3章 沈黙の世界 
   9 エコーロケーションのいろいろな使い道

 エコーロケーションと言えば、採餌のためというのが普通ですが、その他の使い道はないのでしょうか。たとえばねぐらとエサ場の往復はどうやっているのでしょうか。渡りをするコウモリの場合、進路はどうやって決めているのでしょうか。

 超音波は減衰しやすいため、遠くまで届きません。しかし目隠ししたコウモリの帰巣実験によれば、ちゃんとねぐらに帰ることができるのでエコーロケーションはナビゲーションの役割も果たしているようです。往復の道の様子を調べながら飛んでいるのでしょうかね。そういえば、夕暮れ時に採餌場に向かうのか、上空を一直線に通過するコウモリにバットディテクターを向けてみると、超音波が入ってきますね。

 一方小コウモリの採餌はエコーロケーションだけによるわけではありません。(これは種によると思いますが)キリギリスの声やカエルの声(カエルクイコウモリというのがいる)がわかるコウモリもいますし、肉食のコウモリはフクロウのように獲物のたてる音をたよりにしているものも多いようです。肉食のコウモリにとって視覚もかなり重
要なようです。とくに月の明るい夜などは。

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