光和堂通信 第23号2001年春季号(Vol.6,No.3) 2001.04.15
[予防と早期治療のために]

 アッという間に、桜が咲きました。観測史上、二番目に早い開花だそうです。で も、今年はやや長く花見を楽しめました。今年も花粉に悩まされた方、が多かった でしょう。電車の中にはマスクをした人がたくさん。あの光景を目にすると、花粉 症は国民病です。杉木の植林対策やディーゼル車の排気ガス規制など政府の抜本的 な対策を願いたいところです。しかし、今の政府にそんなことを期待するより、自 分を変えた方が早いでしょう。
 最近のべストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」の著者によると、対人関係で不 満があるとき、多くの人は相手が変わることを望むものだが、そんなことは無理な ことで、それより自分が変わってしまった方が早くてよほど簡単であると、いって います。感情的になって相手にあたるより、冷静に考えて行動をする。これがお金 持ちになる第一の鉄則だそうです。相手に感情をぶつけずに冷静でいるのも不気味 ですが、金儲けでは仕方がない。
 でもこの冷静な考え方は、病気の対処にもいえることです。感情的になることは 、損をすることが多いというわけですが、良しにつけ悪しきにつけ行動の原動力に なるのはこの感情です。悔しい思いや恐怖感などが人を動かすのです。冷静さと感 情を上手に使うことが、人生を豊かで前向きなものにするために大切なようです。
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 今号では、耳、鼻の病気について取り上げます。  ◆ 鼻づまり(蓄膿症/副鼻腔炎)
 鼻づまりは、風邪を引いた時などだれもが一度は経験のあるものです。口で息を しなけらばならないので、日ごろ息苦しく、夜は寝苦しく、朝にのどが腫れたり、 仕事や勉強中は思考ゃ集中力が低下します。この鼻づまりの症状が慢性的あるいは 季節の変わり目になると毎年起こるような場合を蓄膿症あるいは鼻閉症と呼びまず 。また、一般に子供は鼻内の部屋(鼻腔)が狭く、特に副鼻腔というところで炎症 が起こり、鼻づまりを発症します。これを副鼻腔炎と呼びます。
 花粉症やアレルギー性鼻炎の方は、蓄膿症に移行する場合がよくあります。
 花粉症でも風邪でも初期は、一般に水っぽい鼻水が多く、中期から後期になると、 鼻水は濃く粘りが強くなります。この時、鼻づまりを感じます。しかし、これは粘 い鼻水がつまっているだけでなく、むしろ鼻の奥の粘膜が腫れ膨らんで、鼻の中が 狭くなっている場合が多いのです。ですから、ここで注意してもらいたいことは、 鼻づまりの時にあまり強く鼻をかまないことです。鼻粘膜が腫れて鼻腔が狭く通り にくくなっているのですから、強く鼻をかむと鼻内の圧力が上がり、その圧力が目 や耳に伝わります。すると、病原菌や炎症が目や耳に広がり、結膜炎や目の充血、 耳閉や耳なり、中耳炎などを起こすことがあります。中耳炎については後ほど。

 ◆ 鼻粘膜が腫れる
 では、なぜ鼻粘膜は腫れるのでしょうか? まず風邪の場合は、細菌やウイルス が鼻粘膜に取り付き、それらをやっっけるため抗体や免疫細胞がやって来て細菌な どと戦います。その戦闘の場所が粘膜です。戦闘が激しくなると熱を発し、炎症を 起こします。その結果粘膜は赤く腫れるのです。また、アレルギーによる場合は、 病原菌ではなく、杉花粉やほこり、温度差などが刺激となって鼻粘膜に炎症を起こ し、腫れさせるのです。
 一般に蓄膿症は、風邪から始まり、鼻づまりの症状がいつまでも治らない状態で 、このような方はほとんどがアレルギー体質です。このようにアレルギー体質の方 は、風邪を引くと長引く場合が多く、その症状は、鼻づまりの他、咳や瑞息などで す。つまり風邪の病原菌をやっつけたにもかかわらず、粘膜の炎症が続いて腫れが 引かないのです。
 ◆ アレルギー体質改善のために控えた方がよい食品
糖分+脂肪分(チョコレート・ケーキなど)
刺激性飲料(コーヒー・ココア)
魚卵類(イクラ・カズノコ・明太子など)
魚介類(エビ・カニなど)
灰汁の強いもの(タケノコ・ワラビなど山菜類)
アルコール類(日本酒・ビールなど)
香辛料(唐辛子・コショウなど)
乳脂肪分(チーズ・バター・脂身など)
※野菜を中心にした食事を心掛けましょう。


光和堂 漢方相談・鍼灸治療
[診療時間]午前部10〜13時/午後部2〜7時
      但し火・木・日曜・祝日は13時まで
[月曜日休診]

民間薬 その13
 辛夷 コブシ
つぼみを煎じ、内服あるいはその蒸気を鼻にあてる。鼻づまり、鼻炎・蓄膿症、頭 痛・頭重によいです。

 ◆ アレルギー体質を改善する
 蓄膿症、副鼻腔炎を治りにくくするアレルギー体質を改善するために、漢方薬は 優れています。漢方薬は、鼻の粘膜の炎症を取りながら、肝臓の解毒の働きを高め 、内分泌の働きを調整し、粘膜を強化します。
 体質は、遺伝と生活習慣で作られます。遺伝子治療が研究されていますが、まだ 実用化はかなり先です。そこで、今できることは生活習慣を改善することです。そ の中でも、食事は大きなウエイトを占めています。前頁の枠内の食品は、アレルギ ー体質によくないものです。糖分・脂肪分。コレステロールを少なめにすることは 、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)の予防にも大切です。コーヒーや ココアは体によい面もありますが、粘膜を充血させるため、鼻や目、のど気管など 粘膜の敏感なアレルギー体質の方にはよくありません。さらに、唐辛子は最近ダイ エットによいと話題になっていますが、これも粘膜の弱い人に(痔にも)よくあり ません。

 ◆ 身体の歪みも原因に!
 鼻づまりは頭痛や頭重感を伴うことが多く、この場合は首のこりや肩こりが関与 しています。また、頚椎のずれが鼻づまりや頭痛を引き起こすこともあります。こ のような場合は、鍼灸や指圧による治療を併用すると治りがぐっと早くなります。

 ◆ 中耳炎
 急性と慢性のものがあります。風邪から進行して起こる急性中耳炎は、病原菌が 鼻のどから耳にいたり発症します。耳は鼻の奥にあるのど(咽頭)から耳管を経由 してつながっています。
 慢性の中耳炎は、蓄膿症の場合と同様に風邪から始まり、アレルギー体質により 中耳内の炎症がなかなか治まらずに長期化します。

 ◆ 自分でできる
 即効指圧 その23
        耳・鼻
中耳炎  耳たぶの裏にある翳風(えいふう)と口を大きく開けると凹むところにあ る耳門(じもん)を人差し指で押します。 鼻づまり  小鼻の横にある迎香(げいこう)を人差し指で指圧します。正中線上で額 の上2cmの上星(じょうせい)を痛さを感じるぐらいやや強く圧します。

 ただし、耳だれが多い場合は細菌感染があります。これは、アレルギーによる炎 症と感染が併発しています。  中耳炎の場合も、アレルギー体質を改善することが重要です。慢性化や治っても 季節の変わり目などに毎年発症しているようなら、アレルギーの関与を疑うべきで す。

 ◆ 耳鼻のどの病気と子供の成長
 子供の場合は、鼻(副鼻腔)やのど(扇桃)など、成長の段階であることから構 造的に未発達であったり、機能的に未成熟なところがあり、鼻やのど、耳の病気は 起こり易いものです。子供の成長過程でもある耳鼻のどの病気、あまり大きな心配 はいりません。しかし、この成長期に食生活を注意して、アレルギーのない抵抗力 ある身体を作るよう心掛けることはたいへん重要です。

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     《休診のお知らせ》
5月3日(木)〜5日(土)黄金週間休み。
6月9日(土)〜10日(日)鍼灸学会のため。

     《お知らせ》
 漢方エキス剤をニ処方以上併用の場合、割り引き制度を導入しました。
詳しくは店頭にて。


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