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日本民営化の行方

改革なくして成長なし」これが日本の常識になって久しい。国の借金が730兆円もあるのだ。何らか改革をしなければいずれ断末魔の叫びを聞くことになるのだろう。・・・と思うようになってからもずいぶん経つ。2000年頃の気分では、今頃はもう私のように仕事のできないダメなサラリーマンは失業し、僅かな銀行預金は紙切れ同然となり、一杯のかけそばを家族4人で有難く食うような生活をしている予定だった。あれから5年、小泉構造改革は掛け声はともかく実質的には一向に進んでいないのだが、とりあえず低所得者層の我家でも蕎麦屋に行けば大盛りそばやら冷やしたぬそばなどをひとり一品づつそれぞれ好きなものを未だにたらふく食べさせてもらっている。まったく有り難いことだ。天皇陛下に感謝しなければいけない。さて、進まぬ構造改革といえば郵政民営化法案も抵抗勢力の反対にあい廃案となってしまった。小泉首相のマジ切れぶりに、このまま行ったら2010年代には「かけそば暮らし」になるだろうと心配する人々は喝采し、綿貫さんや亀井チャンが右往左往しているのを楽しんでいるようにも見える。もっと品が無い連中は今まで身分が安定し潰れる心配のない職場で働いていた郵政公務員(現在は公社職員)の皆さんが人並みの世間の辛さを味わって苦労するのではないかと喜んでいる。まったくイヤな世の中だ。ところで、そんな政治のドタバタをよそに日本の景気がなぜかこのところ踊り場を脱し始めているのが面白い。銀行の不良債権処理が進み、民間のリストラも一段落した。それでもやっぱり2010年代には「かけそば暮らし」が待っているのだろうか?日本の国家予算は年間約80兆。借金が730兆ってことは、年収800万のサラリーマンが7千万の借金を背負ってるのと同じ。個人だったら正に樹海逝き。尋常ではない。なのにどうして破綻しないのか。とりあえずそれは借金主の立場が強いから。国という借金主はいざとなれば借金を踏み倒したり、通貨そのものの価値を変えて借金を誤魔化したりもできる。だから個人の借金ほどの危機感はなく、むしろある程度の借金ならば、あった方が景気が良くなるという側面すらある。破綻しない理由はもうひとつある。これは庶民より実は金持ちの味方である大手メディアがあまり報じない常識のひとつなのだが、それは日本国の借金の貸主のほとんどは日本人だってこと。これは大きい。だから諸外国も日本経済に元気がないと儲け話が少なくなるから「はよ構造改革をして元気になってネ!」ぐらいのことしか云わない。しかしこれが仮に国の借金の貸主が外資だったとしたらどうだろう。大騒ぎだ。当然の如くIMFが介入し、今頃日本はかつてのブラジルやアルゼンチンの如く火達磨になっていたことだろう。ところが貸主も借主も日本人じゃ財政は破綻しても国は滅びない。それどころか貸主が日本人でそれも我々とは違い銀行にたんまりと金品を預けている富裕層の皆様とくれば日本政府もペイオフやら新円発行などなかなか出来ない。そんなことしたらお金持ちの皆さんが大損害を被ってしまう。それでいながら貧乏人も含め公平に広く痛みをわかちあえる消費税率アップの方はOKってんだから案外日本の政治も判り易い。ところが日本人は戦前から政府のいうことは素直に聞く国民性。日本の借金が増えたのは我々庶民が真面目に働かなったからと思い込み、痛みに耐え、「殺されても構わない」と不退転の決意で突き進む男小泉純一郎を支持してやまないのだから、美しい。これぞ日本繁栄の原点だ。いっそのこと昨今の現状は天皇陛下に申し訳ないから消費税率を50%程度にでもするか。そうすりゃ税収が年間50兆ほど増えるから10数年で借金が返せるわい。・・・などという馬鹿げた話はともかくとして、実はその国の借金、貸主さんの中に渦中の郵便局さんがいるのをご存知だろうか。借主じゃあない「貸主」だ。で、その額なんと140兆。もちろんその原資は国民から集めた郵便貯金やら保険なのだが、とりあえず140兆も金を貸しているんだから優良企業なのではないか。そんな会社どこにもない。もちろん言われている簡保施設に無駄と不正が多いのは正す必要はあるが、実は郵便事業そのものは黒字だったりもするのだ。首相からは民営化してもやっていけるとのお墨付も頂いている。おいおいそんな美味しい公社を一般企業するのは勿体無くはないか。国の機関をスリム化して経費削減するのは結構だが、民営化したとたんに外資に巣食われたんじゃ目も当てられないよな。黒猫大和と競争してるようじゃ世界じゃとても戦えない。案外ドイツポストあたりに骨抜きにされるんじゃないか。改革=民営化だと思ったら大間違いだ。当たり前のことだが民営化とは自由競争の荒波に揉まれるということ。ダメな会社は潰れて当然とか言ってる場合ではない。そこに外資が絡んだらとんでもない悲劇が日本を襲うことになる。

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