神風・愛の劇場スレッド 第86話 『完全解』(10/27付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 27 Oct 2000 11:57:35 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 431
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References: <8rtcvv$8n1$1@news01bf.so-net.ne.jp>
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<8sof30$pc9@infonex.infonex.co.jp>
<8strha$b0r$1@news01bc.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<8strha$b0r$1@news01bc.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
>>  その手のが嫌いな人は、読まないで下さいね。
という訳で。


>> #ちなみに本編で出ていたツグミさんの部屋のベットは、二人で寝るには狭そう
>> です(爆)。

みっちゃくするなら丁度良いという事ですね。(誘爆)

>>  ちなみにツグミさんの母親の職業も文字に関係あるのにしようかと。

ちなみにツグミさんの父上の今の奥さんは看護婦です。職場で釣った。(笑)

>>  ちなみにすっぽんぽんとは限りません(笑)。

やっぱりお約束としては大きめのシャツ1枚のみという辺りが。(爆)

>>  実は最初、首輪に点字のテープが貼ってあった事にしようかと思ったのですが、
>> 都ちゃんが気付かない筈ないし、気付いたらそれでほぼ本物と断定されてしまう
>> ので、没と相成りました。

実は首輪の飾りとして付いている鋲が所々抜いてあって、残っている部分が
点字として読めるという飼い主以外は気付かない印が…なんていうネタを
思い付いていたのですがそれだと偽物にならないのでボツとなりました。^^;

>> >★神風・愛の劇場 第84話 『冬の蛍』(前編)

>>  最後のFollowup-to:云々の件は、NetNewsを読んでいる人なら笑えるけど、某
>> 所でこのスレッドを読んでいる人には何の事だか判らないのかも(笑)。

そこで興味をもって頂ければ、ニュース講読者人口の増加に貢献。^^;

>>  都ちゃんがお化けが怖いというのは、アニメオリジナルでしかも、アニメ第2
>> 5話でしか出ていない設定なのですが、ここでその設定を出してきましたか。合

個人的に印象が強めだったエピソードなので、ぜひネタを使いたかったのです。
# 細部の確認の為に某所のデータの力を借りました。

>>  実は私は半分忘れていて、そう言えばミストを「見て」しまった時に、もっと
>> 驚かせるんだったなと後悔したり。

私的設定では都ちゃんは幽霊以外ではあんまり驚かない事になってます。
幽霊(魂)の中途半端な存在感が怖いという事で。
# 某、短冊収集少女と同じです。
# 変な形で霊感のスイッチがオンになっている。(笑)

>>  今回のミストは、恐らく暗示にかかった稚空を誘惑した、都に乗り移った時の
>> 姿なのかな。この姿で現れたのは、絶対わざとだ(笑)。

確かに、わざとです。^^;
ミストはアキコと一緒に出歩いてる時は世代を合わせているのですが、
一番最近化けた同世代の姿がアレだったので。

>> #ちなみに今回のアクセスってサイズは大小どっちだったんだろう。
>> #どっちも可能なので。

一応、"小"を念頭に置いてます。パワーセーブモード。(笑)

>>  パワーアップしたのか、変身せずに戦う稚空。
>>  実体化悪魔ですので、かなり派手なバトルだった筈ですが、アニメと違ってパ
>> ワーアップしたアクセスの力故なのか。

ミストの姿の話題からなるべく遠ざかりたかった男共が奮起した結果。^^;

>>  そしてそして都ちゃんは見てはいけない物を見てしまった模様。
>>  顔は見ていたのかな? それと犬はどうなっていたのだろう?

イカロスが見える可能性は別にして、最初に1人見えてしまった時点で
都ちゃんは思考停止していますからその足元は目に入っていません。
この段階ではアキコの方も見せようとも見せまいとも思っていないので
人間らしき形としか判別できなかったはずです。

>>  委員長は姿を見る事が出来なかったようですが、それはミストを「見て」しま
>> った都ちゃんの体質の問題かミストが言っていたようにアキコに問題があるのか。

委員長が見てないのは純粋に背中を向けていたからです。
すぐ廃墟に入ってしまいましたから。ですから比重としては
アキコの方に見えた理由の大半があります。
それ故に複数の一般人にも目撃されてしまっている訳でして。

>> ★神風・愛の劇場 第85話『団欒』

留守中に勝手に押しかけている迷惑な知り合いという奴ですね。(笑)
やはり本質的には普通の食卓を誰かと一緒に囲むのが好きらしいフィン。
そう言えばここしばらくはマトモな食事にありついて居なかったのかも。^^;

何やらノインは突っ込まれていましたが、単なる魂の解放よりも
一歩踏み込んだ野望がある様子ですね。それは男としては健全。(ぉぃぉぃ)
やはり触れる身体が無いと不便な事が多数ありますから。(爆)
フィンの言う所のポイントは愛情の押売になってやしないかという点なのかな。
それは魔王様の今の情況を呼び込んだ理由でもあり、
またその所為で上手くいってない人々があっちこちに居る事でもありますし。
結局、"相手がどう願っているか"の前に"自分が何をしてあげたいか"が
来ていると駄目だって事でありましょう。

それにしても、自分の家にも連れ込んでいるんですねぇ聖センセ。**^^**

作った料理(の様な物を含む ^^;)を誰かで実験したいという気持ちは
よ〜く判ります。やはり客観的意見がないと上達しないですから。(笑)
フィンの人間食の嗜好はやはりと言いますか必然的といいますか、
まろんちゃんの影響が極大の様子ですね。無意識に求めてしまうのかも。
# ちなみに私も林檎と蜂蜜カレーは中辛以下のグレードが好きです。
# 辛いのが苦手な訳ではなくて、アレの辛口は個性が辛さに紛れてしまうので。
# 更に味の調整は醤油というのも私と同じ。親近感増大。^^;
## 味が薄い時しか使いませんけどね、醤油。

# では、いきます。

★神風・愛の劇場 第86話 『完全解』

●枇杷町 山茶花邸

朝早くから来客を迎えた弥白。まだ少し眠気が残っていましたが
そんな事を相手に感じさせない嬉しそうな顔をしています。

「悪いな、朝早くから」
「いいえ、構いませんわよ」
「あれさ、一応警察からの借り物だし。昨日は聞かれなかったが、
 いくらなんでも今日は都に返さないと」

昨日、弥白がちょっと調べたいと言った為に、謎の犬の首輪を預けた稚空。
それを受け取る為に弥白の許を訪れていたのです。

「判ってます。もう戻ってきていますから」
「戻って?」

稚空をソファに座るように促してから、弥白は自分の机の上に乗せてあった
灰色の薄いファイルを手に取って稚空の向かいに腰を下ろします。

「どうぞご覧になって」

弥白が差し出したファイルを受け取る稚空。
表紙には山茶花グループの紋章と英語標記の名称が小さく載っています。

「何だこれ」
「グループ企業の研究部門を集めて最近独立法人になった所ですわ」
「それが何で首輪に関係するんだ?」
「見た目では判らない事が無いかと思いましたの」
「ん?」
「いくら警察でも刑事事件でなければ科学捜査研究所は動きませんでしょ?」
「だろうな。で、代わりに弥白が調べさせたのか」
「はい」

ファイルの表紙から顔を上げた稚空がぼそりと言います。

「…そんなに暇なのか?」
「単なる好奇心ですわ」

ぱらぱらと頁を繰る稚空。何だかんだと言いながらも、
興味はファイルの内容の方に移っている様子です。
一通り最後まで目を通した稚空は最初の頁に戻ると、開いたままの
ファイルをテーブルの上に載せて弥白を手招きしました。
隣に来て一緒に見る様に言っている事に気付いた時、
弥白ははっきりと鼓動が高鳴るのを感じていました。

「殆ど数字ばかりで良く判らないな」

そんな弥白の気持ちにはお構い無しに質問する稚空。
努めて冷静に弥白は答える事にしました。

「これは表面に着けてあった塗料の分析結果ですわ。
 最初が化合物レベルの成分で次の頁が元素毎の含有量になってますの」

弥白は稚空の身体に擦り寄ると手を伸ばして頁をめくりました。

「何かおかしな事でもあるのか?」

稚空が弥白の顔を見ながら言います。

「比較になるデータの知識が無いから俺には判らないんだが」

すぐ目の前にある稚空の顔にどぎまぎしつつ、弥白が答えます。

「首輪の裏に製造業者名がありましたから、同じものを取り寄せて
 一緒に調べましたの。その次に続く2頁と比べてくださいな」

弥白はファイルから4枚の報告を引き抜くとテーブルに並べます。

「ちょっと違うのはこの辺か…」

稚空が指差したのは元素含有量の数値です。幾つかの元素が、
弥白が後から入手したと言った方にのみ含まれています。

「これらの元素は塗料の溶剤由来の物ですわ。それが例の首輪には
 全然含まれていないという事です」
「古いから揮発したんだろう」
「それは揮発した結果として残る成分なんです」
「どういう事だ?」
「あの首輪の表側の色は塗らずに着けたという事になりますわね」
「何だそりゃ?」
「さぁ、どういう理由かはさっぱり…」

しばらく考え込んでいた稚空ですが、何も思い浮かばないのか、
黙って残りの頁へと視線を戻しました。

「こっちのは何のデータなんだ?」
「皮の、つまり首輪の素材を同じように分析した結果です」

やはり同じように弥白が入手した方にだけ幾つかの元素が
余計に含まれている様子です。

「同じような傾向なんだな」
「そうですわね」
「差は何だろう。皮に塗料は関係無いよな」
「これは私も判らないので聞いて見ましたの」
「その研究所の人間にか?」
「ええ。多分という前置き付きでしたが、農薬の成分ではないかと」
「農薬?」
「つまりこの皮、牛の皮ですけれど、この牛が飼われていた時に
 食べた牧草か何かに付いていた農薬が皮下に蓄積した結果だろうと」
「成程」

稚空は証拠品の方のデータを指差して言いました。

「こっちの牛からは出ないのか、その成分」
「随分と健康的な暮らしをしていた牛らしいですわ」

冗談のつもりなのか本音なのか判らなかったので、
稚空はただ肩をすくめて見せただけでした。
弥白はそれに合わせるように首を傾げましたので、
別に冗談では無かった様です。

「後は写真か。これ、電子顕微鏡だな」
「流石ですわね」

ファイルから稚空が引き抜いた白黒写真は、隅に小さな数字が
入っている他は網目の様な物が全体を埋めつくしています。

「ちょっとまてよ。これ撮ったって事はサンプル切り取ったのか?」

稚空が少し大きな声を出したので、弥白は首をすくめて
見上げるような目つきになりました。まるで何かを哀願する様に。

「大丈夫ですわ。ほんの少しですから」
「まったく…」

呆れた様に呟く稚空。そして2枚の写真を先程の様にテーブルに並べます。
片方に写っている網目模様に比べて、一方の模様が不規則なのが明白でした。
その不規則な模様の方を指差して稚空が言います。

「こっちが弥白の手に入れた方だな」
「ええ、その通り」
「この格子状に見えているのは皮下組織の細胞か?」
「そうですわ」
「こっちがやたら綺麗に揃っているのはどういう訳だろう」
「それも専門家に聞いてみました」
「何て言っていた?」
「培養された皮膚組織じゃないかって事でしたけれど」
「おいおい」
「普通に育った皮膚なら、こんなに揃わないそうですわ」

黙り込んでしまった稚空。弥白にも、知らされた事実から何かを
導き出す事は出来なかったとみえて、何も言おうとはしません。

「培養細胞で作った首輪、塗らずに着いた色」
「分析結果からはそうとしか言えない代物ですわね」
「この世に存在する事が有り得ない物」
「ちょっと出所の想像がつきませんわ」

稚空が身体をぐいっと弥白に向けて言います。

「もし、仮に」
「はい?」
「こんな物を作ってくれと弥白に言ったら作れるか?」

しばらく考え込んでしまう弥白でしたが、ふと顔を上げて答えました。

「それは…山茶花グループの技術を集めれば多分…何とか」
「どうやって?」
「やはり組織培養でしょうね。無農薬環境で育った牛から皮下組織を
 取り出して培養すれば細胞レベルで揃った皮バンドが出来るでしょう」
「色は?」
「静電蒸着塗装で何とか」
「そうか、出来るんだな」
「でも…」

稚空が納得しそうになっている事に水を注すのが心苦しいのか、
言いにくそうに続ける弥白です。

「お金が掛かりますわよ」
「どのくらいだ?」
「1つだけなら数百万円という所でしょうか」
「沢山作ったらどうだ」
「量産するなら初期投資に数億。
 でも割高な商品になるでしょうから売れませんわ」
「だが、現にここにこれは在るぜ」
「それは…」

本当に困ってしまう事実でした。俯いてしまった弥白に
稚空が顔を近付けて来て囁きます。

「作ろうと思えば作れる。そうだろ?」
「ええ」

耳にかかる稚空の吐息に身体が熱くなるのが弥白には分かります。

「金が掛かるって言っても弥白には出来るよな?」
「はい…」

稚空の声が弥白の頭の中を駆け巡り、眩暈を起こしそうです。

「それなら別に珍しい物じゃない。な?」
「珍しくありませんわ」

ソファに座っているはずなのに宙に浮いている様な気分です。

「ごく普通の首輪って事だ」
「そう、ごく普通の首輪…」

勇気を出して顔を向けると、稚空が微笑んでいました。



「おい、どうした弥白?」

稚空の声で弥白は、はっとなり前を見ました。
向かい側のソファに稚空が座っています。

「稚空さん…」
「何だよ、まだ眠いのか?もうすぐ昼なのに」
「え?」

弥白が時計を見ると確かにまもなく昼時という時間でした。

「それより、あれ返してくれ」
「あれ…」
「首輪だよ、犬の。弥白が調べたいって言うから昨日置いて行ったろ」
「ああ、そうでしたわね」

弥白は自分の机の上に置いてあったビニールの袋を持ってくると
稚空に返しました。

「で、どうだったんだ?」
「はい?」
「調べたんだろ。山茶花グループの研究所か何処かで」
「あ…」

弥白は机に取って返すと灰色のファイルを取り上げて中を見ました。
すると脳裏に稚空の笑顔が浮かびます。
そして稚空の声が聞こえました。

「何か分かったのか?」
「…それが何も」
「そうか。どう見ても、ごく普通の首輪だしなぁ」
「ええ、ごく普通の首輪ですわ…」

弥白はそう応えながら、ファイルを机の脇の裁断機に放り込みました。

●桃栗町郊外 聖の家

ほんの微かに空気が揺れて、食卓を囲んでいた聖は手を止めます。
部屋の一画が歪んで見えたかと思うと、いきなりその姿が現れました。

「食事中なのですが」
「何時も自分の都合で勝手に現れるのはお前の方だ」

テーブル脇に立ち、腕組みしているミストが言いました。
その声に気付いて、口に運ぼうとしていたスプーンを落としてしまうシルク。

「わっ!」

シルクに目をやると、ミストは冷たく言い放ちます。

「ドジめ」

服に着いた黄色い染みを気にしながら、シルクが尋ねます。

「あのぅ、どちら様でしょう…」
「馬鹿者」

ミストはそれだけ言うと聖に顔を向けて用件を切り出します。

「誤魔化して来てやったぞ」
「お手数を掛けましたね」
「面倒臭い事だ。用済なのだから消してしまえば良かろうに」
「有ったものが無くなるとかえって騒ぎになりますし、
 私が処置しても構わないのですが、それは貴女がお嫌でしょうから」
「当たり前だ。だがこれは"貸し"だからな」
「承知」

用が済んだミストが背中を向けると、シルクが言いました。

「あのぅ、お客様でしたら、折角ですからお昼御飯食べて行きませんか?」

ミストが振り向いて言います。

「昼飯だと?」
「はい。一晩経っているので美味しいです」

シルクは鍋の蓋を持ち上げて、ねっとりしたカレーを見せました。

「私は人間界の物なぞ食わん」

ミストは吐き棄てる様に言うと来た時と同じく、唐突に消えてしまいました。
しばらくミストが消えた辺りを見ていたシルクが尋ねます。

「ノイン様、あれはどなたでしょう?」

聖はゆっくりと聞き返します。

「誰だと思ったのです?」
「人間じゃ無い事しか判らないです」

聖は少し感心してシルクを見詰めました。

「良く人間じゃ無いと判りましたね。感じられましたか」
「人間は出たり消えたりしないです」
「…確かに」

感心した自分が愚かだったと自己嫌悪に陥る聖なのでした。

(第86話・完)

# 最近の一連の出来事にひと区切り着けてみました。^^;

では、また。

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