光和堂通信 第22号2001年冬季号(Vol.6,No.2) 2001.01.07
[予防と早期治療のために]

「なかきよの
   とおのねふりの
  みなめさめ
 なみのりふねの
  おとのよきかな」

 元日または二日の夜に、この歌を記した七福神 乗りの宝船の絵を、枕の下に入れて寝る風習があ りました。初夢は、必ずよい夢になると言い伝え られており、それなら、米や財宝または七福神が 船に乗ってやって来てくれるという縁起のよい初 夢を見ようとこのような風習が広まったようです。 江戸時代には、右のような一枚刷りの絵札が売り 歩かれていたそうです。また、この歌は回文といっ て、逆さから読んでも同文になります。
 さて、皆様のニ十一世紀の初夢は、いかがでし たか?
    寿     餅     巳
 昨年末は乾燥し寒い日が続きましたが、正月が過 ぎ二月になるとまた寒い日が多くなるでしょう。 今号は、痛みについてです。以前にも特集しまし たが、今回は視点を変えて、特に慢性的な痛みに 焦点を当てます。
 痛みを訴えて光和堂へ来られる患者さんのほと んどは、慢性疼痛に該当する方です。痛みの部位 や原因は、いくつかに分類されますが、三〜六カ 月以上痛みに悩まされていることは共通していま す。

特集 慢性疼痛
 慢性疼痛の定義はあいまいですが、ケガやぎっ くり腰など急性な痛みが消退した後に、一力月以 上痛みが続いたり、三力月以上痛みが繰り返し起 こるような状態をいいます。慢性疼痛の原因は複 雑ですが、まず痛みを起こす直接の原因である傷 や、筋肉や神経の損傷や侵害(神経痛やヘルペス など)が、完治していない場合です。

また、五十 肩のように関節が固まったり、慢性膝関節症のよ うに関節が擦り減ってしまった場合も慢性疼痛の 原因になります。慢性関節リウマチも慢性疼痛の 原因です。さらに、慢性腰痛や手腕肩の痛みなど 生活習慣や仕事と関係が深く、悪化したり良くなっ たりを長年繰り返している場合も慢性疼痛に分類 されます。交通事故によるむちうち症も慢性疼痛 を引き起こします。
 リウマチや五十肩のように原因がはっきりしてい る慢性疼痛と、原因が判明しないものがあります。 原因がはっきりしない場合は、痛みが身体の二〜 三力所に及んだり、あちらこちら痛みが動いたり する場合があります。このような患者さんは、病 院へ行くと「気のせいだ」とか、「痛いはずはな い」などといわれてしまうのです。なぜなら、レン トゲンや血液検査をしても、異常がないからです。

痛みは自分にしか分からない!
 このような慢性疼痛から抜け出せない原因の一 つに、痛みの悪循環があります。人間の身体は痛 みに曝されると、無意識に神経が緊張し、筋肉が 収縮し、さらに血管が細くなります。これには、 脊髄の反射と自律神経の働きが関与しています。 この反応は、本来身体を守るための防衛手段なの
 七草粥
 一月七日は春の七草です。この七草粥を食べ る風習も屠蘇酒と同様に中国から伝わり、平安 時代に宮廷で始められたものです。七草は、せ り[食欲増進・肝機能増進]、なずな[降圧・充血消 炎作用]、ごぎょう(ははこぐさ)[鎮咳去痰・扁桃 腺炎]、はこべら[胃腸炎・歯槽膿漏予防]、ほとけ のざ(たびらこ)[解毒・アレルギー体質改善]、す ずな(かぶ)[消化促進・肝機能増進]、すずしろ(だ いこん)[消化促進・咽痛消炎作用]です。
 このように、正月の弱っ た胃腸や肝臓にぴったり です。また、もうすぐ花 粉症をはじめとするアレ ルギーの季節です。アレル ギー体質の人には特にお 勧めです。


光和堂 漢方相談・鍼灸治療
[診療時間]午前10〜13時/午後2〜7時
      但し火・木・日曜・祝日は13時まで
[月曜日休診]

ですが、慢性疼痛の場合は、この一連の反応が、 逆に患部の痛みを憎悪させ、治癒を遅らせます。
 この痛みの悪循環をスタートさせる、最初の痛 みの原因は、各個人で異なります。頚椎や腰椎へ の負荷が、神経に障って最初の痛みをスタートさ せる場合や、更年期などに起こるホルモンバラン スの乱れによって、肩や腰の筋肉が異常に緊張し て痛みを発生させる場合があります。さらに、へ ルペス(帯状疱疹)による神経へのダメージが残っ ており、それが冷えなどで痛みを発する場合など が挙げられます。

痛みには必ず原因がある!
 治療には、まず痛みの悪循環をスタートさせる 最初の痛みの原因を見つけ、これを止めることで す。一般に、この痛みの原因を探すのは容易では ありません。でも、原因のない結果はありません から、痛みの原因は必ずあるのです。決して「気 のせい」ではないのです。また、見つかってもす ぐにその原因を改善できない場合もありますが、 めげずに治療を続ければ必ず治ります。

痛みの悪循環を断ち切る
 次に、痛みの悪循環を断ち切ることです。スタ ーターである痛みがなければ、この悪循環は進ま ないのですが、一力所でも痛みが発生してしまう と、連鎖反応的に痛みの悪循環が始まり、あちら こちらが痛くなってしまうのです。この痛みの悪 循環は、一度始まってしまうとなかなか止められ ません。そこで、スターターとなる痛みの原因が 改善されるまでは、痛みが起こってもなるべく軽 度な状態に抑えることです。感じる痛みが小さけ れば、痛みの悪循環によって増幅される痛みも小 さくなります。実は、痛みは、環境や時間、心理 状態などによってその感じる強さが異なるのです。 ですから、なるべく痛みを弱く感じる状況に自分 をおくことが大切です。

痛さは状況によって変わる!
強く感じさせる   |弱く感じさせる
 寒冷       | 温暖
 低気圧      | 高気圧
 夜        | 昼
 不安・恐怖    | 安心・安全
 いらいら・怒り  | 楽しい・気楽
 不快       | 爽快
 悲しみ・孤独感  | 理解・共感
 このような要因によって痛みの強さが変わって きます。痛みがなくなるまでは、これらの要因を 念頭に入れて、上手に痛みと付き合っていくこと です。

 自分でできる
 即効指圧 その22
     慢性疼痛
膝関節症  太ももの 膝に近いところをよく揉みほ ぐします。膝のお皿の下にあ る膝眼(しつがん)を指圧します。 ここにお灸をするとさらに効 果的です。

民間薬 その12
 熊笹 クマザサ
殺菌や解毒作用があり、血 液を浄化する。アレルギー 体質改善や肝機能正常によい。

春に備えて、花粉症・
アレルギー対策を!
 お正月のお節料理は、アレルギー体質の人によ くないものが多くあります。カズノコ、タケノコ、 もち、エビ、カニ、さらにアルコールなどです。 胃腸や肝臓など内臓の疲れも血液の解毒を弱め、 アレルギー発症の原因になります。七草粥は、ア レルギー体質の人に理想的な食べものです。毎日 これを食べるのは辛いでしょうが、今から食事に 十分気をつけてください。一月中からアレルギ ー対策を講じて措けば、辛い花粉症も必ず回避で きます。早めが肝心です。
   ◇      ◇       ◇
     《あとがき》
 光和堂のホームページを多くの方にご覧頂きあり がとうございます。新しいバージョンを作製中で す。ご期待ください。メールマガジンも配信して おります。ご興味のある方はメールください。
  本年もよろしくお願いします。


光和堂通信 第22号2001年冬季号(Vol.6,No.2) 2001.01.07
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