光和堂通信 第4号1996年夏季号(Vol.1,No.4)1996.08.08
[予防と早期治療のために]

暑中お見舞い申し上げます。

 暑い日が続きますが、皆さんお元気ですか。今年の夏は日本各地で病原性大腸菌に よる食中毒が流行しています。ニュースを聞いていると、これは衛生管理の遅れたど こか別の国の話ではないかと思われる程で、とても日本のできごとのようには思えま せん。

◆ O157に負けるな!
 原因はまだはっきりしないようですが、衛生面への過信もあるのではないでしょう か。また、季節への配慮も大切です。梅雨から夏は、食中毒の最も起こり易い季節で す。つまり、病原菌が、繁殖し易い時でもあり、かつ、人の胃腸も一年の内で最も弱 っている時なのです。
 連日、感染源となった食物の解明についてマスコミが報じていますが、原因のはっ きりしないケースが多いようですから、お母さんをはじめ、家族皆で自己防衛をして いきましょう。また、食品の衛生面だけでなく、自分の胃腸の調子をよく見ながら日 頃の食事や生活面にも注意しましょう。そこで、今回はまず、特に胃腸に症状の多い 夏バテに対策を講じましょう。

◆ 特集 夏バテを吹き飛ばせ!
◇ その1 ――だるい――

 だるさの原因は、暑さより湿気にあります。空気中の湿度が高くなると、体の中に も、水分が溜まり易くなります。すると、足はむくみ、重くなります。また、胃腸に も水分が滞り易くなり、消化が鈍り、下痢し易くなったり、食欲がなくなったりして 、全身がだるくなります。
 夏バテのだるさを解消するためには、まず水分の代謝を良くすることです。そのた めに、次のようなことを、心掛けましょう。

(1) 汗をかく(ただし、汗っかきでだるい人は、光和堂へ。水分代謝を調節する必要   あり)
(2) 水分の取りすぎに注意(のどの渇きに負けてしまう人は、光和堂へ。)
(3) 冷たいものより温かいものをたべる
(4) 冷房での冷やしすぎに注意

◇ その2 寝冷えに注意! ――夏風邪、下痢――
 冷房や朝方の冷え込みで起こる症状は意外に多くあります。夏風邪や下痢だけでな く、手足の筋肉や関節の痛みやむくみや腫れ、首の寝違えも起こることがあります。 子供だけでなく大人も気をつけなければなりません。

(1) おなかがゴロゴロして張る……平胃散(89散)
(2) 下痢・食欲不振……六君子湯(98散)
(3) 腹痛……小建中湯(47散)
(4) 水瀉性下痢……五苓散(28散)
(5) 夏風邪……かっ香正気散(12散)

 夏風邪で熱が出たときは、果汁などビタミンCの豊富な水分を十分にとって、服を 一枚多く着て十分に汗をかくようにして下さい。 一汗毎に、必ず熱が下がります。ただし、汗をかいたら着替えを忘れずに!
 別紙で、夏バテを吹き飛ばす、薬膳料理を紹介しますのでご参考まで。

 自分でできる 即効指圧 その4 胃腸
腹痛
おなかにある中かん(ちゅうかん)と関元(かんげん)と天枢(てんす う)をさするようにマッサージして温めます。

食欲不振
膝の下にある三里(さんり)から上巨虚(じょうこきょ)を通ってくるぶしまで 指圧します。
下痢
足の親指の付け根に近い太白(たいはく)と公孫(こうそん)を指圧します。




漢方薬局  光和堂  鍼灸治療院
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◇ その3 冷房病
 職場での冷房のききすぎ、また、電車や映画館などで、寒い思いをしたことはりま せんか。冷えは、血行を悪くします。血行が悪くなると、生理不順や生理痛を引き起 こします。また、不妊症や、更年期障害にも、影響を与えます。冷えは、さらに、筋 肉や関節の痛みを起こします。
〔足から腰の冷える人〕
 苓姜朮甘湯(102散)乾姜に体を温める作用があります。膀胱炎を起こし易い人 にも、向いています。
〔肩から背中が冷える人〕
 柴胡桂枝干姜湯(61散)呼吸器系の弱い人に向いています。
〔全身が冷える人〕
 当帰芍薬散(D散) 生理時、お腹や腰が痛くなる人に、また、不妊症や、妊娠養 胎にも、たいへん効果があります。

◆ 特集 カイカイ、ヒリヒリ 夏のお肌トラブル
 夏に多いトラブルのもう一つが、お肌や皮膚に関するものです。日焼け、あせも、 虫さされ、かぶれ、湿疹、水虫など。そこで、今回は、日焼けと、あせも、湿疹、そ して、水虫の対策を紹介します。

◇ その1 ――日焼け――
 日焼けして、赤くほてっているうちは、必ず十分に冷やしてください。そして、炎 症を取り潤いをあたえるローションや軟膏を使いましょう。また、ビタミンCの豊富 な果汁などを飲むとさらにOK。
〔日焼けした肌に〕
(1) カーマイン・ローション
(2) アベンヌ・ウオーター(ほてった肌を冷やす)
(3) 紫雲膏(やけどにもOK。皮膚の再生を促す)
〔日焼け止めの表示について〕
 日焼け止めの強さの表示には、SPFとPAというものがあります。
SPAとは、 レジャー紫外線を防止する強さを数値で表したものです。レジャー紫外線とは、波長 の短い紫外線B波をいい、急激に焼けるのが特徴で、いわゆる海や山での日焼けです。 SPFの数値が高いほど、日焼けを防ぐ働きが高くなります。PAは、日常紫外線を 防止する強さをプラス(+)で表します。プラス(+)が多いほどその効果が高くな ります。日常紫外線とは、波長の長い紫外線A波をいい、皮膚の奥まで達

し、しみやそばかすの原因になるといわれています。日焼け止めを塗って、ガードし ましょう。

◇ その2 ――あせも――
 首や肘の裏などの汗のたまり易いところにできる赤くてかゆいプチプチが、あせも です。子供に多いものですが、大人でも、あせもから湿疹に発展する場合があります。 細菌が入り込んで、感染を起こす場合もありますので、注意しなければなりません。  かゆいときは、冷たいタオルで、患部をよく冷やしながら汗を拭きます。患部をき れいにして、風通しをよくすることが大切です。

 あせもに効く!桃の葉の煮汁
(1) 乾した桃の葉(光和堂にあります)約20gを水100ccで、約十五分間煮出します。
(2) 葉を漉して煮汁を冷蔵庫で冷やします。
(3) 脱脂綿を使って冷えた桃の葉の煮汁をパタパタと患部につけます。

◇ その3 ――水虫――
 水虫は治りにくいものですが、的確に診断し治療を行えば必ず治ります。水虫の治 りにくい原因は、水虫とは直接関係のない皮膚炎や細菌感染を合併している場合が多 いからなのです。このような場合は、まず皮膚炎や細菌感染を治してから、水虫を治 療します。玉ねぎの皮をむくように外側から攻めていき、最後に水虫を退治します。 また、一見きれいになっても、白癬菌は残っていますので、その後最低一ヵ月は治療 を続けることが肝要です。

 水虫は予防が大切!
(1) 毎日入浴して、足の指の間を石鹸でよく洗う。(水虫の菌は付着しても、24時 間以内に洗えば大丈夫)
(2) 足拭きマットやスリッパなどを共有しない。
(3) 靴下は、毎日洗濯して熱湯につけてから洗うか、アイロンをかける。
(4) 靴を風通しのよいところで、よく乾かす。
 ★ 『あとがき』
 夏だけ意識しがちな紫外線は、その他の季節もかなり多いのです。日焼け止めは、 一年中使用して、シミや皮膚ガンを予防しましょう。曇りの日にも、要ガードです。 ちょっと洗濯物を干す間にも、油断は大敵。  素足にサンダルが流行の今夏。スカートも、短いものが多いようです。いいなあ、 と思う一方で、冷えを心配してしまう私です。でも結構、職場などでは、膝掛けなど でぐるぐる巻きに保温していて、上司に呼ばれても即座に立ち上がれないOLさんも 多いようですね(^^)


光和堂通信 第4号1996年夏季号(Vol.1,No.4)1996.08.08
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