神風・愛の劇場スレッド第46話「二重身」(5/9付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 9 May 2000 16:01:32 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 306
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<8f37c4$okv$1@news01cb.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<8f37c4$okv$1@news01cb.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。
# 某所の水玉模様は、間もなく梅雨時だからでしょうか。^^;
## 埋立地(ですよね)の方は如何でしたか。

で、連休明けちゃったので普通バージョンに戻ってます。(笑)

>> 神風怪盗ジャンヌの世界を壊されたくない人は読まないで下さい。
>> では、ゲームスタート!
です。


>>  わ…割と先の方まで書き上がっているんですね(笑)。

飛び飛びに着手しているので、先の方が書けている割には
明日のことが全く書けてません。^^;;;;;

>> #実はその場の思いつきでころころシリーズ構成が変わっています(自爆)。

はい。(誘爆)
ところで構成といえば本シリーズって始まってから(劇中の時間が)
1週間も経ってない事に今さらながら愕然としています。^^;;;;
その割に人間関係は半年分ぐらい進んでいる雰囲気ですし。(自爆)
# こんなことでは何時までもチェリーの出番が来ない。@_@

>>  ミストは割と不憫な娘なので、消すにしても幸せを上げたいのですが(汗)

佐々木案では割と綺麗な「サヨナラ」だと思います。幸せかどうかは
何とも言いにくいですが、一応TV版への対案っぽくなってますので。
# ですが勿論の事、流れとしてタイミングがよろしければ
# 石崎さんパートで「さよなら」になっても構わないと思ってます。
# その場合は某紙版に「幻のエピソード」と称して載せてくださいませ。(笑)

>>  …と言うわけで、男無しの多角関係シナリオにしてみましたが、如何でしょう
>> か(核爆)。

いい感じです。これでこそ妄想。*^^*
# ふと気付くと、まろんちゃんの奪い合い。(爆)

>>  委員長の設定は実は(本編では疎かだっただけに(笑))密かに拘っている部
>> 分で、委員長は実は色々と深く考えているんですが、実行力が致命的に備わって
>> いないという設定なのです。

成程。キャラの立ち位置としても本来の意味で「適当」ですね。

>>  超えました(笑)。この調子だと、後何話で終わるのか、私にも判らなくなっ
>> て来ました。藤森氏が帰還したら、さぞや驚かれる事は最早確定済みですね
>> (笑))。

いや、まったく。^^;;;;
取りあえず構成という話の延長ですが、話数は脇に置いといて(ぉぃぉ〜ぃ)
ラストに向けてクリアする必要のある「山」はこんな感じでしょうか。(順不同)

・アキコは何時成仏するのか。
・ツグミさんは最後まで独走か。(笑)
・チェリー様来日(学業の都合ですぐには来ない)後の顛末。
・ミスト退場とそこまでの経緯。
・都ちゃんとジャンヌの秘密問題決着。
・フィン問題決着。
・後日談(こういうのはお約束 ^^;)

# ちなみに多少なりとも考えているのは最初の4つまでです。(爆)

>>  もっとも、現在のシリーズ構成(笑)では、弥白は暫く派手な動きはしない筈
>> なので、直接対決(笑)は、少し先でしょうか。

そうなりそうですね、何だか最終兵器同士の睨み合いというか。(笑)

>>  ところで、ツグミさんも誰かに操られているようなのですが、多分佐々木さん
>> はミストを念頭に置かれて書かれているのだと感じたのですが、敢えて当初ツグ
>> ミさんを駒にした堕天使フィンの策謀という風に、今回話を書いてみたのですが、
>> 如何でしたでしょうか(笑)。

毎度ながら(悪い意味で ^^;)適当に動かしたキャラに動機付けの
お手間をお掛けします。石崎さんの擦り合わせの妙技ですわ。
実のところ、昼間のツグミさんは素面(笑)で純粋に自分の興味で
歩き回っているというつもりだったのですが、黒幕が居てもオッケーです。(笑)

>>  アニメでもここまで見たかったな…。

OVAとかで作らないですかね。
# それ以前にTVシリーズをDVDで出して欲しいんですけど。

>> #もちろん、妄想スレッドがこの設定に従う必要は全然ナッシング(笑)。

# もちろん取り込んでもオッケーと。^^;;;;;

## その設定見て、まろんちゃんが死んでエデンに帰るとか
## 人類滅亡で、また1組の男女から再出発とか、
## そういうオチを想像してしまう私って変ですか、やっぱり。(爆)

# で、第45話に関して。

そうですか、ツグミさんにも「印」が。私的にツグミさんは
一番色白(アキコ除く)って事に勝手に決まっているので目立つでしょうね。*^^*
激しい2人。どうやら攻められっぱなしじゃ無いらしい、まろんちゃん。(爆)
それと、ツグミさんが拾ったゴミの中で「在るはずの無い物」に
気付いていただけた様でうれしいです。(当然ですか。失礼しました。^^;)
# 本当は持ち主(落とし主)は別に居たんですが。(笑)
## 神楽の物にした方が結果的に綺麗につながったので良かったです。
「弱い気配が沢山」っていうのはやはりアレがばらまかれたのでしょうか。
それとも別な何かなのか。メールの貼付ファイルだったりして。
どっちにしても学園を舞台にして誰か大暴れと。(違)
# プレハブって温まらないんですよね、隙間の所為で。^^;;;;;
都ちゃんの方の羽根は逢引(死語)の為の通信手段になったりとか。*^^*


# では本編。またまたまたツグミさんの日常みたいになってます。(笑)


★神風・愛の劇場 第46話 「二重身」

●桃栗町の外れ

ツグミが自宅に戻る頃には、もうすっかり暗くなっていました。
見えてはいなくても、その程度の明暗は判りましたから、
遅くなったという実感が確かにあります。でも。
誰も待っていない家、遅くても早くても関係ないのだと
思い至った途端に住み慣れた家が寒々しく感じるのは何故なのでしょうか。
まして直前まで友人と語らっていたのですから尚更です。
そのくせ、用の無い電話の一本を掛ける勇気は湧きませんでした。
こんな時は何かに集中するのが一番の気分転換になります。
そうそう。探せば仕事は色々在るのでした。
先ずは洗濯物をたたみます。ふと思い出して、たたみながら
ボタンの取れた服が在りはしないかと確かめましたが、
どれもきちんと付いていました。

「まずは、第1候補は抹消と」

とは言ったものの、林の中で見付けた時点で自分の物では無かろうという
確信は在ったのです。そして恐らくは、まろんの物でも無いだろうとも。
流石に気持ちが悪いので髪の毛だけは捨てて来ましたが、ボタンと
セロハンはポケットに、そしてガラス片だろうと推測した物は
先ほど帰宅時に塵取で拾って来てあります。それらをジャムの空き瓶に
入れてカラカラと振ってみます。

「ちょっと情報不足…よね」

瓶をテーブルに乗せてから、中断していた洗濯物の片付けを済ませます。
それから頭を切り換えて夕御飯のメニューを考えます。今日の買物の大部分は
週末の為の物で、すぐに手を着けるつもりの物は殆どありません。
冷蔵庫の中身を思い出してみます。やはりロクな物は残っていない感じ。
当然です。その為に買物に出たのですから。気分は兎も角も、
食欲は割と在りましたから、何かしっかりした物を食べたかったのです。
おまけに考えてみると昼も食べたような食べていない様な曖昧な印象。

「え〜と残り物を総動員するとして、タマネギ半分、ハムが多分2枚、
 ミニトマトが半パック、あとは…」

ステンレスのボウルを出してきたツグミ。小麦粉を適当に放り込みます。
ボウルごと持ってみて大体の分量の見当を付けてから、なにやら小さな
箱に入った粉をスプーン1杯足します。それから塩を軽く1掴み分。
それをポットの残りのぬるま湯でこねて生地にしました。
ボウルごとオーブンに放り込み最低の温度で20分。
その間にタマネギをスライス、トマトは半切り、ハムは刻んでしまいます。
時間になったらオーブンから生地を出してきて天板サイズに平らに延ばします。
その上にタマネギ、トマト、ハムをばらまいて、上からマヨネーズを。
今度はオーブンを250℃に設定してから15分焼きます。

「チーズ無し手抜きピザ完成〜」

殆どホットサンドの親戚の様な物でしたが、それなりに満腹になります。
片付けも簡単。食後のお茶だけはちょっと贅沢な気分にするために
ウバにしてみました。その香りを楽しみながら、夕方の、
都と過ごした時の事を考えてみます。勿論出合ったのは偶然でしたが
呼び止めたのにはちょっとした理由がありました。
気になっていた事を確かめたかったのです。
でも違っていました。都の髪の毛は短めだったのですから。
それは身体を動かした時の雰囲気や毛先が衿や肩、背中の何処に触れて
いるのかを聞き分ければ容易に判ります。決定的なのは香り。
明らかに別のメーカーのシャンプーとコンディショナーの組合せです。
そんな事に思いを馳せていると、段々とツグミの頭の中に
都の姿が具体的な人物像として結晶化していきます。
ツグミはこうした想像のひとときが大好きでした。

●枇杷町・山茶花邸

最近疲れやすい様に感じていた弥白でしたから、なるべく早寝をする事を
心掛けていました。ですが、それはそれで極端過ぎるとロクな事には
なりません。夜の夜中にはたと目が覚めてしまい、それきり寝付けなく
なってしまいました。時刻は深夜2時半。元より静かな一帯に建つ屋敷です。
ましてや冬の夜ですから生き物の気配すら感じません。
耳の奥がジィーと鳴り続けている様な気がします。

「失敗ですわね」

自分の声が聞こえていた間だけ、耳の奥の雑音が消えていました。
起き上がるとガウンを羽織って窓の側まで行ってみました。
ぽたっ。
ぽたっ。
カーテンの向こう側で何かの音がします。
昨夜の事を思いだしかけて、それを打ち消す弥白。
すこしためらってからカーテンを引き開けました。
窓の格子にそって溜まった結露の水が窓枠に向かって落ちて行くのが
月灯りの下に見えています。
ふふ。
自らの臆病さ加減に零れる微笑。そして顔を上げた先に見えたのは…。

●日下部家にて

灯りの落ちたリビングにぼんやりと浮かぶ姿があります。
人の様でありながらも翼を具えた後ろ姿が。テーブルに片肘をついて
もう片方の手ではテーブルをとんとん叩いています。
ただし、音がしにくい様に爪は立てずに指の腹の側で。

「呼んだか?」

フィンが振り向くとリビングの奥、隣室との間の壁からミストが
半分だけ、まるで壁から生えている様に飛び出してこちらを見ています。
フィンは身体は廻さずに顔だけ向けた状態で訊きました。

「あんた、また手出ししたわね」
「何の話か判らんな」

ミストはまるで表情が動かず、とぼけているのか
本当に心当たりが無いのか伺い知れません。

「昨夜と同じことをまたやったでしょうって言ってるのよ」
「生憎と…」

壁から残りの半身が抜け出してミストの全身が露になります。
足は床には着いては居ませんでしたが。そして話を続けます。

「今宵は寒かったからなぁ、アキコが震えるのでずっと部屋に居た」
「部屋って何処の事なの?」
「此に居るとお前が怒るからな、下の空き部屋に住んでいる」
「あんた達に雨露なんて関係ないでしょ」
「私の勝手だ」

肱を組んでいるミストは、その時だけ人指し指を立てて見せました。

「その調子でひょいひょいこっちの駒に触らないで欲しいんだけど」
「相変わらずくどい天使だね。知らぬといったら知らぬ」
「じゃ、さっき現れたのは何よ」
「何が出たって?」

ミストが怪訝そうな表情を見せ、フィンは椅子を立つとミストに
向かって座り直します。

「ツグミよ、まろんの枕許に立ったわ。一瞬だけど」
「犬娘か。あれは意外な反応だったな」
「やっぱり、あんたの仕業ね」
「私は昨夜の話をしているのだ」
「昨夜?」
「そうだ、確かに昨夜はあの娘を拝借した。ちょっと躾の都合でな」
「今夜もやった訳?」
「最後まで話を聞け。元々私の所の "お嬢様" にはあの場で…
 と言ってもお前には判らんか。昨夜まろんが泊まってた犬娘の家だが、
 そこで軽く脅かしてやるだけのつもりだった。ところがだ。
 面白い事に私の術が終わった後にも犬娘はお嬢様の前に現れた」
「ツグミの記憶にも在ったわね。精神感応?」
「いや、半物質化状態だが実際に犬娘はお嬢様の家まで行っている様だ」
「それって二重身じゃないの」
「そうだな、高度な技だ。尤も人間では半身にしか意識が伴わないが」
「なんでツグミにそんな事が出来るのよ」

腰を浮かせかけているフィン。
ミストは何時の間にか座った姿勢に変わっています。

「そこまで私が知るか。だが…」
「?」
「多分お前の息のかかった駒に私の術が被ったので
 何らかの副作用として現れたのだろうな。しかしながら
 今夜も出ているのか。お前もその後で何かしただろう?
 ならばこの現象は続くかも知れぬ」
「だとしても、もうあんたには関係ないわね」
「その通りだ、関係ない。最初からそう言ってる」
「用は済んだわ、帰りなさいよ」
「面白い駒が居て楽しそうだな」
「あんたの玩具ほどじゃないわ」
「あれは可愛いだけさ」

ミストは薄ら笑いを浮かべながら、今度は床に向かって
落ちるように消えていきました。

●また桃栗町の外れ

いつもより若干遅く目覚めたツグミ。
普段ならばイカロスが起こしてくれるのですが。
ベッドの上で起き上がるでもなく、霞んでいく夢をつなぎ留めようと
一所懸命に思いだそうとします。しかし最早断片しか浮かんでは来ませんでした。
また、あの見知らぬ少女に会った気がします。それから。

「日下部さんにも逢えたから、ま、いいか」

そう呟くと勢い良く布団から飛び出したツグミでした。


(第46話・完)


# ツグミさんの不思議体験に理由を捏造したら
# かえってツグミさんが特殊な人材になってしまった気がする今日この頃。^^;;;

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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