太平洋を眺望して
2006年12月25日
 忙しすぎる毎日に追われて、「坊っちゃんだより」も途切れがちです。これという収穫もないまま、ただ平々凡々と過ぎてきた半生を振り返り、いよいよ定年まで残り4、5年となったいま、多少とも頭の働くうちに、これまで学びそこねたものを学び、宝の山から何かを探し出せるなら探し出したい、そう思い立ったのが1年前。それからの1年は、過去に例のない多忙な年となりました。

 勤務先の学校の仕事も楽ではない上、それ以外の課題が目の前に巨大な壁となって立ちふさがり、一つずつかじりかじり進んではいても、ふと顔を上げて前方を見上げたとき、立ちくらみを覚えることもしばしばです。それを乗り越えたときに味わうであろう喜びと、乗り越えられそうな予感とに支えられ、尺取り虫のようにひたすら歩んできた。それがこの1年でした。

 あと何年続くことか。いや、一生かけて進む新たな道の始まりを告げる序曲がこの1年だった、そんな気がしています。
 昨日と一昨日、四国高校将棋選手権大会というのが土佐市であり、県代表になった生徒2名を連れて出かけた。太平洋が眼前に180度開けた絶景の山頂が会場。日和もよく、遠く太平洋の果ての果てが霞んで見える。一つの島影もなく茫洋と広がる太平洋は、瀬戸内海に住む愛媛県人にとってははるかな憧れである。同じ四国でありながら、土佐の気性と伊予の気性は根本のところが違う。拠って立つ基盤の違いを、海を眺めながらつくづく実感させられた。

 囲碁なら少々自信はあるが、将棋の方はせいぜいアマの1、2級。「ヘボ」の一語で括られる範疇だ。それでも県代表クラスが戦う将棋は、わからないながらも見ていて楽しい。鋭い攻め筋、受けの妙手、将棋の醍醐味を堪能させてもらった。もちろん全国レベルの上位者から見れば、四国の上級者もまた「ヘボ」なのかもしれないが…。

 引率した2人のうち1人は3位に入賞した。2月の全国大会出場がすでに決まっている女子生徒だ。勝負所と見れば、腰を入れてヨミに没頭する、その姿勢がすばらしい。勝負(論理)の分岐点と、ヨミに沿った一本道の流れ(計算処理)とを直感的に区分する。ここに力がある。

 将棋に限ったことではない。囲碁でも、数学でも、いや人生すべてにおいて、達人は、論理の分かれ目と計算による接続処理とを区分する直感力を持つ。グラフ理論における、点(Vertex)と辺(Edge)の区分だ。強い差し手の対局姿から、人生そのものを含むゲームの本質がグラフ理論にあることを強く感じた。

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