2013年2月15日 |
ぼくはいまだかつて水星をこの目で見たことがない。 昔から星は好きだし、毎夜、空を見上げることを楽しみにしているぼくだが、65年の人生において、水星を見る機会はなかった。 死ぬまでに(そんなに近い先とはまったく想定していないが)一度は水星を見てみたい。それがぼくのひそかな願いである。 ときおり、肉眼で水星が見られそうな時期がやってくる。去年の3月にその機会があった。しかし、一見晴れているようでも西空の地平近くはどうしても薄雲で濁り、凝視し続けたのだが、結局見ることができなかった。 今年もまた、今がその時期だ。2月17日が東方最大離角。 最大離角とはいえ、水星は金星のように西空高くまで太陽から離れることはなく、日没後30分ほどして空が薄暗くなった時点で、仰角は10度。 なかなか肉眼観察者にその姿を見せてはくれないのである。 とはいえ、今回は是非とも見てみたい。絶好の観察場所を見つけたのだから。仰角10度を十分見晴らせる場所。西に障害物がなく、地平まで真っ平らに見える場所だ。 雲さえなければ見えるのだが、さてどうだろう。 「源氏物語」、おもしろいですね。ぼくには原文で「源氏」を読み通す力はないし、その気もない。かつて、 円地文子訳の「源氏物語」を、全文ではなく、ダイジェストで読んだことがある。それが、曲がりなりにも「源氏」を通して読んだ唯一の経験なのだが、あまりおもしろくなかった。 今、与謝野晶子の「源氏物語」を読んでいる。まだようやく3分の1あたりまで来たところで、これでは何を言う資格もないのではあるが、とにかくおもしろい。ダイジェスト版ではまったく伝わらなかった面白さがある。 源氏物語のすごさを知った。紫式部の非凡さ、構成力の卓抜さ、心理描写の精妙さに接して、読みつつ全身がしびれてくる。式部の同時代の女房たちが耽読したこと、千年を超えて読み継がれてきたこと、その理由が今にしてようやくわかってきた。 何のことはない、好色物語ではあるのだが、そうした次元をはるかに凌駕している。 梅が一気に花開いた。昨日まで数日暖かかった。そのせいだろうか。家の近くのがんセンターの構内に咲く梅も、民家の梅も、どれもこれも一斉に開いた。気づいたのは昨日。それまではまだ固い蕾だと思っていたのに、あっという間に五分咲きくらいになってしまった。 自然界の季節察知能力には、人知をはるかに超えたすごさがある。 |