さて、自分でテントをつくっちゃうコウモリもいます。といっても、「やっぱりモンベルのムーンライトがいい」なんて話ではなくて、葉を細工してテント状の隠れ家をつくってねぐらにするコウモリが、17種報告されています。バナナやヘリコニアのような大きな広い葉の葉脈を、真ん中の中央脈に沿って噛んでいくと、葉の両側が下向きに垂れ下がって畳んだようになり、この下に隠れることができます。白いふわふわした小さなシロヘラコウモリが葉の裏に何頭も並んで固まっている姿は、なかなかかわいらしいです。
普通は大きな一枚の葉のテントですが、その名もテントコウモリ(英名はPeter's
tent-making bat)というのは、ハマベブドウCoccoloba
manzanillensisという木の直立した幹についた葉の葉柄を、下から順番に噛んでいって、下向きに垂れ下がるようにして、6枚から14枚の葉が重なってパラソルのような形になった中に棲みます。(論文の著者はアメリカインディアンのtepeeという円錐状のテントのようだと表現しています)
大きな1枚の葉を噛んで下を向くようにしたテントは、いろいろなコウモリ本で写真を見ますが、14枚でテントをつくるってどんなんだろうという興味から、元論文を、探してみました。植物の写真と、コウモリが造ったテント(下の図がその断面図のつもり)や噛んだ跡の写真と、コウモリが入っている想像図(これだけ絵だった)が載ってて、楽しかったです。
J.C.CHOE 1997 Ingenious design of tent roosts
by Peters's tent-making bat,
_Uroderma bilobatum_ Journal of Natural History,28,731-737
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/‖\
/ ‖ \ ←垂直な幹の葉っぱが次々垂れ下がって360
‖ 度重なってパラソル状になっている
‖
‖ ←木の幹
この傘の下に1−2頭のテントコウモリがぶらさがってねぐらにします。
そういばアメリカでTepeeを見ました。たしかにこんな形だった