地図のない町



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神奈川県 川崎市 川崎区 池上町

不法占拠地帯を紹介するなら池上町は外せない。マップリンクに映る首都高やJR高架の南側の一帯がすべて不法占拠地帯だ。地主JFEスチール(旧・日本鋼管)。戦前戦中に日本鋼管で働いていた朝鮮人労働者が戦後そのまま住み着いてしまった場所だという。その頃の様子は日活映画「地図のない町(中平康監督1960年)で観ることができる。JFEスチールは不法占拠としつつも住民の生活権を奪うことはできず、リンク画像のように退去した場所を順次管理していく対応をしてきた。かつては韓国人宣教師が間に入り、土地の払下げなどの交渉も行われたようだが、鋼管側は個別の交渉を拒否し、住民の意見もまとまらず進展せず、宣教師の死後は動きの無いまま現在に至ってるという。もともと日本鋼管の敷地のため番地がひとつしかなく、行政による区画整備や道路管理もされない中、建築基準法を満たさない違法建築物が乱立。また、空き家が出ると別の住民が荷物を置いて土地を確保したり、知らぬ間に空き家に住む人が現れることもあるそうだ。それでいて土地の固定資産税はすべてJFEスチールが払っているというのだから終戦直後の社会が如何に滅茶苦茶だったかがよくわかる。こうした土地は不法占拠した人が高齢化し亡くなったりすると、本来の所有者による管理が復活するものだが何もせず無法地帯となりゃ延々この状態が続くことになる。令和の日本社会の常識からすると考えられない実態だ。


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