神風・愛の劇場スレッド 番外編『ご先祖様は女子高生』(7/24付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 24 Jul 2000 16:17:28 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 334
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佐々木@横浜市在住です。
# 再び極秘指令により自己フォロー。^^;

# このスレッドは表題作「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版を元に捏造した
# 妄想小話に関する物です。そういうのが趣味じゃない方は
# 見なかった事にして下さい。



# 現在、第65話は鋭意執筆中につき投稿は週末ぐらいに
# なりそうとの事。遅れの原因は大道寺家の陰謀らしいです。(笑)
# そこで間つなぎにへっぽこ実験第2段をお送りします。

<作者註>
もしかしたら今後の展開次第では妄想本編と、
今回お送りするお話しは整合しないかもしれません。
その場合はコレの方がパラレルワールドです。
</作者註>


●プロローグ

ある日の事でした。リビングで暇を持て余しているまろん。
と、突然、部屋の真ん中辺りの空間が光り出します。
咄嗟に起き上がって待ち構えるまろん。
やがて光りの中心から何かが「どすん」と床に落ちました。

「あ痛たたた。何だよ硬いな、この床」

見た事の無い女の子でした。おまけに服を着ていません。裸んぼ。
まろん、むくむくと沸き上がる欲求を押さえて声を掛けます。

「あなた、誰? もしかしてフィンかミストの手先?」
「誰だよフィンって?」
「フィンは私のお友達の天使で…」
「天使だぁ?するともしかしてアンタ、日下部まろんか?」
「どうして私の名前を知ってるの?」
「良かった。上手く遡れたみたいだな」
「で、あなた誰なのよ」
「あぁ、私、メイベル、アンタの子孫だよ」
「はぁ?」
「会いに来たんだぜ、御先祖様よ」


★神風・愛の劇場 番外編『ご先祖様は女子高生』


「だからな、私は未来から来たんだよ」
「嘘〜、絶対信じない。あなた悪魔か何かでしょ」
「だぁ〜っ。判んねぇ女だな。私は2399年から来たんだって」
「じゃぁ証拠見せてよ」
「おう、見てろよ」

メイベルがそう言って右手で胸元をぽんっと叩くと
身体の色が変わって複雑な模様が肌に浮き出てきました。

「あ〜やっぱりだわ。悪魔の入れ墨」
「違うって。最新のファッションだよ」
「裸が?」
「やだね、未開人は。良く見てくれよ」

言われて良く見てみると手首や首筋で模様が途切れています。
どうやらボディスーツを着ている様子でした。

「どうやら何か着てるのね」
「だろだろ?私らの時代じゃ、他人と同じ格好は恥ずかしいって事に
 なってるから、こんな風にランダムな模様が出る服装が多いんだぜ」
「でも最初はなんで透け透けだったの?」
「多分、タキオンチャンバーを通った時にプログラマブル・ダイが
 リセットされたんだろうな。バグじゃないだろうけど」
「さっぱり判らないわ」
「まぁ気にすんなって、御先祖様よ」
「その御先祖様って言うの止めてよ。何だかお婆さんになった気分だわ」
「じゃ、まろんでいいか?」
「うん。私もメイベルって呼んでいいよね」
「もちろん、いいぜ」

少し落ち着いてきたまろん。良く見てみるとそこはかとなく親近感が。
何となくですが、自分に似ていない事もない気がします。
でもショートにしている髪の毛は真っ赤です。
そして瞳はグリーン。肌は白くてきめが細かそうです。

「ねぇその髪の毛」
「髪の毛が何?」
「染めてるのよね?」
「まぁ、何て言うか。まろんの時代のとはちょっと違うけどね」
「どう違うの」
「こう違うんだよ」

今度はうなじの辺りに手を回してゴソゴソやってます。
髪の毛の色が何色にも変化していき最後には藍色がかった黒髪に。

「これが本当の私の髪の色だよ」
「綺麗。そのままがいいよ。羨ましい」
「そうかぁ?一番安物のナノヘアでも出せる色だぜ?」
「自然だからいいんじゃない」
「やっぱ古代人の価値観は判んねぇな」
「だからそういう言い方止めてってば」

そうは言っても、讃められたのは嬉しかったらしく、メイベルは
黒髪のままにしていました。瞳の色は生まれつきだそうで、
まろんの子孫には色々な血筋が入っている様です。

「そうそう。肝心な事忘れてた。まろん、アンタって神の戦士?」
「えっ、ま、まぁ、ね」

突然のつっこみに狼狽えるまろん。

「(何でそんな事子孫が知ってるのよ。私が子供にでも話すのかしら。
 でも、どう考えてもその子は孫には話さないわよね。
 ママの作り話って思うはずよ)」

メイベルは腕組みして暫く考え込んでいましたが、ボソボソと話始めました。

「あのな、ちょっと前に変なモノが見えるようになったんだよ」
「変なものって?」
「そいつは自分は天使だとかヌかしやがる」
「それってこの位の大きさで羽根が生えてる?」

まろんは両手を使ってフィンが小さい時の大きさを示しました。

「ああ、そんぐらいかな。で、そいつがさ」
「うん」
「あなたは神の戦士の生まれ変わりなのよ〜とかってヌかしやがって」
「(うわ〜、それってマジなの?更に来世でも続くわけ?)」
「てっきり遺伝子操作で作ったペットか何かだと思ってさ。
 改変動物のくせに人間の言葉喋りやがる上に服まで着ていやがって
 生意気だぜって事で服をひん剥いてやった訳だ」
「(何だか何処かで見聞きしたような行動パターンね)」
「そしたらそのチビ、めそめそ泣きやがってよ。始末におえねぇから
 また服着せてやってさ。生意気にちゃんとミニサイズのショーツまで
 …ってそんな事はどうでもいいか」
「(フィンの服はちゃんと脱げないのよね)」
「で、私が誰の生まれ変わりだってんだよって聞いたら」
「ええ」
「21世紀初頭に生きていた "日下部まろん" っていう女の子だって言うからさ」
「同性同名じゃ無いわよね?」
「ああ、まろんが御先祖様ってのは間違いないんだ」
「そうなの?」
「調べたからな。まろんはこの後23歳で…」
「ストップ!私の未来は話さないで」
「何で」
「つまらないじゃない。それはこれからの私のお楽しみだもの」
「そうか。じゃ、ま、言わないとして」
「うん。それで?」
「御先祖様の事なんてチビに言われなくても判るわいって言ったらさ」
「また泣いちゃったのね」
「良くわかるな。そうなんだよ、このチビがよ」
「ねぇ、その天使に名前ないの?」
「あぁ、名乗った様な気もするな。アイニスとかなんとか」
「じゃぁそう呼んであげなよ」
「まぁ、まろんがそう言うなら。でだ、アイニスの奴がな、
 御先祖様じゃなくて生まれ変わりなのよとか言ってさ」
「ふむふむ」
「確かに魂の実在は21世紀末に証明されるんだけどさ」
「えっ!そうなんだ」
「ああ。死ぬ瞬間にさ、何か訳の判らない電磁波のカタマリが
 脳から抜け出るって事が判る様になるんだよ。もうちょっとすると。
 一応、それが魂って事になってるんだわ。医学とかの学説では」
「へぇ〜」
「でもな。神様みたいな超越精神体については23世紀に
 高次元世界での生命分化の可能性の否定に関する理論が出てから
 誰もその理論を覆す事が出来なかったんで、神は居ないって事で
 取り敢えず決着してるんだよな」
「え〜っ、そんなの変だよ」
「変でも何でも居ないんだよ」
「そんなこと無いよぅ」
「まぁ、私はまろんに論争を挑みに来たんじゃ無いから
 その話は止める。とにかくだ、居ないモノの戦士だの信じられないし、
 ただの電磁波が他に乗り移ったりするもんかよって言ったら」
「泣いちゃって?」
「まったく面倒くせぇチビ、じゃなくてアイニスだぜ」
「それがどうして私に会いに来るって話につながるの?」
「おう、それでよ、信じないならまろんに会えば判るからってさ」
「ふ〜ん」
「本当は個人の時間旅行は犯罪なんだけどな」
「ええっ、それじゃメイベルってば戻ったら捕まっちゃうの?」
「おまけに古代人に未来の事話したから重罪だな」
「嘘、どうしよう。私、聞かなかった事にするね」
「いいよ、別に。帰るときに、まろんの記憶消すから」
「何だ、慌てて損しちゃった。でも、それじゃこっちに来るの
 大変だったんじゃないの?」
「ああ、それはアイニスがな」
「うん」
「タキオンチャンバーの管制官を催眠に掛けて誤魔化したんだよ」
「(アイニスって天使も悪い娘なのかしら)」
「それで御先祖様に確認に来たわけさ。で、まろん、本当に神の戦士?」
「そうよ」
「じゃ、敵は?」
「悪魔」
「そいつ、何処に居るのさ」
「そんなにホイホイ居ないわよ」
「何だよ、つまんねぇな」
「あ、でもないかも。ちょっと待ってね」

まろん、そう言うとベランダに出て空に向かって呼びかけます。

「フィ〜ン、ちょっと来てよ」

返事はありません。ぼそっと呟くまろん。

「今夜、苛めちゃうぞぉ」

すると途端にベランダの縁に座っている姿が現れました。

「何よ、うるさいわね」
「会ってほしい娘がいるの」

フィンを部屋に連れていくまろん。
メイベルにひき会わせます。

「お、まろんの時代の天使はでっけぇな」
「伸び縮み自由みたい」
「私をゴム人形みたいに言わないで欲しいわね」
「ねぇ、フィン、何でもいいからテキトーに弱い悪魔出してよ」
「何よ、それ?」
「この娘に悪魔を見せたいの」
「ふん。バカ言わないでよ。普通の人間には悪魔なんて
 そうそう見えるものじゃないのよ」
「それでもいいから」

ニヤリとするフィン。指をパチんと鳴らします。
すると天井から悪魔がぬぅっと出てきました。最初から実体化しています。

「生憎だけど、私の配下に弱い悪魔なんで居ないのよ、まろん」
「そうなの?何時もすぐチェックメイトできるのに」
「うるさいわね。今日のは違うのよ。さぁ、行きなさい!」

悪魔が大きな口を開いて迫ってきました。
それは事もあろうにメイベルに近づいています。

「危ない!」

まろんが叫びましたが、当のメイベルは平然としてます。
見えていないのだろうか?まろんがそんな事を考えた刹那、
悪魔が何かを口から発射しました。それは真っ直にメイベルに向かって
飛んでいきます。まろんが庇うには遅すぎました。
バシッ
ところがです。メイベルの身体が青い光に包まれて魔弾が
弾き返されました。それを食らった悪魔の方が悶え苦しんでいます。

「何しやがんだよ、この大バカ野郎! 危ねぇだろが!」
「メイベル!大丈夫なの?」
「まぁな。まろん、このバカが悪魔って奴なのか?」
「ええ、そうよ。あなた本当に神の戦士なのね」
「ああん?何の話だよ?」
「だって、いまの光は」
「光ぃ?ああ、電磁障壁だよ。個人装用の」
「電磁 ...何?」
「障壁。24世紀じゃ色々あってさ。こういうの無いと
 危なくて外を歩けないんだよ。隕石とかさ」
「隕石?」
「大気が薄くなってさ、流れ星とかが燃え尽きないで
 ガシガシ降ってる訳よ。だから一定の速度以上で近づく物は
 無条件に防ぐシールドが要るんだよな」
「よく判らないけど、つまり機械仕掛けって事?」
「そうだよ。当然だろ」
「私のは違うわよ」

まろんはそういうと自前のシールドを出して悪魔を吹き飛ばします。

「フィン、やっぱり弱っちいじゃない」

何時のまにかフィンは逃げてしまってました。

「お、まろんもジェネレーター持ってるのか」
「違うよ。これが神様の力なの」
「またかよ。神様なんで居ないっつうの」
「じゃぁ今のはどう説明するの?私の時代にジェネ何とかなんて無いよ?」
「そういやそうだよなぁ」
「ね、きっとメイベルには大切な役目があるんだよ。
 戻ったらアイニスの話をちゃんと聞いてあげて」
「判ったよ。そうする」
「ねぇ、良かったら、一晩くらい泊まっていかない?」
「あ、止めとくわ。私には御先祖様みたいな趣味ないから」
「え゛?」
「じゃ、そういう事でサヨナラっ」

メイベルがそう言うと来た時と同じ光の球体が現れて
彼女を飲み込んで消えてしまいました。文字どおり跡形もなく。

「あれ、何時のまにか夕方になってる。寝ちゃってたのかな?」

部屋の真ん中で、まろんは突然正気に返って呟きました。

「可愛い女の子にフられる夢を見ちゃった。残〜念」

そして晩ご飯の仕度のためにキッチンへと向かいました。

●時を越えて

遥かな未来。桃栗シティ郊外の政府専用施設。
制服姿の男達が数人倒れている中から、かすかなすすり泣きが聞こえます。

「おい、戻ったぜ」
「良かった〜、戻ってきた〜」
「何だよ、また泣いてやがったのかよ」
「だって〜中々戻らないんだもん。向こうで何かあったかと」

アイニスが目を真っ赤にしてメイベルにしがみついてきました。
ちょっとは可愛いかなと思い始めたメイベルでした。

「ねぇ、日下部まろんに会えた?」
「ああ。会った」
「どんな人?」
「お前知らないのかよ?」
「神様に名前聞いただけだもん」
「あっそ。まぁそこそこ美人かな。私程じゃないけど」
「判ったでしょ?メイベルは神の戦士として、
 この世に徘徊する悪魔を封印するのよ」
「悪魔ねぇ。弱っちかったぞ。シールドも破れねぇしよ」
「それはメイベルが選ばれた女の子だからよ」
「バ〜カ。電磁障壁のお陰だよ」
「人間の作った物じゃ悪魔は防げないのよ」
「このジェネレーターはなぁ、都市のサイクルユニットから
 直接エネルギーを供給してんだぞ。あんなもん、一発で…」
「どうしたの?」
「いや、何でもない」

メイベルは過去の世界でジェネレーターが作動した理由を
考えていましたが、何故かは結局判りませんでした。


(番外編・完)


# へっぽこ実験妄想SF編…失敗? ^^;;;

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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