068 マハリク・マハリタ 松本 日本
松本市北深志の住宅街。1994年6月27日、オウム真理教の信者が化学兵器として使用される神経ガスのサリンを散布した場所。この宗教テロにより8人が死亡、270人以上の人が被害を訴えて病院に駆け込んだ。実行犯達はこの空地にサリンを載せたクルマを停めた。発生当時はこれがオウム真理教のテロだとは誰もわからなかった、翌日には長野県衛生公害研究所(当時)がサリンを検出し、事件と判明するものの、あまりに特殊な薬物のため根拠に乏しい情報が錯綜。深刻な二次被害が引き起こされることになる。
現場は国宝松本城の北側、地方都市の古く閑静な住宅街。なぜこのような場所でサリンを撒いたのか。それはクルマを停めた空地の東隣にある長野地裁松本支部の官舎を狙ったからだった。当時、オウム真理教は松本市に支部道場を開設していたが、地元民の反対を押切り強行して建設したため裁判となり係争中だった。松本サリン事件はその裁判官を狙っての犯行。宗教による洗脳は恐ろしい。
オウム真理教松本支部道場があった松本市芳川野溝。現在は駐車場となり周囲に住宅やマンションが建つが、当時は一面の水田。手前に見える側溝脇はあぜ道の跡。地元の人々は頭部にヘッドキアを付けた信者の出入りを目撃したり、自治会役員は旧上九一色村の施設を視察するなどもしていて、教団の異様さは認識していたものの、松本サリン事件の犯人がオウム真理教であるとは発生時点では考えなかったという。経緯からして野溝地区が狙われた可能性もあった。教団の犯行と判明したときの恐怖はいかばかりかと想像される。
松本サリン事件の第一通報者、河野義行さんのお宅。サリンが噴霧された空地の北側にある。河野さんは奥様が事件で意識不明で亡くなるまで寝たきりなるという被害者でありながら、警察やメディアに冤罪を問われた。警察が家宅捜索に入ったことでメディアが暴走、深刻な報道被害を受けることになった。この報道を反省し新聞記者の職を辞し、事件の担当弁護士の知己も得て弁護士に転身した方もいる一方、無口な河野さんに機関銃のように疑惑追及の質問を浴びせ、河野さんに「そういうふうにおっしゃって決めつけるんですね」と返されたニュースキャスターもいる。このニュースキャスターは「坂本弁護士がオウム真理教を批判する内容のビデオ」をスタッフが放送前にオウム真理教幹部に見せたという問題を隠蔽したことでも知られる。放送前に報道案件の取材ソースを外部の者に見せる行為はメディア倫理上、おおきな問題を孕むだけなく、その後、坂本弁護士一家がオウム真理教によって殺害された経緯を思うと、その道義的な責任は重い。ところがなんとそのニュースキャスター、現在は長野選挙区選出の参議院議員となっている。有権者の見識が問われる。
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