【光和堂通信】第7号1997年春季号(Vol.2,No.3)1997.04.01
[予防と早期治療のために]

 暖冬の今年、春の訪れも早いようです。早く暖かくなるのは良いのですが、地球 温暖化の現象となると何だか複雑な心境です。
 環境の変化は、体に様々な影響を及ぼします。中でもアレルギー疾患は、最も機 敏にその変化が現れます。例えばアレルギー性鼻炎では、暖かい部屋の中から急に 冷たい外の空気に当たるだけでクシャミが出ることがあります。
 花粉症も環境が深く関係しています。そこで、今回はアレルギーの病気について です。

◆ 根本から治したいアレルギー
花粉症・アレルギー性鼻炎

 今年は、杉花粉が日本列島を吹き荒れたといった感じです。でも、もう少しの辛 抱です。桜の花が散る頃には一段落します。もう花粉情報を気にしなくても大丈夫 です。しかし、一段落しない人は、杉だけでなくヒノキやカモガヤなどの花粉にも 反応している可能性があります。もう一頑張りファイット。
 この花粉症、何とか根本から治せないものか。一番手っ取り早い方法は、日本か ら脱出することです。国外逃亡。二月から約3ヵ月バカンスをとってハワイで過ご すことができれば…。そうはいかない人は今から地道に自分の体の改善していくし かありません。残念ながら…。

◆ アレルギーを起こさない体をつくる
 アレルギー体質は遺伝だから仕方がないとあきらめないでください。そのような 遺伝を受け継いでもそれが発現されるかどうかは各個人にかかっています。

◇ アレルギー疾患は様々な原因が複合している
 では、どうしてアレルギー(つまり反応しなくてもいいものに反応する)になっ てしまうのでしょうか?先に環境の変化が鼻炎を引き起こすことを述べましたが、 花粉症でも花粉だけでなく自動車からの排気ガスも関与していることが判ってきま した。さらに、私たち人間の体そのものも変化しています。それは、体を作る材料 である食べ物が大きく変わってきているからです。戦時中の食料事情を考え てみるといかがでしょうか。

また、衛生設備の向上により 感染症が減少するとアレルギー疾患が増加するようでもあります。発展途上国での 状況からそのようなことが言えます。このようにアレルギーは様々な原因が複合し て起こる病気です。

◇ まずできることから始めよう
 アレルギー疾患のように問題が複雑に絡み合っているときは、まずできることか ら確実に改善することです。そこで、第一にしかも自分の力で出来そうなことは、 食生活の改善ではないでしょうか。

◇ 食べた物が血となり肉となり体を作る
 では、どのような物を食べまた、どのようなものを食べてはいけないのか。古く から伝わる漢方書には、それらのことが書かれています。現代の栄養学の観点から もそれらは裏付けられて来ています。簡単に言うと、糖分・脂肪分・コレステロー ルは極力減らし、さらに辛い物・あくの強い物・アルコール類は控える。そして、 野菜を多く食べるようにして下さい。 ※個人によって多少食事への注意が異なり ますのでご相談ください。

◆ 根気よく確実な治療を! アトピー性皮膚炎・喘息
 小児におけるアレルギー疾患で、最も気になるものがこれらのアトピーや喘息で はないでしょうか。妊娠中の栄養過多や偏食が新生児アトピーを増加させ、一時は 三分の一近くの赤ちゃんに何らかのアレルギー疾患があるとの報告もありました。 最近では、妊娠中の食事や体重チェックが厳しくなり幾分良いようです。しかし、 油断は禁物です。離乳食後や成人になってからのアトピーは決して少なくなっては いません。先に述べましたように、まずできることから確実に改善してゆくことで す。食生活から、まず始めてください。一度に色々なことを始めると必ず中途半端 で終わってしまいます。欲張らず一つのことをきちんと続けてください。

◆ 漢方薬・ハリきゅうは体質改善を応援する
 体質を改善していく上で、漢方薬はアレルギー体質からより速く確実に脱却する ためにその力を発揮します。体質改善を邪魔する便秘・生理不順・血行不良・肝機 能低下を治して行き、体全体をスムーズに改善に向けて行きます。

 ハリきゅうは、こりやはりを去り血行を良くし、体に溜まったストレスを解消し ます。さらに、近年の研究で、ハリきゅうはアレルギーに関係する免疫機能や自律 神経に働くことが判ってきました。このような力強い味方を付けて頑張ろう。

◆ 特集 不安な気持ちにさせる
 ――めまい――

 春は、めまいを起こし易い季節です。太陽の日差しが強く暖かくなってきますが、 地面はまだ冷たい状態です。それは、頭は温かく足は冷たいという冷えのぼせ状態 を引き起こします。また、春は天気の変動も激しく人間の自律神経を狂わせ易い時 でもあります。メニエール氏病に代表されるようにめまいの原因は、現代医学で解 明できない面が多くあります。原因を究明するため、めまいで居ても立ってもいら れない時に色々な検査をされるのは辛いことです。東洋医学からめまいの原因を見 ると、

1. のぼせ
2. 胃腸機能の低下(胃弱や飲み過ぎなど)
3. 首(特に耳の後)の緊張や肩のこり
これらの三つが重なると起こり易いようです。

◆ 激しいめまいへの対処法
 激しいめまいは吐き気を伴う場合が多く、みぞおちのあたりが苦しく何とも言え ない気持ち悪さと不安感が現れます。このような時は天井が回るように感じて寝て いることさえままならない状態です。このような時は、無理に水分や食べ物を取ら ず、足を温かく安静にして即効指圧の欄にある裏内庭のつぼを強く刺激してくださ い。そして、漢方薬の五苓散をお湯に解いてその上澄みを杯に一杯ずつ服用してく ださい。これを、しばらく繰り返すと必ず吐き気は治まり口にものを入れられるよ うになり、次第にめまいも治ります。
 また、耳鳴りと共に起こるめまいは、頭を無意識にふと動かしたときにフワとい った感じで起こります。これには、首の辺りの緊張の解消と血行を良くする必要が あります。

◎ 自分でできる即効指圧 その7
 めまい・吐き気

 足の裏にある裏内庭(うらないてい)、泉生足(せんせいそく)、またはすねに ある上巨虚(じょうこきょ)、条口(じょうこう)、下巨虚(かこきょ)を強く刺 激(ペンを利用してもよい)します。この付近にクリクリとしたものがあったらそ れを解きほぐすようにして下さい。最初は痛いと思いますが痛くなくなるまでほぐ して下さい。

◎ 医食同源 その3 蓬(よもぎ)
* 痔や生理の不正出血に葉の煮汁
* 嘔吐下痢にも葉の煮汁
* 切り傷に生の葉汁

◆ めまいに効く漢方薬
○ めまい・水を飲んでも吐く……五苓散(ごれいさん)(28)
○ めまい……苓桂朮甘湯(りょうけいじっかんとう)(101)
○ めまい・耳鳴り・疲れ易い……真武湯(しんぶとう)(55)

<お知らせ>
 光和堂では、現在ホームページを作成中です。光和堂通信もインターネットで見 れるようになります。

《あとがき》
 先日、アメリカから医学生が研修に来ました。アメリカは西洋医学一辺倒かと思 うと意外にカイロ・ハリきゅうや薬草療法など様々な医療が利用されているそうで す。また、調査にご協力頂いた方々に御礼申し上げます。  (以上)


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