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◎一般的な曹洞宗寺院で行われる年間行持
修正会(元日〜正月三日)
元旦から三日まで、お寺では大般若会が行なわれ、檀信徒の幸せと家庭繁栄、国家安全、世界平和などが祈念されます。大般若会では、僧侶の前に高く積まれた大般若という経本が次々と読誦されますが、これは大般若転読ともいい、修正会で行なわれるほか、祈祷寺院では大祭のときにも行なわれます。
家庭では、元旦から三日まで早起きをして、若水をくんで仏前にお供えし、この一年の家内安全を祈願するとともに、みずからの行ないも正しかれと心に誓う新年の行事です。
仏壇は年末のうちにきれいに掃除をすませ、花や鏡餅をお供えします。元日には、若水、お茶、ご飯 (雑煮でもいい)などをお供えし、家族そろってお参りしましょう。ローソクに火をつけ、線香をともし、お経(般若心経、修証義など)をあげて、報恩感謝とわが家の繁栄を祈ります。家族そろって仏壇に新年のお参りをすませたら、菩提寺とお墓へお参りに行きます。
年賀とお年玉を持参し、お寺に新年のあいさつをします。また、お墓にもお参りして、先祖へ新年のあいさつをします。
涅槃会(二月十五日)
二月十五日は、釈尊(お釈迦さま)の入滅された日です。釈尊が八十歳で亡くなられた日、多くの弟子、王族、老若男女、さらに鳥獣さえも集まり、嘆き悲しみました。そのとき、サーラの樹には白い花が咲き、悼みの花びらを次々と降らせたといわれています。この日、お寺ではこの情景を描いた涅槃図をかかげて、釈尊を偲ぶ行事が行なわれます。
涅槃会にちなんで、地方のお寺や家庭では涅槃団子を作って供養し、その団子を食べると無病息災で過ごせるとして、盛大に行なうところもあります。
彼岸会(三月・九月)
三月の春分の日と九月の秋分の日を中心とする前後一週間に、先祖供養を行なう大切な仏教行事です。お彼岸の前日には、仏壇の掃除はもちろん、仏具などもきれいに磨いておき、花も新しいものと取り替えます。花は樒が一般的で、それに季節の花をさしてもかまいません。
彼岸の人りの日には、仏壇に団子をピラミッド型に積んだものを一対お供えします。また、中日にはおはぎやぼた餅を、明けの日には再び団子を供えます。彼岸のあいだは、毎日、霊供膳をお供えし、お菓子や果物も供えましょう。
菩提寺へは、お菓子、果物、餅などを持参して、ご本尊や先祖にお供えしてお参りします。遠方でとかくごぶさたしがちの人は、ぜひ彼岸中に菩提寺やお墓にお参りするようにしたいものです。また、近所や親戚などへ手作りのおはぎやぼた餅を益し上げるのも、お彼岸にふさわしい心の温かさを感じさせるいい習慣です。
花まつり(四月八日)
花まつりは灌仏会ともいい、釈尊の誕生を祝うとともに、釈尊の正しい教えを信じるという仏教徒の自覚を確かめる大切な意義をもっています。お寺では、花御堂をかざり天地を指さした誕生仏を安置し、それに甘茶をかけてお祝いします。この花まつりは、お守だけの行事だけではなく、一般の行事として幼稚園などでも盛んに行なわれています。
お盆・盂蘭盆会(七月・八月)
お盆の供養には、「仏を敬う」「先祖を尊ぶ」といった先祖や亡くなった人への供養と、すべての人や物に感謝するといった供養のニつがあります。
お盆とは、正式には孟蘭盆会といいますが、この孟蘭盆とは梵語(サンスクリット語)のウランバナに由来します。ウランバナとは“逆さに吊るされる苦しみ”という意味で、そのいわれを『仏説盂蘭盆経』には、お釈迦さまの直弟子の一人である目連尊者の亡くなられた母親の供養法会として伝えられています。
つまり、供養法会によって、逆さまに吊るされる苦しみを受けていた目連尊者の母親の苦しみを消したことから、私たちの供養のまことをささげることによって先祖を救うことができるという、その供養の行事がお盆の由来になったといわれています。もう一つは、この供養によって、いま生きている父母の寿命をいつまでも延ばし、一切の苦悩を除くということです。
このように、お盆は先祖や亡き人の霊を迎え、ていねいにもてなし、父母の長寿を願い、ともに祈る供養の行事なのです。それには、家のすみずみまで清め、身をととのえてお客さまに接するように、先祖の霊を迎えることです。その行事には、次のようなものがあります。
門火(迎え火) 十三日の夜に、玄関先でオガラや松明などをたくことで、亡き人や先祖を迎え入れる目印ですから、しっかりとたきましょう。
精霊送り(送り火) だいたい十五日か十六日に行ないます。昔は、川原でオガラをたいたり、送り舟といって、供物をのせた舟を川や海に流しましたが、最近では汚染などの問題もあり、お寺など決まった場所におさめることが多いようです。迎えるときと同じように、大切にお送りしましょう。
盆棚(精霊棚) 先祖をお迎えするために、位牌を安置し、供物などを供えた特別の棚を設けますが、これを盆棚とか先祖棚、魂棚と呼んでいます。棚を作らないところでは、仏壇を整えてお迎えします。菩提寺のご住職や僧侶に来ていただいて供養のお経を唱えていただくことを棚経といいます。
盆棚を設ける日は、たいてい十三日の朝ですが、新盆のところでは一日から七日までに設けて、とくに念入りに作るようです。盆の中日の十四日にはソーメン、十五日にはぼた餅などの変わりものと、水の子といって生米と生ナスをさいの目に切ったものを蓮や桐の葉に盛ってお供えします。十六日になると、先祖は牛にのり、馬に荷物を背負わせて帰られるということから、ナスとキュウリの牛馬が供えられます。
地方によって、棚の四角に青杉や青竹を立てるのは、正月の松飾りと同じ風習です。
ともかく、先祖の好きなものと、伝統につちかわれた供えものをあげ、親しく先祖をお迎えし、ていねいな供養をして帰っていただきましょう。
施食会 祖先、父母、親類、縁者の精霊、または無縁の精霊に供養し、餓鬼道の苦しみから救うために、各寺院でつとめられる行事が施食会です。これは、飢えたものに供養するという浄行を積むことにより、それがそのまま先祖供養にもなるという、いま生きている私たちができる善行でもあります。ぜひ、お寺にお参りして供養するようにしましょう。
両祖忌(九月二十九日)
曹洞宗を開かれた道元禅師と、曹洞宗発展の礎を築かれた瑩山禅師のニ人を両祖といい、曹洞宗の檀信徒にとっては信仰上の父母にあたるといっていいでしょう。道元禅師は建長五年八月二十八日に五十四歳で、瑩山禅師は正中二年八月十五日に五十八歳で亡くなられましたが、太陽暦でみると、いずれも九月二十九日にあたるところから、この日を両祖忌と呼び、全国の寺院では檀信徒の人たちとともに法要を営み、報恩のまことをささげます。
達磨忌(十月五日)
十月五日は有名な達磨大師の命日です。達磨大師はインドから中国に渡り、禅宗の礎を築かれた人で、曹洞宗が今日あるのも達磨大師あってのことなのです。言い伝えでは、達磨大師は百五十歳まで生きたといわれています。曹洞宗の寺院では、常日頃、達磨大師の絵像や像を安置して供養していますが、この日はとくに坐禅会などを開いて、その教えを学びます。
成道会(十二月八日)
十二月八日は、釈尊が悟りを開かれた尊い日です。釈尊は長いあいだの難行苦行の末、菩提樹の下で坐禅の行にはいられました。そして、十二月八日の未明に悟りを開かれ、凡夫から仏になられて人類に救いの光明をもたらされたのです。曹洞宗では、この日を成道会として、報恩の法要を営んだり坐禅をしたりします。檀信徒は、お寺へお参りし、仏の尊い徳を讃え、信仰の道に精進するようにしたいものです。