2学期始動、将棋名人誕生
1997年9月8日
 9月1日からいよいよ新学期が始まった。最初の2日間は実力試験。それがすめばただちに文化祭の準備に入る。14日が文化祭、16日が体育祭である。放課後の校内は今、生徒たちに占拠されている。

 棋道部の場合は大した準備があるわけではない。前日に部屋の装飾をして、碁盤、将棋盤を並べる。事前にやるのはパンフレット作りだけ。それは全員で取りかかるようなものでもない。そんなわけで、他の文化部やパートがあわただしく働いている中で、わが棋道部員はのんびり構えている。

 生徒に任せているのではあるが、こんなことでいいのかと、少々心配になることもある。

 この夏休み、中3生のK君が将棋で全国優勝した。中学生名人になったのだ。詳しくは愛光ホームページの棋道部欄に載せている。愛光始まって以来の快挙といえる。彼の将棋は、素人将棋の域を超えている。名人位がフロックでない証拠に、それに続く全国レベルの大会すべてを制した。

 上の娘が2週間あまりの予定でタスマニア島を旅している。ホテルの予約も何もないふらっと一人旅。同じやり方でこの春には、オーストラリア大陸を回った。昔は考えられなかった、現代流大学生の余暇の過ごし方らしい。

台風19号、オゾン層破壊
1997年9月16日
 大型で強い台風。来るぞ、来るぞの前触れが異様に長い台風。ある時は足踏みまでして気をもませた台風。待ちくたびれてすっかり興ざめの頃にやってくる台風。

 学校では、14日の文化祭は何とか実施したものの、それ以降の行事がすっかり狂わされてしまった。本来なら15日が文化祭の後かたづけ、そして今日(16日)は運動会のはず。ところが昨日、台風襲来の影に踊らされて後かたづけができず、今日は今日で、待ちくたびれたところへいよいよ真打ち(台風19号)の登場。せっかく登校した生徒を早々と帰し、明日もう一日かけて後かたづけをすることになった。

 運動会は、雨後のグラウンド状況も考慮して19日(金)に延期となる。自然の力の前に、人間の何と無力なことか。

 無力のはずの人間が自然に重大な危害を加えることもある。オゾン層の破壊はその典型。そもそも数億年の昔、生命が水中から陸上に上がることができた最大の要因は、酸素とオゾン層であった。光合成植物の働きで大気中の酸素濃度が増し、それとともに上空にオゾン層が形成された。オゾン層の紫外線遮蔽効果の結果、陸上は初めて生命にとって危険な場所でなくなった。それまで直射日光の届かない水中でしか生活できなかった生命に、ようやく春が来たと言える。太陽光を仰ぐ生活が可能になったのだ。

 地球史の長い過程を一気に逆戻りさせるオゾン層破壊は、地球上の全生命の尊厳に対する冒涜であろう。

様々な運動会
1997年9月25日
 わが愛光学園では、台風の影響で延期になった運動会が、9月19日に行われた。秋晴れ。生徒たちにとっては、この上ないスポーツ日和となった。

 元気に駆け回り、棒奪い・棒倒し・騎馬戦など闘争本能をむき出しにする競技にも、男子校らしいファイトを燃やす。飾りものはほとんどない。質実剛健の運動会であった。

 9月21日には、私の下の子が通う養護学校の運動会があった。

 こちらは体の不自由な子供たちの、けなげで精一杯の運動会だ。走ることも、歩くこともできず、車椅子を押してもらいながら、出せる力を極限の努力で絞り出す子供たち。

 障害を持つ子供たちの無邪気で明るい解放性に、いつも私は自分を反省する鏡を見せられる思いがする。人を疑ったり、だましたりの、要らぬ駆け引きを少しも知らない彼らは、生きることの意味を全き姿で私たちに示してくれている。

 もちろん、「彼ら」と呼ぶ中には私の娘も入る。毎日私は娘から命の尊さを教えてもらっている。

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