[第12回Report]     平成15年2月15日(土)
演奏曲目 作曲者 演奏者
1. 風 秋色 菊重精峰 箏(田中佐和さん・西村亜希子さん)・十七絃(菊重先生)
2. ゆき 峰崎勾当 三絃(菊重先生)・尺八(阪口夕山さん)
3. 春琴抄 菊原琴治 箏(中萩あす香さん)・三絃(菊聖先生)・尺八(阪口夕山さん)
4. 残月 峰崎勾当 箏(中萩あす香さん)・三絃(菊聖先生)
 前半2曲は菊重先生が、後半2曲は菊聖先生がいつものように担当されます。ただ違うのは、
いつもならば菊重先生の2曲は菊重先生の作曲された曲をされるのですが、今回は1曲は古曲が
演奏されました。
 最初の曲は、平成13年1月に作曲された「風 秋色」です。さて、このタイトル今の季節に合うのでしょうか?
と、思われがちですが、聞いてみると秋の物悲しい曲でなく大変明るい初秋をイメージしたすがすがしい曲です。
確かに先生もおっしゃっていたのですが、「風 春色」って感じです(^^)
 で、二曲目の大阪の峰崎勾当が作曲された「ゆき」です。この方、色々なジャンルの曲を作られていて、この曲の
のような艶物もあれば、獅子物では「越後獅子」のような比較的激しい曲も作られています。他には、後ほど菊聖先生
が演奏された「残月」も峰崎勾当の作曲です。今日の「ゆき」は三絃と尺八の編成で、なかなか他では見ることの出来
ないそうです。(普通は三絃と胡弓の組み合わせが多いみたいです。)
 ここで後半2曲の菊聖先生にバトンタッチです。
 この春琴抄は昭和9年に谷崎潤一郎の「春琴抄」を舞踊化するために菊原琴治先生に委嘱された曲だそうです。
もともと小説の「春琴抄」も谷崎家に菊原琴治先生が出稽古していたときに、菊原初子先生をイメージして書かれたとも
言われいています。そして、曲も初子先生の玉を転がす様な美しい声をイメージしているかのように作曲されています。
曲の難易度的には三絃の「夕顔」ぐらいの易しい曲で、琴も同様に易しい手になっています。そのせいか舞台では
あまり聞かれない曲になっています。
 最後は、「残月」です。大阪の宗右衛門町にある松屋の娘が若くして亡くなり、追善のための曲だといわれています。
また法名を「残月真如」としたことから、曲も「残月」となりました。その娘さんが峰崎勾当のお弟子さんだったとも
いわれています。しかしこの曲は追善極の割りに明るくなっています。ゆたっりしたはしていますが、その分1つたりとも
無駄のないすばらしい曲です。余談ですがこの曲を弾くたびに菊聖先生の大切な人がなくなっているそうです(>_<)