「四季の寿」
今回の菊重先生の選曲は「四季」繋がりの2曲です。
「萩の露」を作った幾山検校の曲です。形は前歌、手事、後歌と言ったスタンダードな手事物です。
「四季の眺」
こちらは比較的良く演奏会でも聴く曲です。
「御山獅子」などと並ぶ祝儀物で、日本の四季を歌っています。
松浦検校の作品で、「四季の眺」「夜々の星」「宇治巡り」「四つの民」を『松浦の四つ物』と呼ばれています。松浦検校が斬新な物が好きだったのだそうで、曲の中に結構おもしろい転調などがあり、一音半の押し手が現れたりします。最近東京ではその部分は始めから半音上げておいて、掛け押さえで演奏する方が多いそうですが、関西ではまだ本来の方法で演奏されています。
平成4年菊重先生の第1回目のリサイタルで演奏されました。その選曲理由は先生の声の低さだからだそうです。 |
「ゆき」
端唄物です。今日は昔の三曲合奏の形で、現在の尺八が入るまでは胡弓が三曲の一翼を担っていました。題名の雪は空から降ってくる雪を直接的に表しているのではなく、ソセキという出家した女性が、若い頃芸妓であった頃の恋を懐かしむ内容で、歌い出しの部分で、「花も雪も払えば清き袂(たもと)かな」で始まる。その「雪」を曲名としたものです。
「正月(まさづき)」
地歌の演奏会ではあまり聴かない曲です。地歌舞では演奏されます。
前半の「四季の眺」同様地歌の中で珍しくお目出度い曲です。 |