。ここでまた地獄が再開するのだが、 どうもWindows95が壊れてしまったようである。 解る事は、
1) Stealth-64 PCIでは立ち上げられなくなった。
2) Millenium-II だと、プログラムが正常に走らない。
じつに単純明快である。ワシのシステムは元に戻ることはなくなってしまったのである。
Windows95 再インストールしかない。
そう決心したワシは、いままでの環境を壊さぬように、新しいDiskを購入(とほほ)した。なにしろ、システムの 入っているDiskには、PC-VANの電話番号やパイロットプログラム等が入っているのだ。これはうっかりバックアップを 取っていなかったのである。
ビデオカードはMillenium-IIで、Windowsを再インストールして、どうにか立ち上げることができた。
「プログラムの不備な部分は、最新のデバイスドライバで何とかなるだろう。幸いにも、Netscapeは動作するようなので、これで ダウンロードすればよい。」
と、実に論理的に事を進めたワシは、インストーラの不備を手動で回避し、新しいドライバを組込むことに成功した!
さて、これであとはアプリケーションをインストールしていけば・・・・
まだ動作がおかしい所がある!
もはやどつぼにハマッたワシとしては、一刻も早くこの訳わからん状況から脱したい一心であった。アップグレード開始から すでに5日経過している。やはりビデオカードが悪いのか?それとも、マザーボードなのか?
・・・結局の所、ワシがめざしていたのは何だったのであろうか。そう、Socket-7 対応のマザーボードへ 交換したいのではなかったのか? ここでマザーボードを元のMICRONICS製に戻したら、いままで何のために HDDやボードを買ってきたのか。 やはりバルク品がまずかったのか?
そのように苦悶するワシに新たな事態が発生した。 こんどはLibrettoがクラッシュしてしまったのだ!
CONFIG.sys の設定やファイル編集のために立ち上げておいたLibrettoが、冬眠モードから永眠モードになってしまったのである。
このときの不安というのだろうか、まるで世界から自分が切離されたような感じを受けてしまった。 そんなにも深く、 ワシはPCと通信世界にハマッていたのだろうか?
さいごのあがきもむなしく・・・ 「Librettoの事はほおっておこう。とにかく今はメインマシンだ。 不具合はビデオカードと見た。」
この推論も、この時点では正しいことに思える。 システムがおかしいのは、バルク品のビデオカードという推定は 非常に説得力がある。 ケチのついた Stealthの代わりに、今度は PowerWindow DXを導入した(とほほほ・・)
「これならばメーカー品だし日本製だしバッチリ保証もついてるしノープロブレムですよお客さん」
とは店員さんは言わなかったが、「とにかく今はコミケットまでに復活したい!」との必死の思いでビデオカードを 変更してみた。 ドライバも問題なくインストールされた。もはやこの時までに15回はWindows95をインストール している。その Windows95 も、最新のボードに対応できるように OSR2 にもしてみた(とほほほほ・・・)
で、結果はというと、
やっぱだめ
が〜ん が〜ん が〜ん が〜ん が〜ん!
最終的決断の時 これまでの試行で残った不具合原因の可能性は、出したくなかった結論である、「マザーボードに問題あり」 しか考えられない。もはや、ここまでお金を投入してしまい、いっこうにメリットが出せない以上、コストパフォーマンスとか 投資効率等というちょっと気の利いた言葉なぞ死んだも同然。 動かないマシンは P/C なんぞ 0 なのだ。
安い買物は、一度失敗するともはや取り返しつかない事もよくわかった。
「こうなったら、全部とりかえるしかない」
要するに、アップグレードの選択肢をせばめていたのはケースなのだ。ケースがATXになってしまえば、CPUも MMXやK6だけでなく、Pentium II に対応できる。 しかも、Pentium II のPCIチップセットは、440FXという枯れた仕様である。 もはや頼みの綱はこれだけだ!
という訳で、ワシが最後にキメたマザーはこいつである。
AOpen AX6F スペック Pentium II 233-300(Klamath)対応
Slot-1
Intel Triton 440FX チップセット
EDO-SRAM対応 MAX256 Mbyte
3-ISA/5-PCI(うち1つは共用)スロット
ATX 形状
くぅ、ちっともお安くないじゃないか! まるまる1台新規購入って感じ〜
まずケースでしょ(とほほ)、次にマザーボードでしょ(とほほほ)、そしてCPUだ(とほほほほ・・・・)もう、これじゃ 新規マシンそのものじゃないか! CPUも四の五の言わずに Pentium II/266。安いショップなんか探すものか。もうすでにン万円の損失が あるのだから、ここはひとつリテールパッケージ品。これで動かなかったらみてろよテメェ(誰に言ってるんだ)!
等と、鬼のような形相で秋葉原を回ってかき集めたパーツを組込んだのが6日目の事。 さっそく電源を投入して みると、画面は真っ黒の宇宙空間のよう。
うごかねーぢゃねーかッ!!
と、思わず目の前も真っ暗になりかけたが、思い当る所がありATX電源をみると、電圧仕様が230Vのまま。このスイッチを 切替えると、ようやっとスタートアップ画面が表示された。
そういう訳で、なんとか動くマシンを手にしたワシは、環境の再構築を開始した。問題のあったプログラムは、 Norton Utility 95 v2, Winbiff(メールソフト), Corel Draw! 7.0J(お絵かき), Procomm Win(通信) 等であったが、どうにか 問題なくインストールし動作確認することができた。 長かった。長い1週間だった。このために、ワシの夏休みは 全部つぶれてしまった。
ふと安堵の息をもらすワシだったが、そのとき突然に、先程組込んだノートン先生が緊急事態のアラームを点燈させた!
熱対策まで必要だとは ノートン先生によると、「破損クラスタがあるので修復します」とのこと。なにぃ、新品のHDDなのに?
ノートン先生が懸命にディスク補修をしている間、ワシは冷静に状況を分析していた。
「そういえば、このケースはやけに静かだな。放熱とか大丈夫なのか?」
そう思ったワシは、ディスク修復が終了するやいなや電源を落とし、ケース内部をさわってみた。
けっこー熱いッス
ATX電源は、AT電源と送風仕様が異なり、内側に吹込む仕様になっている。このため、ほこりなど撒き散らさなくて 静かでボードの加熱もおこりにくいのだが、このケースの場合、HDDベイの部分に空気の流れがおきなくなってしまうのだ。
このため、HDDが異常に過熱してしまったようである。 仕方がない。ファンを追加しよう。
これが今回のPCである。追加したファンはケーブルに直付けだ
その後も、もとに戻したHDD(Slave)と新規HDD(Master)の折合いがまずく、クラッシュがあやぶまれたので これも交換(とほほほ・・・)結局の所、安定したのは 8/24日であった。長かった。金も時間も投入した。 しかし、出来上ったものは、現状最高とは言っても、いまひとつ納得いかないものである。新しく購入した 部品の大半を使っているとは言っても、マザーボードとビデオカードがムダになっている。
ちなみに、現マシンのビデオカードは Millenium II になっている。ドライバ V3.70でかなり安定しているので これを使っている。
まとめ
で、結局先程のトレンドにマークしてみると、
ワシの要求水準よりも下であるが、IBM/AT のラインにはピタリ乗っていることがわかる。
さて、ここで諸君が聞きたいのは、このマシンスペックであろう。よかろう、それを公開しようでは ないか。
・・・・あ、コレはおよびでない。失礼しました。
スペック 230W電源内蔵・W187 H437 D494 重量13kg 放熱ファン強化済み 静音対策仕様
Item 仕様 CPU Pentium II/266 MotherBoard AOpen AX6F ATX仕様 Memory EDO 128Mbyte Video Matrox Millenium II 4M HDD Quantum FireBall ST 2.1G×2, SCSI2 2G×1 MO OLYMPUS 260M内蔵 Option SANYO4倍速 CD-ROM, SB16 NTT TA64-Bカード
で、HDBENCHの結果はというと、
★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.297 ★ ★ ★
使用機種 Processor Pentium2 解像度 1024×768 1677万色 Display Matrox Millennium II PowerDesk Memory 130,008Kbyte OS Windows 95 4.0 (Build: 1111) Date 1997/ 8/23 SCSI = Adaptec AHA-2940AU PCI SCSI Controller HDC = Intel 82371SB PCI Bus Master IDE Controller HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO) HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO) A = GENERIC NEC FLOPPY DISK C = GENERIC IDE DISK TYPE47 D = GENERIC IDE DISK TYPE47 E = QUANTUM FIREBALL_TM2110S Rev 300N F = OLYMPUS MOS331 Rev 1.10 G = SANYO CRD-254P Rev 1.02
ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD Read Write Cache Drive 14592 20984 17083 28278 4336 23227 373 0 6653 6592 23808 C:10MB
で、結論としては
新しいマシン最高ッス!
って、何いっとるんだ貴様!