[第二十八回 浪花の芸術を菊会]     2007年2月28日(水)18:30〜
演奏曲目 作曲者 演奏者(敬称略)
1. 茶音頭 菊岡検校 (三絃)菊重精峰(箏)菊抄峰亜希
2. 荒れねずみ 作者不詳 (三絃)菊重精峰
3. 春の曲 吉澤検校 (三絃)菊聖公一(箏)岩田涼可
4. 里の春 菊岡検校 (三絃)菊聖公一(箏)中萩あす香
【茶音頭】
10年ほど前から菊重先生も花粉症に悩まされているそうです。今日も結構鼻声で辛いようです。
茶音頭は茶の湯の時に使う道具等を歌詞に織り交ぜて男女の末永い幸福を願い歌った祝儀物です。調絃は六下がりと珍しい調子で最後には三下がりになります。
【荒れねずみ】
菊筋の地歌の中で残っている作物の中の一曲です。夜中17匹のねずみが天井裏で暴れだし、台所へ食べ物を盗みに行く算段を練ります。女将さんにばれないように上手く盗みますが、三毛猫が現れます。それも何とか逃げ切り、無事天井裏に戻るお話です。
また、珍しく大阪弁が沢山出てきたり、天王寺にある下寺町などの馴染みの深い地名などが出てきて楽しい曲です。
先程の六下がりがあったせいで、どうしても3の糸が下がり気味で、先生はとても気にされて演奏されていました。
【春の曲】
この菊会において菊聖先生のお琴の演奏は、「五段砧」、「明治松竹梅」に続いて3度目と大変珍しいです。今年一年4回の菊会は名古屋の吉澤検校の「春の曲」「夏の曲」「秋の曲」「冬の曲」を1回ずつ演奏されるそうです。で、今回は暖冬ですし、最初でもあるので「春の曲」から始まりです。
もともと吉澤検校の「春の曲」は歌だけだったのですが、京都の松坂検校が手事の部分を手付けされました。元々の古今調子から転調があるのですが、曲の雰囲気を壊さない素晴らしい手付けです。
助演は初登場の岩田さんでした。ご苦労様でした。
【里の春】
春にちなんでこの曲を選曲されました。
大阪では余り舞台で演奏することの少ない曲です。
菊聖先生もこの曲を舞台で演奏するのは初めてだそうです。
「里」は山里ではなく「廓」を示していて、廓の華やかで暖かな春の様子を歌っています。
菊岡検校の作曲で、箏手付けは不明になっています。名コンビの八重崎検校ではないようです。
また秋にはこの曲に対して「園の秋」が演奏されます。