日本大学生物資源科学部資料館双書2として「パプアニューギニアの薬草文化-熱帯林に伝わる医療の知恵-」(アボック社出版局)が発行されて以来、多くの方にご購読頂き誠にありがとうございます。この度(98年8月21日〜28日)パプアニューギニアに再訪し、無事帰国いたしました。
●伝統医オイバ・ウイウイスク氏と会う
74歳という高齢(パプアニューギニアの平均寿命はおよそ58歳)で、やや左耳が聞こえにくくなっていましたが、背筋の伸びた歩く姿は年を感じさせませんでした。診療所をつくることと、後継者を育てたい気持ちは今も強く抱いていました。
●Papua New Guinea Herbal Medicine Societyを設立
ワウ生態学研究所で薬草研究プロジェクトに従事していたクレメント・ビクター氏(現在ラエ森林研究所勤務)が事務局長に、オイバ・ウイウイスク氏が会長に就任しました。また、顧問としてモロベ州保健局のリケイ・ティオ氏を推薦しました。ティオ氏は、長年にわたり伝統医の活動を支援している医師であり州政府の役人です。近年、伝統医たちにHerbal Doctorという身分証明書を発行しているようです。このことの詳細は現在調査中ですが、いずれにしてもティオ氏と協力関係を結ぶことは、日本と現地での活動を円滑に進めるため、重要であると思われます。
●フィンチハフェンのコバウという村が診療所設立の候補地に
ワウを候補地としておりましたが、オイバ氏の活動のしやすさ、さらに後継者育成を考えるとオイバ氏の故郷であるコバウが適所かもしれません。敷地はオイバ氏所有の土地があり、診療所を建てるための、資材や人足はほとんど現地で無料で調達できるそうです(しかし人足の食事は必要)。ただ、屋根のトタンとトイレや流しなどの水回りは職人を頼む必要があるとのことです。この村に診療所をつくるなら、あまり金がかからずできるでしょう。次回のパプアニューギニア訪問では、現地を視察しましょう。
●伝統医の利用状況の聞き取り調査
ワウの町内で一般の人にインタビューして、伝統医についてさまざまなことを尋ねてみました。すると、84.3%の人が伝統医の存在を知り、その74.4%の人が実際に伝統医に診てもらった経験がありました。また、伝統医に診てもらった人のほとんどが、伝統医の治療に高い有効性と満足度を示しました。
●後継者教育のためのカラー写真入り現地語の薬草テキストを
古老オイバ氏の薬草の知識を正確にしかも有効に次の世代に伝えるため、薬草の鑑別に便利なカラー写真入りの現地語での薬草テキストがあったら良いのではないか? オイバ氏の若い息子の一人(24歳)と養子の10歳の子が伝統医になりたいと言っているそうで、伝統医の未来にかすかに明りが見えてきました。このテキスト作りに関しては、オイバ氏の使う薬草の写真を既に私たちでかなり集めてあるので、予算さえ集まればすぐにでも始められると思います。
◆今後の活動についてーまずは薬草テキスト、そして診療所ー
まずは薬草テキストを作成することから始めよう。最近は、パソコンで出版のかなりの部分が出来るそうです。薬草のカラー写真はほぼ揃っています。これらを上手に取り込み加工レイアウトしてくれる方いませんか? また、日本語あるいは英語から現地語ピジン語に翻訳できる人募集します。また、これらの活動をインターネットで紹介していきたいのですが、ホームページを管理してくれる方いませんか? これらの活動に協力して頂ける方々のご参加をお待ちしています。また、国内では講演、写真展示会、ボランティア活動を通して、広く支援を訴えてゆきます。ボランティアとして参加して頂ける方、講演を依頼して頂ける方を探しています。さらに、引き続き「パプアニューギニアの薬草文化-熱帯林に伝わる医療の知恵-」は販売しております。宣伝よろしくお願いします。
◆活動資金について 本売り上げの収益金とご寄付により、98年8月1日現在77,661円集まりました。今回ワウ生態学研究所での施設利用費、調査費などで30,000円利用させて頂きました。98年9月1日現在47,661円の残高です。
■本書の購入方法 1,710円(書籍代金1,400円(税込み)および送料310円)を、郵便振替口座00150-2-50206、口座名ニューギニアに診療所をつくる会宛、振込んでください。収益が活動資金に充てられます。
お問い合わせ先:
パプアニューギニアに伝統医の診療所をつくる会 堀口和彦 まで
〒331-0073 埼玉県大宮市指扇領別所326ー1
光和堂漢方鍼灸治療院内
TEL:048-625-6848
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